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六花と槍の物語  作者: hiddenkai
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第83話 学園編㉟ 学園祭狂騒曲 最終目 その2

「皆さん、本日はお越しいただき誠にありがとうございます。

さて、皆さんには私達がどのような関係に見えますか?」

西園寺の問い掛けに誰も答えない、いや答えられない。

西園寺は自分の派閥のひとりに名指しで問い掛けた。


「佐藤 美樹さん、私達はどのような関係に見えますか?」

指名された佐藤は周りをキョロキョロと見回し自分であることを確信すると、一度大きく深呼吸をして答えた。


「私には、その、なんらかの条約を結ばれた関係に見えます。

講和とか友好とか安全保障、平和条約とかです。」

西園寺は苦笑いをしながら佐藤に礼を述べ、財前にバトンを渡す。

財前も同じ質問を自分の派閥生徒に質問し、やはり難しい単語を並べた回答をされる。

以下、伊集院、綾小路、京極も繰り返すが、いずれも同様の答えしか返ってこなかった。


「皆さんには私達がよほど権謀術数に長けた人物に見えるのですね、かなり買い被られていられると思います。もっと単純に見てください。

私達は友達です。親友なのです。

そして生涯を共にすると誓い合ったパートナーでもあります。」

京極の発言にキツイ雰囲気のメガネ女子が声を上げた。


「は?何のご冗談を言われてるんですか?親友?パートナー?

京極様は学園一の秀才であり、言葉の意味を理解されていると思います。

そのような戯言で私達を油断させて、不用意な発言を誘発させようとしていませんか?

不穏分子を取り除くことを画策されていてもおかしくはありませんね。」

彼女は京極と3学年一位を競う生徒であり、伊集院派閥でもある。

無論伊集院と京極は対立派閥であり、物言いに手加減はなかった。


「そうですね、少し前の私でしたら考えていたかもしれません。

それこそ、敵対派閥の内部分裂も画策していたことでしょう。

ですが、今は言葉より私達自身を見て判断してください。」

令嬢達は寄り添い身をひとつにするように互いの体を抱きしめる。

もし、派閥という色メガネが無ければ、中睦ましい女同志が互いを思い合い、安らぎと信頼を感じさせる風景であったであろう。


しかし、彼女達にはパフォーマンスにしか見えず、先ほどの京極の内部分裂発言を逆手に取った、敵対派閥の非難と罵倒が上がり始める。

それに対応するように、京極派閥からも敵対派閥に対する非難と罵倒の応酬がなされ、瞬く間に全派閥同志の言い合いに飛び火していった。


口喧嘩はエスカレートしていき、やがては胸ぐらを掴み合う者さえ出てくると、暴力行為の発生は時間の問題と思われた矢先に女の嬌声が聞こえてきた。


徐々に大きくなる甘く狂おしい嬌声の方を見る生徒達は、視界の先に自分の主である令嬢達が、全裸で敵対派閥令嬢の体を愛撫する姿を見る。

西園寺が伊集院の、伊集院が京極の、京極が財前の、財前が綾小路の、綾小路が西園寺の股間を舌で舐め回し、指を抜き差ししていた。


「はああうっ!!」

ほぼ同時に全員が果てると、しばらくの間ぐったりとしていたが起き上がると全員が口付けを交わし生徒達に向き直った。


「見ての通り私達は愛し合っています。

今まで親の言いなりで敵対していたことが馬鹿らしいです。

もっと早くに愛し合えていたらと思うと、いかに時間を無駄にしていたかと思わずにいられません。

私達はこれからも愛し合います。

あなた達はどうしますか?」

伊集院は体を隠すことなく皆の前にさらけ出しながら問うた。


生徒達は一連の流れで思考が麻痺し、自分が一体何を見たのか理解できなかった。

理解できなくても見た感想が心の中に言葉として浮かびあがる。

エロい、汚らしい、キレイ、嫌ぁ、イイ、そして誰もの心の中に浮かび上がった言葉は「羨ましい」だった。


「綾小路様!その、私も綾小路様と愛し合う事ができますか!?」

メガネを掛けた野暮ったい如何にも腐女子といった様相の生徒が声を大にして叫んだ。


「どうして私なの?」

綾小路の問い掛けに腐女子は舞台前まで来ると膝をつき、秘めた想いを告白した。


「わ、私、綾小路様の男装が好きなんです!

