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僕がただ竜を殺すだけの物語 第1章 運命の出会い 第03話

大きな扉をくぐり、幕で隠された狩竜人船へ近づく。

僕は、門の外から見ていただけでは到底感じる事の出来ない大きさに、思わず身震いした。

何もかもが大きい、外と内を隔てるべく下ろされた幕の大きさは、校庭に敷き詰めても余るんじゃないかと思えるほど大きく、吊るされている梁の高さは校舎を超えているように見える、船首から船尾までは全力で走ったら息切れしてしまうだろう。

それでも、これだけ大きな船でないと狩れない竜というのは、どれだけ大きく強いのだろうか、僕は想像だけで足がすくんでしまった。

「おいおいお前たち、そこで何をやっている」

帽子を被った男とスキンヘッドの男が近付いて来た、それに気付いた父はさっと僕の前に出るとポケットから紙切れの様な物を出して、

「ああすまない、怪しい物じゃないんだ、きちんと許可を取っているし勝手に触るような事はしないよ」

「すいませんアンダーソン船長、私が許可を出しました」

後ろを付いてきていたエドが、申し訳なさそうに話す、

「なんだそうだったのか、てっきり補充の整備士かと思ったぜ」

「はい、そうではないのですが・・・」

要領を得なかったのか父がエドと何やら話し始めたが、難しい話しだったのでよくわからなかった。

「坊や、大きい舟を見るのは初めてなの」

いつの間にか近くに居たメガネの女性が話しかけてきた、腰を屈めた為に垂れてくる横髪を掻き上げる仕草に胸の鼓動が高まって、

「は、はい、初めてこんなに大きい船を見ました、いえ、見た事は有るんですけど、こんなに近くでという意味で」

女性は髪を搔き上げた手を僕の頭に添えた、微かに香水の香りがする、

「いいのよ緊張しなくても、良かったら中も見る」

そう言うと女性は服の襟を少し引っ張った、男である以上視線は一点を見つめてしまう、

「おいおいオードリー勝手な事をするなよ、それよりも計画書は出来たのか」

オードリーと呼ばれた女性は、アル船長をきっと睨みつけるとメガネを直し、

「そう言われましても、肝心の整備士が足りないのではどうしようも有りませんが、早く補充してもらいたいものですね」

オードリーはアル船長からエドへ視線を移した、オードリーの口調は冷たく視線はとても鋭い物だったが、

エドは申し訳なさそうに頭を下げていたがなぜか嬉しそうだった。

「あんたたちの船には整備士は乗って無いのかい、これだけ大きい船なんだから何人か乗せているだろう」

父の問いかけにアル船長はもちろんだと答えたが、

「さすがにちょっとやらかしすぎちまってな、魔力炉を降ろしての作業となると人手が全然足りねぇんだ」

「そうだったのか、それにここが母港じゃないし部品も足りないだろうから大変な作業になるな」

「ああそうなんだよ・・・、ってあんたちょっと船に詳しいみたいだな」

父はアル船長の言葉を笑って胡麻化すと母に目配せをした、すると母は、

「そろそろお暇させていただきます、市場での買い物も有りますので」

母は父の目配せの意図を理解したのか、その場を離れるために話しを打ち切った、アル船長はまだ話したそうにしていたが、母の顔を見て踵を返すとジェイジェイを伴って船の中へ帰って行った、オードリーはその間ずっと僕の手を握っていたが、笑顔の母が近寄ると笑顔を引きつらせてさっと手を放して行ってしまった。

「残念だったわねシリル、船の中はまた今度見せて貰いましょう」

そういった母の笑顔はなぜか怖かった。



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