僕がただ竜を殺すだけの物語 第1章 運命の出会い 第38話
「レイ、剣戟大会の代表とか何の事なの」
僕の当然の問いかけに、レイとジェイジェイは顔を見合わせて二人で話し始めた、
「どうするレイ、勝ったら代表って言った手前、シリルが代表って事になっちゃうんだが」
「勝ったら代表って宣言したんなら、それを無効には出来ないだろ。その方がシリルにも良い事だからさ」
そう言ったレイが何かジェイジェイに目配せをした、僕には何のことか全くわからなかったけれど、ジェイジェイにはその何かが伝わったようで、
「ああそう言う事か、確かにそれなら何も問題は無いな。シリル、良い経験になるから、王都に旅行に行って来いよ。大会の方は棄権しても構わないからよ」
「王都とか旅行とか、もっと訳が分からないんだけど」
二人が話し合って出た結論を言われても謎が深まるばかりだった、レイにさらなる説明を求めると、
「あー剣戟の世界大会が有る事は知ってるよな」
「知ってる、レイが優勝したことが有るやつでしょ」
「それのこの町の代表が、お前だシリル」
「・・・」
余りの説明の雑さに思わず絶句してしまった、鼻息荒いレイに変わり、ジェイジェイが話しに割って入って来た、
「この町から出場する代表選手の選考を俺たちは一手に任されていたんだが、代表になって王都まで行ってくるとなると、日程の関係で守備隊の連中は全員出場を断って来てたから、無理やりにでも一人選ぼうと思って持久走で代表を決めると言ったんだが、思いの外連中が疲れ切ってたみたいでな、お前が勝っちゃったって事だ。今まではこの道場の師範が代表を務めてたけど、それもあの騒動で・・・な。今更あいつらに代表になってくれとも言いにくいしよ、棄権しようがどうしようが構わないから、一応名前だけでも代表になってくれないか」
「うーん、どうしようかな」
ジェイジェイの説明で、僕が代表になる権利を得たのはわかった。棄権しても良いのなら僕じゃなくても良いと思うけれど、どうしたら良いのかはまだわからない。
「良いじゃねーかシリル、王都まで旅行できるんだし、2、3日ぐらいなら観光も出来るし、シリルは行った事無いだろう王都、凄いところだから行く価値あると思うぞ、それに、行って帰ってで一週間は学校を休めるぞ。それになシリル、何がどうあれこの町の代表って事はな、あの女の子、あの子にも凄いって思われるぞ」
女の子ってマリーの事だけど、そんな事で僕は心を動かす事なんか無い。だけど学校を休めるって言うのは、素直にうれしい。
「別に僕じゃなくても良いと思うけど、それはどうなの」
「シリル、確かに誰でも良いんだが、特にお前が良いんだ」
「そうなんだ、でもなぁ、僕はこの町から出た事も無いし・・・」
「安心しろシリル、俺が師範としてお前について行ってやるから、俺が王都を案内してやるよ」
「わかったレイが一緒なら心強いや。でも一度お父さんとお母さんに聞いてみないと」
「もちろんそれで良いぞ。よし決まった、俺が居ない間の訓練は頼むぞジェイジェイ」
レイの言葉を聞いてジェイジェイはしかめっ面をして自分のおでこをぴしゃりと叩くと、
「これは、レイに嵌められたな」
勝ち誇っているレイとは対照的にジェイジェイは落ち込んでいる。僕は初めての王都に期待と不安がいっぱいだった、昨日から僕の心に溜まっていたもやもやとした気持ちは、どこかへ行ってしまったようだ。