あのお姿を見てから3次元の男がナスやピーマンに見えるんです!

もう3次元に興味を持つことができません!

ですから、私にご寵愛をください!

このまま人肌の温もりを知らずに高齢処女になるのは嫌なんです!

よろしくご検討お願いします!」

腐女子の訴えに派閥を越えた綾小路推しが舞台前に殺到し、膝をつき懇願を始める。

綾小路は慌てることなく片膝をつき、皆と目線を同じにした。


「皆さんの想いは確かに受け取りました。

ですが私達は互いの価値観の違いについて共有していません。

なので私達が共有する価値観を皆さんに伝えようと思います。

そして判断してください。

今後長くお付き合いができるかどうかを。」

綾小路推し達は正座をして背筋を伸ばす。

綾小路も正座をして皆と対面した。


「私達は従来の法律にある婚姻契約を生涯結びません。

そしてひとりのパートナーと決めず、性別関係なく多くのパートナーと信頼関係を結びます。

互いを束縛すること無く自由であり、全てにおいて自己責任である自立した生活を望みます。

また婚姻契約を結ばれた方とのパートナーは解消いたします。

法律の厳守は絶対であり法治国家に生きる者の責務ですので。

ですが、親友としてお付き合いなら、なんら問題はないですよね?」

綾小路の説明に推し達は不思議そうな顔をする。

そして婦女子が疑問を問い掛けた。


「綾小路様、それは生涯結婚せず独身でいるだけなのでは?」

「その通りです。」

「でも、お家が許してくださるのですか?」

大財閥の令嬢が生涯未婚だなんて聞いた事がない。

生徒一同は婦女子同様に疑問に思った。


「実は既に綾小路頭首から許可を頂いております。

私だけでなく、寿子、康子、侑加、恵三子もそれぞれ頭首から許可を頂いております。」

綾小路が令嬢の名前を呼び捨てにしたことで場の空気が変わる。

3学年2位嬢はとてつもない変革が訪れる前触れを感じ、瞬時に頭を切り替えた。


(あの5人の結びつきは今の日本の一般的な常識から鑑みれば異端だ。

そして、日本の経済を牛耳る頭首達が否定どころか肯定している。

私達の知らないところで大きな変革がされようとしている。

そしてその中心人物がこの方達だ、間違いない!

この方達に着いていけば、日本の変革を中心から見れる!

こんな楽しそうな事は生涯ないぞ!結婚できない?上等だ!

男なんかこれに比べれば塵芥ちりあくたにすぎない!)

