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僕がただ竜を殺すだけの物語 第1章 運命の出会い 第24話

周りの誰も声を掛けれる状況ではなくなっていた師範は、助けを求める様に周りを見渡したが、弟子の皆々が一切目を合わさず、一人また一人と仲間内で目配せをして立ち去って行ってしまった。

そんな哀れな師範に、とどめの一言を言ったのはシンディだった。

「あの、開店の邪魔になるので、今すぐ出て行って貰えますか」

そう言ってシンディは師範の肩を叩き退店を促す、それでも動こうとしない師範にしびれを切らしたのか、肩に置いていた手でそのまま服を掴むとずるずると扉の所まで引き摺って行き、そのまま片手で外へ放り出してしまった。

ごろごろと道に転がった師範は、暫くはそのまま倒れていたが、のろのろと立ち上がると道場の方へ歩いて行った。守備隊の人達はそんなシンディに何か言おうとしていたが、シンディに睨まれると目を逸らしてどこかへ行ってしまった。

戻って来たシンディは手を叩きながら、アル船長とレイにもお店の手伝いをするように促している、シェリーはすでに何事も無かったかのように、いつもと同じであくせくと動き回っていた。

あれだけの事が有ったのにすぐに切り替えて普段通りに戻ってしまっている、そんな姿を見て僕が呆気に取られていると、アル船長がにやにやしながら近付いてきて、

「どうだ、俺なんかよりもよっぽど女共の方が怖いだろう」

「そ、そうかな、そんな事は無いと思います」

「そうか、じゃあお前の父ちゃんと母ちゃんはどっちが怖いよ」

「それは・・・母です」

「だろう、あいつらあんなんだから恋人も居なくてよ、女はよ母になるともっともっと強くなるもんだから、今からあれじゃあ嫁の貰い手が心配でな」

「は、ははは、あ、あの、お二人ともとても美人ですし、とてもよく働いてくれてますし、とても助かってます」

「どうしたよ、お前はそんなしゃべり方だったか」

僕はアル船長から目を逸らした、本当はアル船長からではなく、その後ろに立っている二人の麗人からだったのだけれど、アル船長は後ろの二人にはまだ気が付いていないようだった。


嵐の様な時間が過ぎ、店内は一応の静寂を取り戻していた、僕はアル船長に見学の許可の確認を取らないといけない事を思い出し、アル船長にお伺いを立ててみると、今回の騒動で店にも迷惑をかけてしまったという事で、特別に本来なら入れないところまで見せて貰える事になった。レイが一緒ならどこまででも見せてくれると言っていたのは、いったいどこの事だったんだろうか・・・。


その後、報復に来るかもしれないと、店外でジェイジェイとレイが警戒していたようだけれど、特に何事も無かったようで、僕が朝起きて来た時に、今から寝ると言って客室へ入って行った。

学校では朝礼の時から先生の視線が鋭く、またマリーとアーノルドに心配をかけてしまった。

そのため、見学の許可が下りた事を伝えるついでに、今後は周りが気になる程の視線を送る事を辞める様に強く釘を刺しておいた、なんだろうこの数日で先生と僕の立場が逆転したような気がしてきた。

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