第85話 学園編完結 学園祭狂騒曲 最終目 その4
ライブ映像はインターネットを介して配信される暗号データーであり、一般のユーザーでは視聴不可能である。
しかし、とある諜報組織の熱狂的なAKBFファンが興味を持ち暗号を解読して映像の視聴を可能とした。
「これは君達のベイビーとかじゃない?」
暗く蒸した部屋のモニターにチームKRのライブ映像が流れる。
四肢を拘束され屈辱的なポーズを強いられた全裸の女性達がそれを見ると、ボールギャグで口枷をされてはいるが口々にベイビーの名を呼び、輝きを失った瞳がみるみると光を取り戻すと、喜色に満ちた笑顔に変わっていった。
「君達がなかなか折れないから面白い余興を用意したよ。」
映像が高高度から撮影された大型旅客機に切り替わると、男が愉快そうに解説を始めた。
「これは某国のテロリストにハイジャックされていてね。
丁度君達のベイビーがいる場所の近くを飛行しているんだよね。
さて、ここに彼らと話しができる無線機がある。
彼らはボクにたいへん忠実でなんでも言う事を聞くんだ。
今から君達のベイビー目がけて特攻させようと思うんだけど。
どうかな?」
それを聞いた女性達は狂ったように呻きながら戒めを外そうと暴れるが、拘束はビクともしなかった。
「ははっ!とても大切なんだね!名前通り本当に雌ゴリラだ!
ベイビー達が爆散する姿を見れば心が折れそうで楽しみだよ!
さて、ショーを始めようか!」
男が無線で指示を送ると旅客機が急降下を始める。
雌ゴリラは四肢が千切れそうな勢いで拘束に抗った。
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「なあ、あのヒコーキ変じゃないか?」
茜が空を見上げて指差す方向を見ると機首がこちらを向いていた。
「まさかここに落ちてくる?」
「珊瑚、変な冗談はやめて。」
と言いつつも明らかにこちらに向かってくる旅客機に蒼は目が離せない。
(逃げて!)
萌葱は扶桑の悲痛な叫び声を聞いた。
「みんな!あれここに落ちてくる!全員を避難させて!」
「どうしたの、萌葱。」
「蒔子ママが逃げろって!」
「そうは言ってもあと1分もないんじゃない、避難は無理よ。」
夜花子は諦めた表情で萌葱の肩を叩いた。
(何か回避する方法があるはず。
空を飛べたらあんなの押し返してやるのに。
ん?空を飛ぶ・・・。
確かアイアン〇ンは手足からエネルギーを放出して飛行してたよね。
気を放出して同じことはできないかな。
考えている時間はない!)
萌葱は呼吸法でチャクラをフル回転させると、手足から気を放出するイメージをする。
「一度に放出するんじゃない、絞って少しづつ・・・」
ブツブツと呟く萌葱が何かをしようとしている事が分った姉妹は同じように気の放出を真似た。
「そう、チャクラがエンジンで気がジェット噴射。
この回路を繋げば・・・」
チャクラから手足を通してジェット噴射するイメージを完成させると、体がフワリと浮き上がった。
「浮いた?飛んだ!!」
研修生や観客が萌葱が浮き上がり、猛スピードで上昇するのを目撃した。
「やったー!飛べた!」
喜びも束の間、迫りくる旅客機を目の前に障壁を張り機首に取り付いた。
「こんなものー!押し返してやるー!」
全力で足から気を噴射するが勢いが緩まない。
「違うよ萌葱!下から押し上げるんだ!」
「あんただけにカッコいい真似させられないんだからね!」
「発想はよかったけど詰めが甘いな。」
「あたち空を飛んでいる!凄い!凄い!」
「よっしゃー!んでこれどうすんだ!」
夜花子が機首下に取り付くと、珊瑚が、蒼が、桔梗が、茜が、次々と機首下に取り付き機種の向きを変える。
学園まで100mの距離で水平飛行になり一応の危機は回避された。
