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六花と槍の物語  作者: hiddenkai
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第72話 学園編㉕ 学園祭狂騒曲 1日目 その5

挿絵(By みてみん)


舞台裏に引っ込んだ太夫令嬢達は虚脱状態に陥り、蒼に回復を唱えて貰ったものの精神が回復せず一同寝込んでしまう。

寿子の兄宗近は一時心肺停止状態にあったが、メイド達の懸命の救命活動により一応の落ち着きを取り戻した。


手の空いたメイド達はようやく客に意識が向き、揃って舞台裏からワラワラと出てくる。

そこで彼女達は部屋の隅にまとめて転がされている客を見て驚愕する。

一方六花はたすき掛けをして着物の裾をたくし上げ座敷をとんでもないスピードで拭き掃除をしていた。


「お掃除は私達に任せてください。お姉さんは男の介抱お願いします。」

萌葱が声を掛けるとメイド達は慌てて男達の元に向かい、掃除の済んだ場所に一列に並べるように運び状態の確認を行う。

幸いにもただ気絶しているだけで、気付薬を嗅がせるとすぐに覚醒した。


「俺の女神様!」

覚醒した男が飛び起きメイドを抱きしめ唇を奪う。

咄嗟のことで反応できないメイドがそのまま押し倒される。

男は正気を失っておりそのまま行為をしようと押さえつけるが、メイドは抵抗せずニヤニヤと笑う。

そこへ濡れ雑巾の剛速球が男の顔を直撃し正気を取り戻した。


「えっ!ち、違う!君は誰だ!」

男は押し倒したメイドの顔を見て叫び周りを見渡す。


「ちっ!余計な事を既成事実を取り損ねた。」

男にメイドの呟きは聞こえず、立ち上がると珊瑚の元に駆けていく。


「愛しき菩薩様、俺と結婚してください!」

男は飛び上がると空中で2回転して土下座の姿勢で見事に着地した。

ポカンとする珊瑚の前に次々と男達が飛び込み見事な土下座を決める。

いずれも珊瑚に対するプロポーズでありその数5人。

やがて覚醒した男達はそれぞれのMY菩薩目がけてプロポーズを始める。

萌葱4人、茜4人、珊瑚5人、夜花子4人、桔梗3人、となり男喰い競争は珊瑚の勝利となった。


「ひいふうみい・・・1位は珊瑚かあ!2位同率で私と茜と夜花子、5位は桔梗ね。」

カウントを終えると萌葱は悔しそうに口を尖らせた。


「萌葱ってば悔しそうね、でもさ私はほらパパ活歴があるからさ。

気を落とさないでね、経験の差ってやつよ。

桔梗は1人に対して楽しみ過ぎたのが負けの原因ね。」

「だって、イチャイチャしたらなにも考えられなくなるでち。

イクまで止まらないでち。」

珊瑚の指摘に少し拗ねた態度になる桔梗。


「お嬢さんそれは違うぞ!

桔梗さんだね、あなたの行為には愛が満ち溢れていた。

桔梗さんに抱かれていると心がとても満たされるんだ。

あなたは癒しを与える慈母だ。

ありがとう、大切にします。結婚してください。」

思わぬところから援護が入り桔梗と珊瑚がキョトンとする。

金髪チャラ男が片膝をついて手を差し出した。


「何を言う!珊瑚様の少し当たりが強いが僕がイった時に見せてくれた、デレた顔が最高に男心を満たしてくれるのを知らないくせに!」

珊瑚派の真面目そうなメガネ男が桔梗派の男にビシッと指差す。

そして男達の六花の評価合戦が始まった。


「それならば終始アヘ顔で男の征服欲を満たしてくれる、萌葱様が至上にして至高!あんな美しいアヘ顔を見たことがない!」

萌葱派のポチャ男が行為を思い出しながら萌葱の顔を凝視した。


「ははは!お前らはまだまだガキだな!

すでに千人切りを果たした俺が言うのだから間違いない!

究極は茜様だ!

未成熟なロリ体形は見せかけで中身は成熟し完成された女性だ!

現に俺の20cm砲を軽々と飲み込み余裕の笑顔!

