第69話 学園編㉒ 学園祭狂騒曲 1日目 その2
挿絵 財閥令嬢
左下 西園寺 寿子
右下 財前 康子
中央 伊集院 侑加
左上 綾小路 理恵子
右上 京極 恵三子
「あの!どこへ行くんですか?」
「身内の罪を雪ぎたいなら、黙ってついてきなさい。」
生徒は仮設トイレの中に隆司を引き入れると、まじまじと顔を見つめた。
「隆司くん、彼女と似ていないわね。
女の子みたいで可愛い。」
「えっ!はい!母さん似だと言われます。
ところでこんな所に二人きりだとまずくないですか?」
「そうねえ、私が大声出したら痴漢で捕まるかもね!」
隆司はビクッと体を固まらせると、泣きそうな顔になった。
「ウソよ、でもねちゃんと謝罪してほしいかな。」
「わかりました。」
「素直でかわいい。じゃあね、チンチ〇を見せて。」
「む、無理です!」
「あら、痴漢で捕まりたいのかな?」
観念した隆司はパンツを下ろした。
「綺麗なチンチ〇、まだ剥けてないのね。
オヤジ達と違って色素沈着もしてない。
隆司くんは童貞かな?」
「・・・はい。」
「オナニーしたことある?」
「・・・いいえ。」
「ねえ、おマン〇見たくない?」
「・・・」
「見たいと言いなさい。」
「み、見たいです。」
「じゃあ、見せてあげる。」
生徒は便座に座るとショーツを脱ぎ、大きく股を開いた。
「どう?私のおマン〇。とっても醜いでしょう。
ビラビラがすごく大きくて黒いの。
それに臭いのよ。」
黄ばんだオリモノが付着したクロッチを見せつける。
「匂いを嗅いで。」
スンと匂いを嗅ぐと刺激臭が鼻を突き顔を背けた。
「失礼な人ね。セクハラかしら。私、傷ついたわ。」
悲し気な表情を作り、罪悪感を植え付ける。
「ご、ごめんなさい!
初めて嗅いだ匂いなので慣れなくて、つい!」
「臭いよね。でもね病気とかじゃないのよ。
生まれつき匂いなの。
こんなんじゃ彼氏も作れない、結婚もできない。
ねえ、隆司くんはこんな女と付き合えないよね?」
ついにはウソの涙まで流し、更に罪悪感を煽った。
「そんなことはありません!愛があればどんな障害でも乗り越えます。」
「優しい、私、隆司くんを好きになっちゃった。
ねえ、隆司くん、私とお付き合いして。お願いします。」
手を握り締め、泣き落としにかかる女性を避ける術を、隆司は持たなかった。
「分かりました!僕、お付き合いします!
えっと、お名前を教えてください!」
「私の名前は宝来 朋果。
お付き合いしてくれるなら、おマン〇を舐めて。
できるでしょう?」
覚悟を決めて股に顔を近づけると、刺激臭がどんどんと強くなる。
あと、数センチというところで、頭を掴まれ押し付けられる。
強烈な匂いで吐き気と眩暈が起き、逃げようとするが股で挟まれ身動きができない。
やがて、意識が薄れていき、気を失った。
「隆司君、起きて。」
軽く頬を叩かれて目を覚ますと、目の前に朋果の顔が見える。
便座に座った隆司の上に朋果が跨っていた。
「えっ?宝来さん!なんですか、僕っ」
全て喋る前に口を塞がれ、舌を捻じ込まれる。
散々、口内を舐られ惚ける隆司。
「朋果って呼んで。もう私達は恋人同士よ。
ほら、私達繋がっているのよ。
私、初めてだったの。こんなに一杯、中に出してくれて嬉しいわ。
赤ちゃんが出来たら、責任とってね。」
耳元で囁かれた言葉に戦慄を覚える。
体を離す朋果の股から、隆司のイチモツが抜け大量の精液が滴る。
絶望の表情の隆司とは真逆に、朗らかな表情の朋果。
「わかりました、朋果さん。その時は責任を取ります。」
「不束者ですが、よろしくお願いします。」
2人はもう一度口付けをした。
▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽
AM5:45
大見世の舞台裏に運び入れられた葛籠の中身を見た茜音は、各財閥の筆頭メイド長に至急参集を要請した。
「これは?!どれも重要文化財、いえ国宝級にしてもおかしくない!」
西園寺メイド長が信じられないものを見る目で驚愕している。
他の財閥メイド長も似たり寄ったりで、触れることを躊躇っていた。
「婆ちゃん、そろそろ着つけてくれないと道中に間に合わないよ。」
化粧を終えた茜が茜音の袂をツンツンと引っ張る。
六花と5令嬢が心配そうに見ている。
「本当にこれを着るの?これはたいへん貴重な物よ。」
周りのメイド長も首をブンブンと振る。
「薄葉母ちゃんから、『あなた達に出会ければ、いずれ朽ちて消えていく物でした。また日の目を見ることを喜んでいるから着てやってほしい。』って言われてるんだ。よろしくお願いします。」
「よろしくお願いします。」
茜の隣に珊瑚が寄り添い、揃ってペコリと頭を下げた。
「そうね!着物を着てなんぼよね!よし着付けをしましょう!」
一番若い、伊集院メイド長がフルフル震えながら着物に触れた。
「肩の力を抜きなさい。」
最年長の京極メイド長が背をポンポンと叩くと、落ち着いたのか着物を取り出して広げた。
「青龍と白虎ですね。
なんとも荒々しく大胆な構図、それでいて各部の刺繍の細やかなこと。
これはどなたが着るのですか?」
綾小路メイド長が刺繍の細部に感嘆しながら、少女達を見た。
「寿子こういうの好きだろ?ハンカチと道着に刺繍してるし。」
「茜!私の好みを知っていたの?!嬉しい!」
感極まって抱き着こうとする西園寺の両手を珊瑚と財前が捕まえる。
「待ったー!花魁メイクで抱き着くな!」
「すみません!ありがとう康子、珊瑚。」
西園寺、財前両メイド長は久しぶりに見る、お転婆なお嬢様を見て頬を緩めた。
「では、寿子様こちらをお召ください。」
伊集院メイド長が打掛を衣紋掛け《えもんがけ》に掛けると、西園寺副メイド長3人が関連の葛籠を持ち、寿子の周りを取り囲む。
葛籠には小袖が2枚、打掛が1枚着、帯、笄一式、花魁下駄、扇子と薄葉の選んだ組み合わせが収納されていた。
3人は阿吽の呼吸で、襦袢を着せてある寿子に小袖、打掛を着つける。
紐、帯を巻き付けられていく度に、グェッと声を上げる。
財前 康子は虹色の蝶と黄のヒマワリと青紫のアサガオ柄
伊集院 侑加は風鬼・雷鬼・鵺柄
綾小路 理恵子は荒々しい波濤・鯛・海老柄
京極 恵三子は富士・鷹・茄に旭日柄
いずれも太夫にふさわしく、補色が美しく奇抜で歌舞いた打掛を選んだ。
一方、六花は切見世らしく、少し地味で動きやすい着物を着つけてもらう。
柄はカラフルで花や手毬をあしらったもので、自分のパーソナルカラーに近いものを選択した。
着付けて貰った直後の5令嬢は伊集院以外、着物の重さ、帯、笄で自由に身動きが取れなかった。
実に総重量30kgに及ぶ装備である。
「無理、こんなの歩けない。」
「これな、説明が難しいけど桔梗の作った、力が出るおまじないだよ。」
珊瑚は西園寺と財前の様子を見て、重量負担の影響が大きすぎると判断し、身体強化の数式魔法を足親指爪に付与を決める。
5令嬢を呼び出し、自分達の足裏を見せ言葉巧みに誘いをかける。
「生身に描き込むと一生消えないのですか。」
「だからさ、目立たないように足親指の爪にペディキュアで書き込む。
それなら綺麗な肌に跡を残さないし、爪が伸びて紋章が欠ければ効力が無効化される。」
伊集院は、今にも舐めだしそうな距離で、桔梗の足裏を凝視する。
「侑加ちゃん、鼻息がくすぐったいでち。」
「決めたわ!私も桔梗とお揃いにする!
