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僕がただ竜を殺すだけの物語 第1章 運命の出会い 第36話

アル船長との話しが終わると、太陽も頂点に近付きお腹の虫も元気になって来た。

店に出ていたシェリーが時間を見計らって賄いを作ってくれていて、その匂いに釣られて腹の虫が鳴いたようだ。丁度出来上がったからと、わざわざ人数分食卓へ持ってきてくれた。人数にはアル船長も含まれていたので、三人でシェリーの手料理に舌鼓を打っていると、腹を空かせたレイが店に入って来たらしく、あれだこれだとシェリーに注文をしている声が聞こえて来た。僕は食事を済ませるとレイの前の席に座り、改めて昨日の事についてお礼を言うと、レイは頭を撫でながら、

「そんな事を気にしなくて良いぞ、お前が困っていたから俺が助けた、ただそれだけだ」

「レイがそう言うなら良いよ、それでさ、また剣術を教えて欲しいんだけど」

レイは昨日までとは明らかに違う僕の態度に少し驚いたような顔をしたが、にっこりと笑うと大きく頷き、飯を食ってからな、と言った。

そんなやり取りをしていたら、次々と料理が運ばれてきた、僕からしたらこの量を一人で食べるのかと驚いたが、レイは並べられた料理を次々と口へ運び、最後に水を一杯飲み干すと最後にげっぷをした。

食べ終わるのを見ていたのかアル船長がレイを呼ぶと、厨房の奥でこそこそと話し始めた。


「早いとこ剣戟大会の代表を決めておけよ、お前以外なら誰でも良いから。俺もうかつだったな、訓練を引き受けちまったから、竜姫の踊り子が動き出しちまった」

「すいません船長、俺も油断していました。こんなところまで手が回っているとは思いもしませんでした」

「それだけ踊り子たちも必死って事だ、俺もボケてたのかな。竜は狩れねぇし船も壊しちまうしよ」

「それは俺も同じです、次は失敗しません、絶対に狩ります」

「ああ、期待してるぜ。あいつの習性がわからねぇから、次がいつになるかがわからねぇのが問題だがよ」

アルはがははと笑いながらレイの背中をバシバシと叩いて厨房から追い出した。迷惑そうな顔をしながら厨房から出て来たレイがシリルを誘い、二人は店を出て行った。


レイと並んで歩いていると、どうやらレイは僕の顔色を窺っている様に見えた。

「どうしたの、ぼくの顔に何かついてるかな」

「いや、そうじゃ無いんだが、平気なのかなと思ってさ」

「・・・ああ、また攫われるかもって事?」

「違う違う、俺が居るのにそんな事はさせないよ。昨日と同じ道を歩いてて平気なのかなと思って」

「あーそう言う事、なんだろう、レイが一緒だからじゃないかな、なんか安心してるんだと思う」

僕の言葉にレイの顔も緩む、でもそれは僕の本心だと思った。まだ一人で外を歩いていないけれど、多分今ほど胸を張って歩く事は出来ない様な気がする。それは今改めてレイに言われたから自覚したことだ。

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