茜様は俺の女達を過去に変えた!もう茜様しか見えない!」

茜派の大柄で筋肉質な男がポージングをしながら雄弁に語る。


「イヤイヤイヤイヤ!君らの目は節穴か!

夜花子様を見て1番だと思わないとは先を見ていなさすぎる!

女性にしては高身長であり、控えめな胸がどのようなドレスも華麗に着こなすこと必至だ!

そしてこの凛々しい顔立ちは、どのようなシーンであっても臆することなく乗り切る自信に満ちている!

触れることさえ許されぬ雰囲気を持ったパートナーと共に、巨大なビジネスシーンに参加することを想像して興奮しないかね!

夜花子様を見て嫉妬に狂う男の顔が目に浮かぶ!

そして夜は淫らに狂う花となる。

ギャップがたまらなく素晴らしい!」

オールバックの秀才風メガネ男が目を血走らせて声高に語った。


男達の六花の評価が徐々にヒートアップを始め、一触即発の状態になった時に忘八頭首達が現れ、六花を舞台裏へ帰らせる。

男達は言い合いを止め整列して正座で対面した。


「あー盛り上がってるとこ邪魔して申し訳ございません。

旦那様方においては、とても満足いただけたようで何よりです。

しかしですな、この娘達は我が学園の生徒であり未成年でございまして、私の言わんとする事は理解頂けたかと存じます。」

四具祖の話に男達の顔色が無くなり一斉に土下座をした。


「何、昨今学園生徒の売春行為が摘発されて、私もたいへんな正に「針の筵」状態でしてな。

こうして我が身が児童買春の立場となれば、私より遥かに罪が大きいとなる訳でして、さてどうしたものか。」

「お言葉ですが四具祖様!私達は決して金銭授受を行ってはおりません!

なれば本人同士合意の上での自由恋愛と思われます!」

司法出身の男が顔を上げずに弁解をした。


「はて、ここに入場する際に20万円を頂いておりますが。」

「それは単なる入場料で彼女達に支払った事実はございません!」

「お客様、ここをどこだと存じておりますか?

遊郭でございますよ。」

「それは売春法に違反しているのでは?!」

「私はここで売春をさせるとは一言も言っておりません。

金を支払った、未成年と性行為をしたという事実のみがあるだけでございます。」

四具祖は努めて穏やかに脅迫をしている。

男達は嵌められたと確信したが財界TOP達に、これ以上の弁解は無意味と悟り白旗を上げた。


「それで私達は何をすれば良いのですか?」

「何もしなくて結構でございます。

強いて挙げるとすれば、ここにいる全員が友達となることですかな。

勿論、私共含め我が孫達とこの娘達とも、末永く友達となって欲しいのですが、いかがですかな。

よろしくお願いいたします。」

忘八頭領達が揃って深々と頭を下げるのを見て、男達は畳に頭を打ち付け「承知いたしました!」と合唱した。


「皆様の快い返事を頂き、私共もたいへん喜ばしい限りでございます。

それでは友好を結ぶ宴席を設けさせていただきます。」

パンパンと手を叩くとメイド達が一斉に動き出し、食卓を並べ料理や酒を並べ始める。


「本日は江戸時代の食事を忠実に再現してみました。

この飽食の時代に育った皆様の口に合わないかと存じますが、一度食していただきと考え用意いたしております。」

白飯、シジミの味噌汁、キュウリとワカメの酢の物が各自に椀で配膳され、サバの塩焼き、ナスと大根の糠漬け、厚焼き玉子、しし唐・かぼちゃ・舞茸の天ぷら、蒸し鶏と大根のサラダが大皿に盛り付けられていた。


男達は目の前に並ぶ質素な料理を見て、なにかのメッセージが秘められているのでは感づく。

そして四具祖の「いただきます」で静かに宴が始まった。


▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽


「お帰りー」

令嬢達を見守っていた蒼が萌葱達の帰還を迎えた。


「みんな大丈夫か?」

茜がウンウン唸っている寿子の枕元に座り顔を近づけると、突然カッと目を見開き茜に抱き着き引き倒した。


「茜!ごめんなさい!私、止められなかった!ごめんなさい!」

「ん?何言ってんだ?Hならオレが好きでしたんだから気にする事ないぞ!それにおばちゃん達と約束してたんだろ、踊りを止めないってよ!

