第91話 異世界編~Rokka of Revenge~邪龍ファフニールとの戦い①
「ビッチーズちゃん、さっきお腹に出てた印はなんでち?」
飛翔する魔法の絨毯に桔梗、夜花子、赤鬼で兄の赤宗丸、青鬼で弟の青隆丸の小鬼兄弟、夜魔のカント、ヴァジャイナの計6名が搭乗し、萌葱、茜、珊瑚、蒼が単独で警戒飛行をしている。
「ビッチーズ・・・なんて素敵な響きかしら。」
「子宮がキューンとする素敵な言霊。」
目を潤ませうっとりと惚けたビッチーズの尻を、小鬼兄弟が力一杯叩き正気に戻した。
「これは吸精紋といいまして私達サキュバス一族に伝わる淫紋です。
効果は男の精気を吸収して自分の活力に変えます。
そうすることで何度でも性交をすることが可能です。」
「サキュバスは妊娠しにくい体質で数打ちする必要がありまして、性交可能な体になると刻まれるのですが、それでも生涯2人授かれば御の字という確率なんです。」
カントとヴァジャイナはお腹を擦りながら交互に説明をした。
「それじゃ種族絶滅しちゃうじゃない?」
生涯出産人数が2以下ではいずれ絶滅は確定しているようなものであり、疑問に思った夜花子が問いかけた。
「はい、なので男が他種族とせっせと子作りに励みます。
今の夜魔族のほとんどが混血ですが、生まれてくる子供は夜魔族の特性を強く受け継ぎます。」
「私達も混血ですが純血とたいして変わりがありません。
王家とか貴族くらいですね純血が保たれているのは。
でもいずれ純血は廃れていくと研究者は予測を立てています。」
夜花子は現在の日本が抱える少子高齢化の問題解決を、ビッチーズの話の中で聞いた気がした。
「淫紋を良く見せて貰ってもいいでちか?」
桔梗の要求にビッチーズは顔を見合わせると小鬼兄弟を見る。
小鬼兄弟が頷くのを見ると要求に応えた。
「フムフム、ここがこうでこうなってるでちね。」
桔梗は横になり大きく開いたカントの股間に顔を突っ込み、鼻息がかかりそうなほど近づき淫紋を観察、時折指でなぞりノートに書き写していく。
鼻息と指の刺激でカントの性器から音を立てて愛液が噴き出し、桔梗の顔を汚すが全く気にならない様子で観察を続けた。
目的地であるファフニールの山に到着したと小鬼兄弟が告げ、観察が終了する。
途中カントがギブアップしたため、ヴァジャイナに代わり同じく桔梗の観察という名の凌辱になんとか耐えたが、半ば失神状態であった。
桔梗は納得いくまで観察ができたことから、ノートを見返し満足げにニコニコと笑っていた。
徒歩3日の距離を1時間足らずの飛行で到達し麓に着地すると、一旦作戦会議を兼ねた休憩を行うことにした。
「はい、冷たいお水よ。」
萌葱は湧水ボトルからマグカップに水を注ぎ、小鬼兄弟とビッチーズに勧める。
「こんな綺麗で美味しい水初めて飲んだ!」と大絶賛で、おかわりをすること1リットル以上飲み続けた。
「あんた達、おしっこしないんだな。」
水を飲んだ後小便をして戻ってきた赤宗丸が六花に尋ねる。
「してるよ、してるけど必要だから貯めてるの。」
夜花子の回答に首を捻る赤宗丸だがそれ以上の追求はしなかった。
六花の排尿は服を脱ぐことなく、採尿ホースを経由して気力電池に貯められる。
飛行もそうだが常にセンサー類を稼働している状態では溶液の減少が著しく、常に補充を行っていなければ枯渇もありえる。
なのでこまめに水分補充を行い排尿をしている状態であった。