しかし、旅客機側でエンジンを停止させると急激に高度が下がり始める。
六花は下から機体を支え、滑空で着陸させる場所を探した。
「代々木公園が一番広いわ!あそこに降ろしましょう!」
眼前に緑豊かな広大な敷地が広がっている。
六花は失速寸前まで速度を落とすと旅客機を林の中に軟着陸させる。
幸いにも機体に大きな損傷は無く火も出なかった。
しばらく搭乗員が脱出するものと見ていたが動きが無い。
不審に思った茜が操縦室を覗くと突然発砲されるが、ガラスにヒビが入っただけで貫通してこなかった。
「ハイジャックされてるぞ!」
「どうりでおかしな飛行をしていた訳ね、どうする萌葱?」
茜の報告に蒼が萌葱の判断を問う。
「乗りかけた船よね、茜と珊瑚は操縦席の制圧、私と夜花子は客室前方、蒼と桔梗は客室後方、ちゃっちゃっと片づけよう。」
「了解!リーダー!」
六花はあっという間に13人のテロリストを捕縛して乗客を救出する。
多数のパトカーや消防車のサイレン音が近づいてくるのを察知して、テロリスト達を機長達に託しその場を離れると、人目の無い場所で空を飛び学園を目指した。
六花が空を飛び急降下する旅客機をどこかに運んだ事で、大混乱している最中に六花が舞い降りてきた。
「姐さん!どういう事ですか?!」
研修生センターの古井 紗英が真っ先に駆け寄り、珊瑚の体に異常が無いか調べまくる。
他の研修生も六花を取り囲み、口々に何が起きたのか聞き出そうとしていた。
「皆さん無事ですか?!」
更に財閥令嬢達と波多野までもがステージに上がり、六花の無事を確認し始めた。
「ちょっと落ちていてください、いいですかヒッヒッフーです。
はい!ヒッヒッフー!」
萌葱の音頭で皆がヒッヒッフーを繰り返し、多少の落ち着きを取り戻した。
「落ち着きました?では疑問にお答えします。
あの旅客機はテロリストによってハイジャックされ、学園に特攻を仕掛けてきました。
理由は不明ですが、多分重要人物の肉親の殺害と思われます。
旅客機は代々木公園に着陸し、テロリストは捕獲済みです。
すぐにでも警察に引き渡されると思います。」
萌葱は安心してくださいのポーズを取り皆を和ませた。
「それよりもどうやって飛んだんですか?!」
研修生のひとりの突っ込みで場が再び騒然となり、客席からも説明を求める声が上がると六花は顔を見合わせ空へ逃げた。
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モニターの前で男がプルプルと震え怒りを露にしている。
雌ゴリラが体をブルブル震わせて、声が出せない大笑いをしている。
男は椅子から立ち上がると、モニターを乱暴に倒し幾度も踏みつける。
そして数回深呼吸して雌ゴリラに向き直った。
「いや、私としたことが醜態をさらしました。
曲がりなりにも神であるのに面目ないことです。」
双子の邪神の片割れ呂威牙はソファーに腰掛けると、獄卒達に指示を与える。
獄卒達は雌ゴリラの頭と瞼を器具で固定した。
「さて、君達は呆れかえるくらいタフだよね。
女性にとって最悪な凌辱も肉体と精神の苦痛にも耐えるとかどんな作りをしてるのさ?
服従を誓えば助けられた命がたくさんあったのに平気で見殺しにするし。
君らの仲間全員家畜の餌になっちゃったよ。
いい加減心が折れて欲しいんだけど。
という訳で今日はあの娘位の子供達を目の前で拷問しまーす。」
座り直すと居住まいを正し、指をパチンと鳴らした。
黒い布袋を被せられた少女が6人、獄卒達に連れられてくる。
獄卒が布袋を外すと六花と容姿が同じ怯えた顔が現れた。
「どうだい?背の高さ、体形が同じだろう?顔は整形したからね。
どこから見ても本人にしか見えないよね?
