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六花と槍の物語  作者: hiddenkai
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第79話 学園編㉛ 学園祭狂騒曲 2日目 その2

2幕開始を告げる太鼓の音が響き渡る。

花魁侑加と花魁桔梗がしずしずと歩を進め、舞台中央で三つ指を着いて挨拶を行う。

一部の集団から大きな拍手が起こり、その中に九条の姿もあった。


「侑加様と一緒にいるのは学園生徒で間違いないのか?」

九条が取り巻きの1人に尋ねると「間違いありません」と返ってきた。


(沙也加の情報では常に孤立し友達がいないと聞いていたが。

あの気難しい侑加様を手なずけるとは見どころのある少女だな。

ここはひとつ彼女を我が陣営に引き入れ侑加様を懐柔するか。)


「おい、あの少女の身元を洗いだし、我らに影響を与える家でなければ拉致して洗脳を行え。

絶対服従を誓わせ逃げられないように徹底して体に覚えさせろ。

やり方は任せる、存分にやれ。」

取り巻きの1人が「承知いたしました。」と答え、一度桔梗を凝視すると下卑た笑いを浮かべ出て行く。

踊りが終わるが先ほどの男達のような暴挙に出る者はおらず、何事も無く2人は幕裏へと消えていった。


幕間での遊女の逆ナンパが再び始まり、今度は派閥以外の男達にも声を掛け始めた。


「へえ、君は西園寺派閥なんだね。」

美奈にケンカを売った女が京極派閥の男に仕掛ける。

男は暇つぶし程度に女と話を始めた。


「それで君が求める理想の男性像を聞かせてよ。」

男に尋ねられると「待ってました」と言わんばかりに喋りはじめた。


「私の要望はあくまで普通の男性なんです。

まずは身長ですね、170cm以下に人権はありません。

顔は高橋一生以上、年齢は30才以下、六大学卒業で、趣味はヨットや乗馬で、クルマはベンツのEクラス以上、清潔感があって、自然に気配りができて、酒やギャンブルをしなくて、私になんでも買ってくれて、3か月に一度海外旅行に連れて行ってくれて、家事や育児をやらせず、私をが必要な時に側にいてくれて、私が1人になりたいときは何も聞かずに放っておいてくれるの。

そして何より大切ななことは資産と年収。

長男ならば相続するわけだから10億以上の資産があって、年収は1億以上、何があってもこれだけは譲れません。」

女の戯言に嫌気がさし途中で右から左に聞き流し酒をあおっていた。


「ちゃんと聞いてくれていましたか?」

「ええ、勿論ですとも。私から質問よろしいでしょうか?」

「はい、なんなりと。」

男は向き直ると軽く咳払いをして喋りはじめた。


「あなたは今何歳ですか?」

「!?・・・女性に年を聞くのはマナー違反ではなくて!」

「ならいいです、お仕事は何をされていますか?」

「家事手伝いですわ、日々お母さまの元で花嫁修業をしております。」

「要するに無職の寄生虫ですか?はあ・・・」

「き!失礼ではなくて!謝罪を要求します!」

「私は長男で実家の資産は30億位、年収は2億ほどですが。」

「し、失礼いたしました!」

金の話を聞いた途端、女の怒りは鎮火され媚びた雰囲気が漂う。


「それを先におっしゃってください、あなたの評価はMAXです。」

「はて、私の身長は165cmですが。」

「5cmなんて誤差です。」

「人権が無いのでは?」

「そんなことはありません、容姿含めて身体的特徴で人を判断するなど、人としてあるまじき思想でありクズです。」

「あなたはクズなのですか?」

「今考えを改めました、あなたに出会って私は生まれ変わりました!」

「そうですか、では改めて年齢を正直に教えてください。」

「さ、さんじゅう、34才です!」

「ウソをつきましたね、私の情報網はあなたは39才とありますが。」

「ごめんなさい!でも若く見えるでしょう?20代に見えるとよく言われるんですよ!」

確かに若く見えるが、美容整形の結果なのだろうと察しが付いた。


「長男と結婚すると跡継ぎを産むことが必須となりますが、産めるんですか?産めるとしても染色体異常の確立が跳ね上がりますが。」

「今は医療技術の発達で40才を越えても妊娠は可能ですよ!