寿子の方こそよくがんばったな!偉いぞ!」

「そんな事言われると泣いちゃうよ。」

「いっぱい泣けよ!泣くとスッキリするんだよ!」

茜に励まされながら頭を撫でられた事で、寿子の涙腺が決壊して涙がボロボロと流れ落ちた。


「私も泣きたいです、萌葱さんギュウしてください。」

いつの間にか目を開けた康子が珊瑚と寿子を見て萌葱に懇願する。

萌葱はニコッと笑うと覆いかぶさり康子を抱きしめた。


「私、実を言うとあなた達が怖かった、だからいつも一歩引いていた。

でもそれじゃダメだと分かった。

だから、もっとあなた達を知りたい。」

「分かってたよ、友達だからね。これからはもっと私達を知って。」

私も康子の事もっと知りたい。」

康子は静かに涙を流しながら頷き、次第に声を上げて泣き始める。

萌葱と珊瑚に習って、蒼は理恵子に、夜花子は恵三子に抱き着いた。


「理恵子以外の女の子とお布団の上で抱き合うなんて初めて。

夜花子はイヤじゃない?こんなデブス。」

「あら、私はね頭のいい人が男女問わずに好きなのよ。

容姿は特に気にしないわよ。」

「お世辞でも嬉しい。」

顔をクシャクシャにして鼻水をすすり、涙を流す寿子の鼻に口を付けて鼻水を吸い上げ、ごくりと飲み込む。


「すっきりした?鼻が詰まったら何度でも吸ってあげる。」

「ずるいよ夜花子、そんなの大好きになっちゃうじゃない。」

それだけ言うと号泣して声を出せなくなった。


「あの2人みて妬ける?」

「蒼の意地悪!嫉妬するに決まってるでしょ!

でも何か嬉しいの理恵子が私以外にあんなに愛されるなんて。」

「まあ、自惚れてない?誰でも人に愛されるものよ。

ただ機会に恵まれていないだけ。

うかうかしてると夜花子に全部持っていかれるよ。」

「うう、酷い。でもその通りよね肝に銘じます。」

「泣きたくなった?」

「ううん、さっき蒼にいっぱい慰めてもらったから大丈夫かな。

・・・でも、やっぱりギュウして撫でて。」

「かしこまりました欲しがりお嬢様。」

理恵子は蒼の優しい手に穏やかな笑みを浮かべた。


侑加が手を広げて桔梗を招いている。

桔梗は座ったまま蛇に睨まれた蛙のごとく体を硬直させていた。


「桔梗、いらっしゃい。私達も愛し合いましょう。」

舌舐めづりしながら手招きするが、桔梗はフルフル震えイヤイヤと首を振り、逃げようとして必死に体を動かそうとした。


「ダメよ桔梗、私から逃げようとしたらさっきの倍、いえ3倍の快感責めをするわよ。」

「壊れるでち、ゆるちてください。」

「大切な桔梗を壊すわけないでしょう。

壊れても大切にするから安心して、ね!

さっ、こっちに来て。ギュウするだけだから。」

「本当でちね、本当にギュウするだけでちね。

ウソだったら嫌いになるでち。」

「イヤッ!嫌いになるなんて言わないで!心が壊れてしまうわ!」

桔梗の言葉にショックを受けたのか涙を流す姿を見て思わず抱き着いた。


「泣いちゃだめでち。あ、泣いた方がいいんでちね。どっちでちか。」

「とりあえず慰めて。」

抱き着かれるとケロッとした表情になる侑加を見て、いぶかしんだが考えることが面倒になり背中を撫でることにした。


「ああ、気持ちいい。このまま桔梗とひとつになりたい。

そしたらずっと一緒にいられるのにな。」

「そんなことちなくても一緒でちよ。」

「ありがとう桔梗、愛してるわ。」

侑加は桔梗に見られることなく、真実の涙をそっと流し続けた。


ほどなくして令嬢達が落ち着いた頃、萌葱が用があると言い残し部屋を出て行った。


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