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僕がただ竜を殺すだけの物語 第1章 運命の出会い 第30話

暫くの沈黙の後、出て行った筈のジェイジェイが戻って来た、アルはジェイジェイが帰って来るのがあまりにも早かったため、伝えようとしたことを間違って理解していたのでは無いかと思ったが、ジェイジェイの後に続いてレイと、守備隊の隊長が部屋へ入って来たのでジェイジェイの肩を抱き、席に着かせた。

「エアハートさん初めまして、この町の守備隊隊長をやらせて貰っています、ハロルド・グリーンパークと言います」

隊長の名乗りに続き、エイベルとナオミとエイミーはぞれぞれ名乗った後で頭を下げた。

「この度は私共の警備が行き届かずにご迷惑をおかけしております」

再びハロルドが深々と頭を下げ、それに続いてその場の全員が頭を下げた、

「しかも我々が訓練している道場からの帰宅時を攫われてしまうとは慙愧に堪えません、一刻も早い解決に向けて・・・」

「おう、そういうのは全部終わってからにしようや。それに、あんたがあんまりにも自分を責めるとよ、こいつがその道場で訓練してた張本人だから、こいつまで責任を感じちまう。ここに居る誰にも責任なんてもんは無ぇ、悪いのはシリルを誘拐した奴らだからよ」

レイはアルの言葉に歯を食いしばって耐えていた、責任は俺に有る、レイはそう口に出したほうが楽になれたかもしれないが、アルの思いを噛みしめながら耐えていた。

「そうですか・・・わかりました、アル船長の言う通りですが、私の口からはその言葉は言えません」

「それはそれでかまわねぇよ、んで、こういう何も手掛かりが無い時はどうするのが良いんだ」

「・・・非常に難しいですね」

ハロルドはそう言って暫く黙り込んだ、いろいろと考えを巡らせているようだが、肝心の答えが出て来ないようだ。アルもその事がわかっているのでハロルドが黙っている事を問い詰めるような事はしなかった。そして時間だけが過ぎて行き、閉店時間が迫った頃、奇声を上げながらシンディが部屋に駆けこんで来た、

「こ、これ、これ見てシリルの、シリル」

「どうしたんだよシンディ、シリルがどうしたって」

アルはシンディを落ち着かせるとシンディが握っている手紙に気付いた。

シンディが言うには、店から帰って行った酔客が再び店に戻って来て、そこの路地裏で黒尽くめの男に渡して欲しいと頼まれたと手紙を持って帰って来たようで、シンディが酔客から封のされた手紙を受け取ったところ、シリルの居場所、と書かれていたために大慌てで部屋へ駆け込んで来たのが今回の顛末のようだ。

アルは受け取った手紙をエイベルに渡すと、ナオミと二人で食い入るように見た後で、

「地図にシリルの居場所が書かれているんですが、本当なのでしょうか」

とその場のみんなに手紙を見せた、レイが直ぐに駆け出したが、そうなる事を予測していたかのように、すんでのところでジェイジェイとシンディに取り押さえられた。

アルは、わぁわぁとわめきたてるレイを落ち着かせるようにジェイジェイとシンディに頼むと、シンディからきつい一発を頭に貰い、レイはそのまま大人しくなった。ジェイジェイはシンディに気付かれないように、レイが死んではいない事を確認して安堵した。

「罠の可能性が有りますね、人数を集めましょうか」

ハロルドが冷静にアルに問うと、アルは少し考えた後で、

「いや、恐らくそれは無いな」

「・・・その根拠は」

再びハロルドがアルに問う、今度はアルはすぐに答えた、

「罠なら嵌めたい相手を名指しするが、今回の手紙にはそれが無ぇからな。金が欲しいとかそう言う事も書いて無ぇし、恐らくはここに行けばシリルは居るだろう」

「そうですか、確かに言われる通りですが、念のためという事も有ります。何が有っても良いようにしておいても良いのでは」

「そうだなぁ、まさかが有ってもいけねぇし、エアハートさんたちはここであったかい料理でも作って待っててくれや。必ずシリルは連れて帰って来るからよ」

「お願いします」

3人はアルに深々と頭を下げた、

「ジェイジェイはここで見張りをしててくれ、もしかしたら俺たちをここから引き離すためかもしれねぇからよ」

「わかりました」

「そんで、レイお前は付いて来い・・・、付いて来れるよな」

大人しくなっていたレイだったが、立ち上がると小さく頷いた。

「よし、んじゃあ迎えに行くか」

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