この娘達はみんな処女なんだよね。
まずはお馴染みのチョーチョーとの性交から始めようか。
来い我が眷属よ、好きに貪れ。」
呂威牙が手を開き空間にかざすと黒い門が開き、中から1mほどの背丈の人影がワラワラと湧いて出る。
その数18体、いずれも全裸で腹が大きく出っ張り、肌が垢と排泄物で汚れ酷い匂いを放つ。
頭髪は無く、長く突き出た鼻と耳、口は大きく裂けまっ黄色の乱杭歯が見える。
そして、股間からダランと垂れた生殖器には無数の大小のコブがあり、地面に引き摺り歩いていた。
「いつ見ても醜悪でおまけに臭い。
君らこいつらの凌辱によく3日も耐えたね。
まさかこいつらが先に潰れるとは思わなかったよ。
さて、この娘達は何分持つのかな?」
チョーチョー達に襲われる少女の悲鳴が部屋の中に響き渡った。
チョーチョーは少女の3穴を凌辱し尽くし、反応が無くなると手足を折り、それでも反応が無くなると、生きたまま喰らった。
雌ゴリラは少女達の助命嘆願を全て無視し、彼女達の命が消えていく様を空虚な瞳で見届ける。
やがて10組目の少女達の命が潰えて惨劇は終了した。
「あなた達に人の心は無いのですか?」
呆れかえった呂威牙が部屋を出ていくとチョーチョーが、雌ゴリラの前に少女達の生首を並べ始める。
恐怖と苦痛と恨みで歪んだ顔が雌ゴリラを見ていた。
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その日の19時、四具祖とナイラー、5大財閥頭首及び令嬢、筆頭執事長が六花の私物を携え薄葉邸を訪れる。
狼牙は客人を居間に通し、2階で何やら話し合いをしている六花を呼び出した。
「私達、もう学園に戻りません。
少し早いですが、異世界リベンジを決行します。
出発は明日の朝、3月のアリーナライブ迄に戻ります。」
横並びで土下座をする六花に皆が絶句する。
「待って萌葱!それって退学するという事ですか?!」
財前の悲痛な叫びに令嬢達は動揺し六花の元へ駆け寄った。
「それについては儂から説明しよう。」
四具祖は六花を学園に編入した経緯と背景を説明し、次の任務が来年4月から発動することも付け加えた。
「なんとかなりませんか?!学費、生活費諸々は私達が工面します!」
令嬢達の訴えは「国務」の一言で却下された。
「いやああああ!」
令嬢達はセカンドパートナーにしがみつくと滂沱の涙を流し、長い時間嗚咽を漏らした。
泣きつかれた令嬢達にクスリを盛り、眠りにつかせると執事長がリムジンへ運んでいく。
四具祖と頭首、六花、狼牙は今後のスケジュール確認を行い、特攻を未然に防いだお礼と別れの挨拶を済ませそれぞれの家に帰っていった。
「俺も同行したいが望んでいないんだろう?」
「これは私達のアイデンティティの問題です。
私達だけで解決しなくてはならないんです。」
「了解だ、くれぐれも無茶をしないでくれよ。」
「はい!!!!!!」
主張を認められた六花は輝かんばかりの笑顔を浮かべた。
「本当にいい笑顔だこと。
お前さん達のことだから余計な心配はしんせんが、くれぐれもお調子者にならねえように良う肝に銘じておきなんし。
無事な帰りを待ってやす。
気を付けていってらっしゃい。」
「はい!お母さん!」
薄葉はひとりづつ抱きしめると額にお休みの口付けをした。
翌日早朝、狼牙、薄葉、お糸に見送られ、魔法の絨毯がまだ明けきらぬ空に舞い上がる。
学園制服を着用し荷物はデイバッグに最低限だけ詰め込む。
あとは別荘に行けばあらかた揃う。
目指すは北の大地、北海道。
魔法の絨毯は最大加速で寒空を突き進む。
彼女達の表情に不安や恐れはない。
これから起こるであろう出来事に心を躍らせている。
六花の新しい冒険の幕が開かれた。