羊水検査で染色体異常は分かります!

ダメなら堕胎すればいいだけです!」

「あなたは堕胎に抵抗がないのですね。

何人も堕胎しているようですが子宮は正常ですか?

随分前からピルを飲まずに無避妊で性交されているようですが、妊娠されていないようですね。」

「そんな情報をどこで!?」

「私達には独自の女性に関するネットワークがあります。

そこであなたの情報が多数共有されているんですよ。」

男は無表情で女に紙媒体の情報源を見せると、ヒステリーな叫び声を発して引ったくるとびりびりに破り捨て、あらん限りの大声で罵声を浴びせかけると足早に退場していった。


「災難だったな。」

「いやあ、すっきりしたよ。あの顔見たか?

アラフォーの醜いおばさんの本性丸出しの顔をさ!

これだから婚活おばさんをからかうのは止められないよ!」

同僚は本気で喜ぶ男の性根の悪さに感服した。


▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽


少し前、個室に連れ込まれた美奈は布団の上で正座をして飯郡と対峙していた。


「私はね、カエル顔の女性がとても好きなんですよ。

なんでしょうね?本能とでもいいましょうか。

とにかく食べたくて仕方がないんです。

そう、丸呑みしてしまいたい。

ですが、流石にこの体で人間を丸呑みなんてできません。

そこでですね、私は今から本性を現します。

よく見ていてください。」

全裸になった飯郡の生殖器がはち切れそうに膨張している。

その生殖器は二対あり全体が棘のような突起が生えていた。

美奈はそれを見て小便を漏らした。


「おやおやレディたるものはしたないと思いますよ。

さてこれから交尾を始めます。

その前に快楽を与えるお薬を投与しましょう。」

飯郡の顔が膨張すると蛇そのものに変化し鋭い牙が剥きだしになる。

美奈の耳元まで首がニュッと伸び囁きかけた。


「怖くはありませんよ、このお薬は全身の性感を10倍にします。

どんな苦痛でも快楽に変えてしまう素晴らしい毒です。

そうそう、私の精液は体を内側からとろけさせてしまうので、美奈さんは死んでしまいますが、ちゃんと私が丸呑みしますので安心してください。

完全に消化し終える迄、快楽は続きますので痛みは一切ありません。

では美奈さん、私と永遠にひとつになりましょうか?」

牙が首筋に刺し込まれると美奈の体がビクンと痙攣する。

恐怖に歪んでいた顔が徐々に蕩けていきビクビクと激しく痙攣を始める。

だらしなく開かれた口から涎が溢れ出る。

牙が抜かれる瞬間、絶頂に達し仰向けになると体が幾度も跳ね上がり、小便を吹き出し続けた。


飯郡は美奈の着物を剥ぎ取り、大きく股を開くと二股に割れた舌を股間に差し込み乱暴に動かし始める。

舌が動く度に声にならない嬌声を上げ、激しくはげしく体が痙攣する。


「さてこれ以上、焦らすのは野暮ですね。では、挿入しますよ。」

二対の性器が二穴にあてがわれ徐々に体内に侵入していく。

棘は柔らかく肉穴を傷つけずに内壁を刺激している。

完全に埋没した時、美奈はあまりの快感で気を失った。


「おやおや気絶しては面白くないではありませんか。

美奈さん起きなさい、美奈さん。」

ペシペシと頬を叩く度、体が痙攣して反応するが意識が戻らなかった。


「前戯が激しすぎましたか失敗失敗。

さて、どうしたものか、このまま戴いても面白くありませんねぇ。

一度毒が抜けるまで待つとしましょうか。」

飯郡は美奈の手足を縛り、猿ぐつわを咬ませると空間に収納庫を開き放りこんだ。


「さて、帰ってからのお楽しみができました。」

着衣を整え何食わぬ顔で個室を出ると、涙で化粧を崩した狐顔の女が髪を振り乱し走り去っていった。


「狐と狸顔の女は戴けませんねぇ、あいつらは蛇を食べますからねぇ。」

くわばらくわばらと呟きながら座敷へと向かい歩き出した。


▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽


「なんか気持ち悪い気を感じたぞ!」

