第63話 学園編⑲ 学園決戦 その2
蒼は理事長とナイラーは、直通エレベーターで1階に降下していく。
遥は絨毯にしがみ付き渋谷署に向かった。
夜花子、珊瑚、ゼヒレーテは屋上に駆けていく。
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絨毯に乗った遥はフラフラ飛びながら渋谷署の屋上に着陸すると、直ぐに組織犯罪対策部 警察庁刑事局に駆け込む。
局内は脱走した乱パ参加者の情報収集で大騒ぎである。
遥は急ぎ鹿島の元に向かうと肩を叩いた。
「遥、コスプレにハマったのか?次はその格好でプレイするか?」
「慎太郎それもいいわね!じゃなくて!乱パの連中の目的地、ミスカトニック女子学園よ!」
鹿島はスカートに手を突っ込み、尻を揉んでいた手を止める。
「その情報は確かか?」
「詳しくは説明できないけど、六花が絡んでいるわ。
あと、手を止めないで。」
上気した顔でおねだりされて、再び手を力一杯動かす。
「連中は黒幕のガスにやられて傀儡同然、んっ!なのよ。
私も、あっ!ガスにやられて、あぶなウアッ!かったぁ。」
遥はゼヒレーテの件を話し、銃を使うことなく捕縛して学園内に拘束することを伝えると、しゃがみこんで鹿島のナニを取り出した。
「早く、みんなに伝えて!」
鹿島は立ち上がり衝立から頭を出すと、大声を出して皆に注目を促す。
遥は椅子に座るとナニを喉奥に咥え、鹿島が状況を説明している間、頭を振り続けた。
局長の号令で全ての署員が部屋の外へ走り去る。
鹿島は頭を鷲掴みして怒涛の突きを30秒ほど続け、喉の一番深い処で射精すると、失神をした遥を抱き上げ仲間と合流した。
都内各所で病院着姿で裸足で走る人の目撃情報がSNSにアップされる。
報告を受けた制服警官が取り押さえようとするも、驚異的な身体能力で逃走され、その際に怪我人も多数発生したと伝えられる。
警視庁は渋谷署からの報告を受け、全署に特殊部隊及び機動隊の出動を命令し、ミスカトニック女子学園周辺に厳戒態勢を敷いた。
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「さてと時間がもったいないね。一気に行こうか!」
萌葱が床に拳をつけると、茜、桔梗、狼牙も合わせて拳をつける。
4人が拳に気を貯めて、振り下ろす瞬間のみ身体強化を発動する。
ドーンとビル全体を揺るがすほどの打撃音が響き、床に人一人分の穴
を貫通させ、萌葱、茜、桔梗の順番で飛び降りた。
「お行儀の悪い娘たちだ、お仕置きが必要だねぇ。」
椅子に踏ん反り返った黒屋儀 千尋がニタァと不敵な笑みを浮かべる。
3人は床に着地すると単縦の陣形を取り、萌葱が気弾を放つ。
茜は大きく跳躍して天井を蹴ると、気弾を放ちながら黒屋儀に跳び蹴りの態勢で勢いよく落下していく。
大きく開かれた黒屋儀の股から触手が伸び、萌葱の気弾を振り上げて弾き飛ばすと、茜に向けて突き刺すように動いた。
触手の先端が鋭利に尖り、気弾を貫ぬくと霧消させ茜に迫る。
「ギィン!」つま先と衝突すると甲高い金属を放ち、触手の先端が円状に変化すると、大きく広がり茜を飲み込んだ。
「ザンッ!」飲み込むと同時に桔梗の放った薄刃の気刀が触手を中央で分断する。
飲み込んだ触手の表面がボコボコと泡立ち、「パーン!」と弾け散ると金色に輝く茜が飛び出て床に着地する。
萌葱は桔梗が気刀を放ったと見るや、黒屋儀に詰め「螺旋流れ水」を仕掛けるが、根本から幾つにも割れた触手に阻止され、茜にも襲い掛かった。
2人は背中合わせになり触手を迎撃していくが、気を当て消失させた端から、新たな触手が生え襲い掛かる。
一度距離を空けるか考えたとき、桔梗から大きな気の気配を感じる。