3学年2位嬢は衣服を脱ぎ捨て全裸になると、令嬢達の前に正座をし三つ指を着いて頭を下げた。


「京極さま、いえ、京極さん、先ほどの無礼本当にごめんなさい。

派閥とか成績順位とかで感情的になってました。

私はあなた達の生き方に共感しました。

共に同じ道を歩んで行きたいと思います。

私の名前は黒川 優。

優と呼び捨てにしてください。

私もあなた達を呼び捨てにして構わないかしら?」

「いいよ、優。これからよろしくね。」

京極はにんまりと笑顔を作り両腕を差し出した。


「ありがとう、恵三子。」

黒川は京極に抱き着き口付けを交わすと、西園寺達とも抱擁と口付けを交わした。


その光景を見て、黒川と同じ結論に達した生徒は数名いたが、名乗り出ることができない。

一度このグループに所属してしまうと抜け出す事は困難であろう。

グループメンバーが脱退を阻止するのではなく、自分自身が脱退を拒んでしまうに違いない。

今までとは違う刺激的な生活が始まるに違いない。

きっと男など目もくれぬヘヴィな日常だ。

それにどっぷりと浸かれば生涯独身は決定事項である。

幼いころから夢に見ていていたお嫁さんが潰えてしまう。

家族の反対もあるだろう、悲しませることにもなるだろう。

そう思うと名乗ることができなかった。


「今ここで決めることはありません。

今日は私達の気持ちを伝える事ができただけで十分です。

私達が活動を起こすのは、このメンバーが全員大学を卒業してからです。

まだ、6年以上猶予があります。

その時、皆さんと派閥の垣根を無くし、等しくお付き合いできればと心から願います。」

財前の発言にホッと息を漏らす者、決意を固めた表情になる者、将来における自分の立場を想像して沈みこむ者と様々な反応が見られた。


「あら、いけない!大分時間が経ってしまいました。

急いでお食事にいたしましょう。」

時刻は10:15を回っている。

生徒達は味が分からぬ食事を済ますとすぐに妓楼を後にする。

そして父母と話し合うべく急ぎ連絡を取った。


「九条 沙也加さん少しお時間いいかしら?」

食事を済ませ立ち上がろうとした時、伊集院に声を掛けられる。

九条は驚き「はひ!」と裏返った声で返事をした。


「あなたは私達の話しを聞いてどう思いましたか?」

「えっ!あの、その、素晴らしいお考えかと存じます!」

「本当に?」

伊集院の目が九条の心の内を探るように細められた。


「正直に言ってください。」

「ええ!・・・言えません。」

「そうなの?残念ね。」

「ざ、残念!どういう意味でしょうか?!」

「2日目に入場できなかったのは抽選の結果ではないの。

私ができないように手を打ったの。」

「それはどういう事でしょうか?!」

「2日目に入場した人達の顔を思い出してみて。」

そう言われて思い返すと、父親を含め、あまり評判の良い者達ではない。

そして、ハッと思いついた。


「もしかして何らかの査定を行っているのですか?」

信じたくはないが我が家の評価は、高位の者達から見て低いのではと思いを巡らせ、血の気が引いた。


「私はあなたの事をそれなりに評価しているのよ。

確かに負けん気が強くて意地悪な面もあるわ。

けど派閥のメンバーには面倒見が良くて、嫌味もあるけど良く助けてあげている。

要はツンデレさんなのよね。」

九条は正直、伊集院がここまで自分を見ていてくれたことに、恐怖を感じながらもとても感激し感謝した。

そして、九条家の先行きが暗いということも感じ取った。


「九条家は弟が必ず伊集院様のお目に叶うよう変革してくれると信じております。

どうか今しばらくお目こぼしいただけますよう切にお願いいたします。」

九条は伊集院の足元に土下座をして懇願した。


「あなたはどうするのかしら?」

「はい!私もこれまで以上に弟に協力して、粉骨砕身、助力していく所存でございます。」

「そうなのね、仮にお父上を放逐することになったとしても?」

「は、は、はいぃぃ!その時が来れば私自ら手を下す所存です!」

「ふふ、そんなに気を張らなくてもいいのよ。

あ、そうだ、私に九条家をどうこうする力はありません。

全てはお爺様が判断を下すことです。

少し口が過ぎましたね、ごめんなさいね沙也加。」

九条は名を呼び捨てにされ、感激のあまり嬉ションを漏らした。


「あらたいへん!すぐに着替えましょう。

こちらにいらっしゃい沙也加。」

手を握り力強く引き立たせると、そのまま九条を抱きしめ耳元で囁いた。


「私、欲しいモノは手に入れないと気の済まない性分なんです。

大人しく私のモノになりなさい、生涯可愛がってあげるわ。」

息が止まるほど強く抱擁され、生涯で初めて耳元で囁かれる。

伊集院は九条の耳を頬張ると舌で耳穴を執拗に責め立てる。

粘膜が擦れる音と耳穴からくる快感で、正常な思考ができない九条に拒否という選択肢はなかった。


「はひ。」

酸欠と快感で朦朧とする意識状態でかろうじて一言だけ答える。

体が痙攣した後に弛緩して大量の小便が足を流れ落ちるのを感じる。

初めて他人にイカされた九条は幸福な気持ちのまま意識を失った。


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