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僕がただ竜を殺すだけの物語 第1章 運命の出会い 第02話

「レイ、今日も外に出ないのか」

朝の日差しに現に引き戻され、ベッドで横になっていると、スキンヘッドの大男が部屋の扉を開けて問いかけてきた、

「ああ、俺は根っからの船乗りだからな、陸の上ってのはどうにもね、揺られていないと落ち着かないのさ」

「そうだったのかそれは知らなかったな、ああ、知ってるかこの船は今ドックに入っているから揺れないぞ」

「気持ちの問題だよ、それにジェイジェイと一緒に居るとまぶしくてね」

憎まれ口を叩くとレイと呼ばれた男は大あくびをして布団を被った、それを見て呆れたのかジェイジェイはピシャリとスキンヘッドを叩き扉を閉めた。

いくつかの階段を降り船外へ出ると、少し湿った海風を深呼吸して地面を踏みしめ、

「俺はこっちのが好きだがね」

ジェイジェイはひとり呟いた、その姿を見ていたのか帽子を被った男が近付いてきて、

「おう、お前も降りてきたか」

「ああ船長、今日もレイは降りてこないみたいで、あんなんでも少しは気にしてるんですかね」

「どうだろうな、どのみち最初から狩れるなんて思っちゃあいなかったがよ」

「生きて帰った者は居ないって噂でしたからね、何とか生きちゃあいますが、船がこれじゃあね」

ジェイジェイは陸に上がった狩竜人船を指さして答えた、船長は大声で笑い違いねぇ、と同意した。

「ところでよオードリーを見なかったか、修理の工程表を頼んでいたんだがよ」

「見てませんね、探してきましょうか」

「いやそこまではしなくて良い、急いだところで整備士が居ないんじゃあな、まさかドックばっかりこんなにでかくて立派なのに整備士が居ないなんて思いもよらなかったぜ、どうりで最近は名前を聞かないと思ったよ」

「俺が船に乗り始めた頃は、まだ有名でしたけどね」

「そんなに前になるか、俺も年を取ったなぁ」

二人は顔を見合わせ、ため息を吐いた後で狩竜人船を見つめた。


港までの道のりはそれほど遠い物ではない、長距離走で走る距離としては適当ではあるだろうが、誰もがそんなに早く走れるわけでは無いという事を先生には解ってほしい。

そんな判断も出来なくなるほど、狩竜人船が見たかったのかもしれないが。

馬車に揺られて流れる景色を見ながら、港に着いても開いているのは市場だけで、ドックの中には入れないのだろう、それでも湧き上がるワクワク感に少し興奮してきた。

「せっかくだから、帰りに新鮮な魚を買って行こうか」

どうやら父も少しワクワクしているようだ。

市場の雑踏を抜けて閑散としてくると、目的の船の修理工場へ着いた、案の定扉は固く閉ざされていて、奥の方には幕に覆われた狩竜人船が見えた。

大きい。その言葉しか出てこない。

遠くに浮かんだ貨物船を見た事は何度も有ったが、陸に揚がったところは見た事が無かった。

これだけ大きな物が空を飛んできたなんて、とても信じる事が出来ない。

幕が掛かっていようが、その大きさを知れただけでも良かった、先生が夢中になるのも理解できた。

姉は僕と同じように大きさに驚いている様に見えるが、父と母は何となく優しい目をしている様に見えた。

「残念だな、もっと近くで見たかった」

僕は子供らしい駄々をこねてみたが、結果は変わらないだろうと高をくくっていた、狩竜人船の大きさには驚いたが、門の外から幕が掛けられている船をいつまでも見ているよりは、どうせなら早く市場へ行きたかった。

「中に入りたいのか・・・、よしちょっと待ってろ」

そう言うと父は門の所に有る守衛室に入って行った、移動したかったのはもう一つ理由が有って、僕たちが船を見ている間中、守衛さんが僕らの方を注視していたからだ、父はそれに気付いていなかったのだろうか頭をぺこぺこと下げながら守衛室から守衛が出てきて門の鍵を開け始めた。

僕はそれを目をまん丸にしながら驚いていると、母がその守衛に話しかけた、

「久しぶりね、エド」

「お久しぶりですエアハートさん、守衛室から見てたんですけどね、前に来たのは何年前でしたっけ、なかなか思い出せませんでしたよ、その子たちはお二人のお子さんですか」

「ええそうよ、ほら、二人ともあいさつしなさい」

母に促されて姉と二人で頭を下げたその時、ガゴンという音と共に大きな扉が開いた。


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