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僕がただ竜を殺すだけの物語 第1章 運命の出会い 第31話

立ち上がり部屋を出て行こうとするアルに続いてレイも席を立った。自分も含めて3人という事に驚いたハロルドがアルを呼び止めて、本当に3人で行くのかを問い質すと、アルは軽く返事をして部屋を出て行ってしまった。ハロルドは驚きを隠せなかったが、すぐに体裁を整えるとエアハート夫妻に頭を下げて急いで部屋を出た。

「あー、こっちで有ってるのかな、いや違うか」

店を出てすぐのところでアルに追いついたハロルドは、地図を回転させているアルから地図を取り上げ、道案内をする事にした。

「いやぁ空から見たらすぐ判るんだがなぁ、あんたに頼むよ」

照れ隠しなのかおどけて見せたアルだったが、上から見て迷う事など無いだろう、とレイは思ったが口にはしなかった。

「止まって下さい」

ハロルドが手を横にあげてアルとレイを制止した、物陰に隠れ地図を確認し、目的の建物がもう目前に有る事を伝えると一気に緊張が走った。

「ここからどうしますか、見張りが居るかもしれませんし、別れて行動しましょうか」

「そうだなぁ、レイお前はどう見るよ」

何の変哲も無い建物は明かりが点いており、カーテンがひかれているわけでも無いため、何かを隠している様には見えなかった。だからこそ、それが罠だという可能性も十分考えられる状況だったが、

「念のため正面入り口と裏口で別れて突入しましょう、恐らく何事も無さそうだ」

「そうだな、俺も同意見だ。ハロルドさん、悪いが裏口から入ってもらえるか」

どういう経緯でレイとアルが何事も無いと言っているのか、理解が追いつかない様子のハロルドだったが、小さく息を吐き出すと落ち着きを取り戻したのか、

「私は小剣を帯びていますが、あなたたちは丸腰ですが大丈夫ですか」

「守備隊隊長の前で、俺たちが剣を持ってたらまずいでしょうや。これでも気を使ってるんだぜ」

アルとレイは顔を見合わせて含み笑いをしたが、すぐに真剣な面持ちに戻り、

「じゃあ頼んだぜ」

そう言い残してアルとレイは建物へ向かって行った、ハロルドも気を引き締めて裏口を目指した。


ハロルドは正面に回ったアルたちが、建物の中に入って行くのを確認して、裏口から中に入った。

建物の中に入ってすぐに立ち込める鮮血の臭気に身体全体から汗が噴き出した、長年この町で守備隊をやって来て、近年隊長に任命されても久しく経験したことが無い濃度の濃い血の匂いに噎せ返りながら、最悪の状況を迎えていない事を祈りながら扉を開けた。

「俺たちが素手だった事は確認してるよな」

扉を開けた先にはアルとレイが居り、恐らく剣による傷で絶命したであろう死体が2体足元に転がっていた。

驚いたハロルドがアルに詰め寄り、状況を説明して貰おうとするが、肝心のアルもレイも突入したら二人が死んでいた、以外の答えを持ち合わせておらず、ハロルドも納得せざるを得なかった。

「シリルは上みたいなんだが。出来ればこれを見せたくは無ぇなぁ、死体だけでも除けて置くか、血の匂いは二階まで届いてるだろうしよ」

アルとレイはささっと死体をハロルドが突入した部屋へ移すと、カーテンで手に付いた血を拭うと二階へ上がって行った。二人の手慣れた行動に守備隊隊長である自分が先導しないといけない立場であることを思い出し、ハロルドは慌てて二人を追いかけた。

階段を上がると左右に扉が有り、片方の部屋からは血が染み出してきていた。

「あっちにも死体が有るみたいだな、それじゃあレイはこっちを頼むわ。俺達で片付けて置くからよ」

アルは、ハロルドを連れて、血のしみ出してきている部屋へ向かった。

レイは念のために壁に身体を寄せて扉を開けた。特に何事も無く扉は開き、明かりの点いた部屋の中に目隠しを濡らしたシリルが椅子に座っていた。

「誰、僕をどうするの」

「どうしようかな、食っちまうには少し肉が少ないな」

「レイ!」

レイが来たとすぐに気付いたアルは立ち上がろうとしたが、椅子に縛られていたために前のめりに倒れそうになった。レイは素早くシリルを抱きかかえると、びしょびしょに濡れている目隠しを取った。

「大丈夫か、シリル」

「ありがとう、レイ。すごく怖かったけど、絶対に助けに来てくれるって信じていた」

「ああ、いつでも助けてやるさ」

二人が感動の対面を果たしていると、アルとハロルドが部屋へ入って来た。

「怖い思いをしちまったな、良い経験だとは言え無ぇが、なんにしても無事で良かったよ」

「アル船長もありがとう、えと、そちらの人は・・・」

「やあ君がシリル君だね、私はこの町の守備隊の隊長をやっているハロルドだ。今すぐでは無いけれど、後で今回の件についての調査が有るから、あまり思い出したくは無いと思うけれど、これも私の仕事なのでよろしく頼むよ」

「わかりました」

僕はそう答えると、レイに助けてもらうまでの事を思い出していた。

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