一息ついてから、小鬼兄弟からファフニールの情報提供があり、それを元にミーティングが行われた。
邪竜 ファフニール
体高 50m 尾までの全長100m
巨大な翼で音速と同等の速度で飛翔する。
全身を漆黒の鱗と黒のオーラに覆われ熱、闇、負属性攻撃に絶対耐性があり、冷気、聖属性攻撃を弱点に持つ。
鱗は金剛石と同程度の硬度で棘上の突起は即死毒を帯びている。
射程500mの腐食属性の稲妻ブレスを吐き、回避不能でほぼ必中する。
「なにその怪獣スペック、自衛隊の装備でも殲滅できないんじゃない。」
蒼が呆れて肩を竦めた。
続いて邪竜の眷属である黒竜の説明がされる。
黒竜は全て雌で邪竜と交尾し子孫を残す役目と、巣である洞穴の警護及び狩りの役目を担っている。
常時30匹近くが巣の周りを警戒し、20匹が狩りに出ていることが確認されていた。
黒竜
体高 20m 尾までの全長50m
巨大な羽で時速300kmの速度で飛翔する。
全身を漆黒の鱗に覆われ熱、闇、負属性攻撃に耐性があり、冷気、聖属性攻撃を弱点に持つ。
鱗は鋼鉄と同程度の硬度で棘上の突起は麻痺毒を帯びている。
射程100mの腐食ガスブレスを吐き、直撃を喰らうと金属さえも腐食させボロボロと崩れ落ちる。
ガスを吸い込むと呼吸器が焼け爛れ窒息死する。
「装備をダメにされるとかないから!面倒くさい奴ね!」
珊瑚がチェーンガンを撫でプンスカと怒りを露わにした。
「正攻法だと今後の活動に影響が出そうだから奇襲しましょう。」
「なにかいい案があるの蒼?」
「よくぞ聞いてくれました萌葱!遮蔽で近づいて黒竜は夜花子の黒雷花で一網打尽にして、邪竜は私の天炎花で「薙ぎ払え!」するのよ。
動作と性能確認は必要でしょう?
かなり強い奴だから威力を確かめるのに最適だと思うのよ!」
「薙ぎ払え!」をしたくてたまらない蒼は、萌葱の両腕をガツッと掴むと鼻面をくっ付けて力説した。
「あたちも蒼ちゃんの案に賛成でち。確認ちたいでち。」
桔梗の賛成もあり蒼案は採用された。
「護衛として珊瑚が同行してね、波動砲ぶっぱなすようなものだから隙ができると思うのよ、よろしくね。」
「了解!出番があるといいね!」
珊瑚はチェーンガンを撫でながら萌葱に親指を立てた。
「私と茜、桔梗、小鬼兄弟とビッチーズは待機。
戦場の良く見える高台で戦況観察を行いましょう。」
「ええ!オレもぶっ飛ばしたいぞ!」
「今回はお留守番ね、もしかしたら出番があるかも知れないし。」
「おっ!萌葱がフラグを立てた!これはあるかもな!」
「茜、何そのフラグって?」
「気にしなくていいよ!桔梗!油断するなよ!」
「わかったでち茜ちゃん!」
2人のやりとりにモヤモヤする萌葱だった。
観察班と奇襲班に分かれ行動を開始、観察班はファフニールの探知領域外3000mの高台に移動する。
「あれがファフニールの巣穴か。」
萌葱の視線の先、断崖の中腹に大きく口を開く洞穴が見える。
縦横100mはありそうな大きな洞窟の周りに多数の洞窟があり、一見蜂の巣のようにも見える。
洞窟の周りを30匹近い黒竜が絶えず飛び回り警戒しているのが見えた。
一方、奇襲班は遮蔽を展開し気力節約のため徒歩で移動をしているが、身体能力をフルに発揮し瞬く間に巣穴まで100mの距離を詰める。
夜花子は黒雷花を巣穴に向け、黒竜のロックオンをイメージすると、バイザーモニターに複数の白色ターゲットマークが現れロックオンを示す赤色に変わる。
「呪え、怒れ、狂え、死ね!出でよ混沌の雷!黒雷花!」
