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明日の朝
どうしたもんかなと八雲は考える。もう夜も遅いしこのまま外にほっぽり出すのは獣の餌か、山の犠牲にするようなもんだし。それに今小さくうずくまる彼女には、危険性を感じなかった。
多くの修羅場を経験し、命のやり取りもしてきたが、後味の悪いことは元々嫌いな性分である。
「君さ、多分肋骨何本か折れてるし、今いくら頑張っても俺を殺すのは無理だよ。諦めて今日は大人しく寝ない?続きは明日の朝起きてからでもいいじゃん?」
そう飄々と話す八雲を見て、毒気を抜かれたのかこくんとうなずく少女。
「よしじゃあもう寝よう、言っとくけど寝てる間に襲われても俺は対処できる自信あるから。怪我してるんだし無駄な体力は使わないように。」
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おやすみーと当たり前のように言う八雲を見て、この人は割と最近まで誰かと暮らしていたんだろうかとふと思う。悪い人じゃなさそうだなとも思う。そう思ったらふと名前くらい言ってもいいかなと思った。
「まつり」
「ん?なに?」
「名前、まつり」
「え、なんで急に名前教えてくれたの?まあなんでもいいけど。おやすみまつり」
おやすみを言う相手がいるのは幸せなことだ。師匠は今頃私のことを心配しているだろうか。