そうすれば、永久に私と桔梗ちゃんは親友よね!」
足首を持ったまま、桔梗の鼻面に鼻を押し付ける伊集院。
「はい、でち・・・。」
「珊瑚!すぐに描いて!」
鼻を押し付けたまま、足裏を珊瑚に突き出す。
やれやれと呆れ顔になりながら、マジックで紋章を書き込む。
足裏から力を感じ硬直するも、うっとりした顔になり桔梗の唇をついばむように口付けた。
むちゅむちゅと遊ぶように口付けを楽しむ伊集院を、あっけにとられて見ていたが、我に返った六花に力づくで引き剝がされた。
「ちょっと!親友の域超えてるってば!」
「いやあー!萌葱!もうちょっと吸わせてー!」
「だめぇー!」
身体強化を発動した夜花子と蒼に両手を持たれ、萌葱に胴を引かれ、ようやく桔梗から引き剝がすことに成功した。
「あなた達どうして私に力で勝てるの?」
得体の知れない物を見るような目で萌葱達を見る伊集院に、心外よと抗議する。
萌葱「そもそも侑加の方がおかしいよ!
私達、魔法で身体強化してるのにどうして張り合えるのさ!」
侑加「え?その、生まれつき?みたいな?」
蒼「はぐらかさないの。貴女の事、吸血鬼だと予想してるけど?」
侑加「なんでぇー!そんなお化けじゃないよ!普通の女の子だよ!」
夜花子「でも、怪力の説明ができないじゃない。」
侑加「信じて!本当に生まれつきなの!」
?「あいやー!待たれよ!」
甲高い老人の声に皆の視線が集まる。
声の主は伊集院家筆頭執事の甲賀であった。
「お嬢様は筋量が通常の3倍ございます。
それ故幼い頃よりとても力がお強うございました。」
ちょいちょいと手を振り耳を貸せのジェスチャーをする。
「ですので、食事量もたいへん多く、人の3倍は召し上がります。」
耳元でこそこそと喋り続ける。
「そういえば、お昼は毎度桔梗は満腹だったね。」
「そうなのです萌葱様。お嬢様は桔梗様と一緒だと周りを気にする事なく、それは楽しそうにお食事をされていました。
儂はもうそれだけで嬉しくて嬉しくて!」
ハンカチを涙で濡らしながら語る甲賀に嘘、偽りは見えなかった。
「それと、これは内密でお願いします。
実はお嬢様の体重は、通常の3倍ございます。」
とんでもない暴露に六花は噴き出した。
「ちょっ!見た目40kgに見えるけど!
その3倍って言ったら120ゲフンゲフン!
わかったわ!それは口外できないわね!
約束は必ず守る!安心して!」
萌葱は甲賀の手をガシッ!と握り締め誓った。
「それで、他はどうする?ペディキュアにする?」
珊瑚の問い掛けに、4人はクルリと後ろを向き足裏を見せた。
「私達も生涯消えない、友情の証を刻みます!」
彼女達は今後の人生において、自分に価値あるものを貪欲に欲している。
人脈、友情、絆、訳が分からない魔法、そしてそれらを結び合わせる紋章が、彼女らに取って契約印になりえる。
打算もあったが、最もたるものは皆が同じ証を、体に刻み込んでいることである。
珊瑚は彼女らの覚悟を汲み取り、足裏に紋章を描き込んだ。
副メイド長達は小見世に赴き、5つの空き部屋それぞれに葛籠を置き、衣紋掛けに打掛を掛けて外から見えるように配置する。
小見世の開店はAM10:30からで、既に多数の生徒がどの打掛を着るか、吟味をして回っていた。
AM9:00
ドーン!ドーン!太鼓の音が鳴り響く。
男衆を先頭に大見世から花魁が姿を現す。
先頭は西園寺で介添え役を西園寺頭首が努め、慣れないながら外八文字で下駄を引きずり歩いていた。
(あのおまじない、いえ魔法ね!凄い!体が軽い!着物が軽く感じる!これなら今日1日乗り切れる!ありがとう珊瑚!)
続いて財前、伊集院、綾小路、京極、六花が続いて練り歩く。
ショートカットヘア組はカツラを被り、自前組より派手に笄を差し込み、2倍の大きさになった頭をゆらゆらさせていた。
やがて会場入り口に着き、大見世客が待つ門が開放される。
客数20名、いずれも結婚適齢期の男で目がギラつき、鼻息が荒い。
野望と欲望が入り混じった禍々しいオーラを放出していた。