唱える必要のない詠唱を叫び、黒雷花を発動させる。
三節棍から数十条の漆黒の雷が一斉に放射され、一瞬で黒竜に着弾し目に見える黒竜全てががボトボトと地面に落ちた。
「その業火は全ての命の断罪なり!滅せよ!天炎花!」
やはり唱える必要のない詠唱を叫び天炎花を発動させる。
火炎放射器状の筒先から放射状の赤い火炎が放たれると次第に収束し紫色の光条となり断崖に直撃すると融解した炎の水が地面を覆い、墜落した黒竜を飲み込み瞬時に何も残さず焼き尽くした。
「薙ぎ払え!」
筒先を横に振ると紫色の光条が断崖を融解させながら、巣穴中心部を横切ると、決壊したダムのように炎の水が各巣穴から溢れだし地面に湖を作り出した。
「直上!数10!」
珊瑚の警戒に即時散開行動に移る。
珊瑚は射撃位置にブレス着弾を視認し遮蔽が有効であることを確認すると、チェーンガンで一斉射して移動を繰り返した。
「ヒャッハー!必殺!」
発射される聖弾は黒竜への特攻であり、着弾した部分が直径2mの円状に消滅する。
狩りに出ていた黒竜は珊瑚達に一撃も与える事が出来ずに、僅かな破片も残さず消滅した。
「すげえ・・・」
高台から様子を見ていた小鬼兄弟とビッチーズが腰を抜かして地面にへたり込み、ビッチーズは派手にお漏らしをしていた。
「だいたい予想通りでち。」
桔梗が腕を組みとても満足気に頷いた。
「もうあの3人だけでいいんじゃね?」
全く出番が無さそうな雰囲気に投げやりな茜。
「油断は禁物よ、炎の中で何か動いている!」
巣穴を観察していた萌葱の一声に茜達に緊張が走る。
煮えたぎる巣穴から炎に包まれたファフニールが飛び出し、急上昇した風圧で体の消火を果たすと辺りを見回す。
高台に人族の一群を見つけ咆哮しながら激突するように着地をする。
爆風と激震でコロコロ転がる小鬼兄弟とビッチーズ。
茜と桔梗が慌てて追いかけ崖から転落寸前で受け止める。
残った萌葱は1人ファフニールと対峙し睨み合いながらも、冷静にファフニールの状態を観察していた。
体のあちらこちらからブスブスと煙が立ち上り、腹の横一文字の焼け爛れた傷は未だにグツグツと燃えたぎり再生する様子が見えない。
眷属をほぼ失い、体に再生不能の傷を負わされたファフニールの瞳は激怒と憎悪の黒い炎で燃え上がっていた。
僅かにファフニールの頭部が動くのを見た桔梗が白菫花を起動し、絶対障壁を展開すると同時にブレスが炸裂する。
障壁にブレスが阻まれ目を開けていられないほどの閃光と体を震わす衝撃に晒される。
「すっげえあのブレスに耐えた!」
死を覚悟した小鬼兄弟は自分達の身に異常が無い事を確認すると震驚し、ビッチーズはこれまた盛大にお漏らしをして気絶していた。
「守護せちは弱き者!鉄壁の盾顕現せり!白菫花!」
突如桔梗が詠唱を叫ぶと小鬼兄弟がキョトンとした目で見た。
ブレスが吐かれる瞬間、茜はロケットの打ち上げように空中に飛び上がり、あっという間に高度1万m迄上昇すると眼下に黒竜の群れを見つける。
「オシッ!出番だ!」
頭を下に向け黒竜の群れに落下速度と噴射加速を上乗せして急接近すると、クルリと向きを変える。
更に10に分身をすると紅雷花を発動させ、一度に全ての黒竜に普通の蹴りを当てる。
黒竜は成す術なく体を粉砕され、血の雲が出来上がった。
「まだまだ!」
茜の10の分身は回転しながら、炎と雷の大槍となってファフニール目がけて落下していった。