茜が突然立ち上がり周りをキョロキョロと見渡した。


「どうしたん?急に。」

午前中は手持無沙汰の珊瑚がスマホから目を離し茜を見た。


「校長が発してた気に似てる!邪神の気だ!間違いない!」

興奮して化粧室から飛び出した茜を珊瑚が追いかける。

茜は座敷に駆け込むと珊瑚に手を差し出した。


「手を握って!」

すぐさま手を握ると気のやりとりを始める。


「この気だ!」

茜から万色の混沌とした気のイメージが珊瑚に流れ込む。

珊瑚はその気のおぞましさに毛を逆立てた。


「やばいね、2人だけじゃ手に負えないじゃない。」

「オレはこの気の奴を特定する!珊瑚はみんなを集めてくれ!」

「分かったよ!無茶しちゃだめよ!」

「オレは異世界で過信しすぎて失敗した、絶対無茶はしない。」

「すぐに戻るよ。」

珊瑚は皆が待機する控室に駆け出した。


「みんな!緊急事態発生よ!」

控室に飛び込んだ珊瑚が大声で叫ぶと、萌葱、夜花子、蒼、桔梗がすぐに集まってきた。


「どうしたの?茜になにかあった?」

茜は西園寺と次の出番だが一向に姿を見せないため、皆が心配し始めていた矢先であった。


「茜が邪神の気を察知したの!今座敷で特定をしているわ!

直ぐに茜と合流しないと!」

言い終わるより早く六花が控室を飛び出していく。

残された令嬢達はポカンとして六花を見送った。


「茜!どいつ!」

「みんな手を繋いで!」

萌葱が茜の脇に立ち手を握ると指差す方を見る。

六花が手を繋ぎ同じ方向を見ると長身の男から湧き出る気を確認した。


「なるほど邪神だわ。」

蒼の声が僅かに武者震いで揺れる。


「ここで一戦やらかすのは不味いね。」

「死者累々なのが目に見えるわ。」

夜花子の手を握る珊瑚が共にじっとりと手の平が濡れるのを感じる。


「おうちに帰って魔法の用意をしないとダメでち。」

「桔梗の言う通りだ、素手だと多分敵わない。」

桔梗の数式魔法がなければ敗北は確定、萌葱は同意した。


「とにかくここでは戦えないな!どこかにおびき出すか!」

「今迄人間社会に溶け込んでいたわけだから、ここで暴れることはないと思う。顔は覚えたから理事長に個人情報の特定をお願いしよう。

勝負はアイツがここから出てから、それまでに準備を整えましょう。

私は理事長に状況を説明する。

夜花子と珊瑚はあいつの監視。

蒼と桔梗はウチに帰ってお弁当の配達と魔法の用意。

茜は踊りの準備。

努めて平静に奴に気取られることなく慎重に。」

萌葱の指示に皆が頷くと静かに解散し与えられた任務に就いた。


萌葱は理事長室に出向き、四具祖に状況を伝える。

四具祖はナイラーを招集すると、監視カメラで飯郡を特定しデータベースから個人情報をプリントアウトして警備担当に共有した。


「さて、またあんな化け物を相手にするわけだが勝算はあるのか?」

不安げな四具祖の問い掛けに萌葱が胸を張った。


「大丈夫です!今の私達には魔法があります!

過信するわけではありませんが、決して引けは取りません!」

「ふむ、君の言葉を信用しよう。儂は何をすれば良いかな?」

「何事もなかったように普通にしていてください。

あいつを刺激することが一番の悪手です。」

「うむ、了解じゃ。とりあえず頭首達は避難させておくとしよう。」

「あと、お昼ご飯はどうなりました?」

「そうじゃ、それだがな今時分が盛りであろう。

座敷に戻って見なさい、面白いものが見れるじゃろう。

うな重は控え室に届けるように指示しておる。」

「ありがとうございます!では失礼します!」

ペコリと頭を下げるとあっと言う間に理事長室から出て行った。


「真面目な子じゃのう、萌葱ちゃんは。」

「それにしっかりとしていて戦略眼もあります。

だれか良い軍師に師事させてみますか?」

「良い案だ、これからの日本は優秀な人材、特に軍人がいくら居ても足らんからな。」

四具祖は来るべき日本の未来に備えて、人的資源の確保が急務と考えていた。

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