ちらりと茜を見ると、気づいた様子で目が合い小さく頷いた。
「えねるぎーじゅーてん120%!はどーほーはっちゃ!」
桔梗の大声で2人が左右に割れ飛び退くと、巨大な気の塊が触手を消滅させながら黒屋儀に直撃した。
「ぎゃわわわ!」
黒屋儀が奇声を発しながら強化窓に激しく叩きつけられる。
萌葱、茜は油断することなく気を貯めながら黒屋儀に駆け寄る。
高圧の無色エネルギーを当てられた黒屋儀の衣服は分解され、豊満な裸体を晒し、湯気が立ち上っている。
大きく開いた股に触手は見当たらず、陰嚢と見間違うほど肥大化した、黒い小陰唇が呼吸をするようにパクパクと動いていた。
「桔梗、いつでも攻撃できるようにそこに居て。茜、気絶したか確認して。」
萌葱は指示を出すと、自分の領域ぎりぎりの位置で立ち止まる。
茜がしゃがみこんで、半開きの瞼を指で思い切り開いて確認をした。
「白目剥いてるな!案外あっけなかったな!」
イシシと笑いながら、片手で黒屋儀の乳房をツンツンと突く。
萌葱はスマホで夜花子に進捗の確認電話をした。
「準備はいいよ!後は汚染者をビルに運び入れればOK!」
「了解!」
まずは一段落終了させた事で安堵し深呼吸をする萌葱。
茜を見ると、黒屋儀の股間を覗き込み、「すっげーでかいビラビラだな!」とはしゃぎながら陰唇をいじって遊んでいる。
桔梗は気力を放出しすぎたせいで、床にペタリと顔を付けへたり込んでいた。
「遥さん、外の状況を教えてください。」
「はひ、本庁と周辺警察署から応援が来て順調に捕縛中よ。」
「萌葱ちゃん!あぶない!」
桔梗の叫び声が聞こえ、反射的に床を蹴り後方にジャンプをすると、その足元を再生した触手が通り過ぎ、茜もろとも黒屋儀を包み込み黒い塊になり、幾つもの触手と乳房と女性器が生えさせ宙に浮く。
すると女性器のひとつから、罵詈雑言を捲し立てる茜の頭が出てきた。
「チキショー!やめろこの変態ババア!」
「茜!無事なの?!」
「大丈夫だ!障壁膜で守ってる!だけど動けねえ!
この変態ババア!オレのケツ舐め回してるんだ!気持ち悪い!」
咄嗟に障壁膜を展開した茜の機転に安堵する萌葱。
やがて、塊の中央に大きな口が現れると、人の耳では聞き取れない、とても不快でおぞましい韻を踏んだ言葉を脳に直接響かせた。
「ウグッ!ウボエェ!」
萌葱はあまりのおぞましさに嘔吐をする。
桔梗も床に向けて吐瀉物を吐き散らしていた。
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「この程度なら儂だけで十分じゃ!」
学園内には既に20名近い傀儡が侵入し、1階で蒼、理事長、ナイラーの手厚い歓迎を受けている。
理事長の豪拳でまた1人の傀儡が戦闘不能になると、蒼とナイラーで傀儡を縛り上げ金属柵に拘束していた。
「蒼ちゃん縛るの上手ね・・・」
「リリスちゃんで練習してますので。」
「リリスちゃんってお友達?」
「いえ、ラブドールです。マネキンとして購入したのですが、手足が自在に可動するのでつい縛りの練習台にしちゃいました。」
てへぺろしながら、男には捕縛術で、女にはM字開脚縛りで1分もかけずに、次々と縛り上げていく蒼の才能を見て、自分も縛って貰えないかしらと密かに思った。
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渋谷の街では機動隊と特殊部隊がスタン警棒を片手に、70を超える傀儡と乱闘を繰り広げている。
傀儡1人に対して、5人の武装警官で囲み、スタン警棒で滅多打ちする光景に抗議をする者、煽る者、野次馬をする者で辺りはごった返していた。
若い女の傀儡を前に機動隊員達は戸惑っていた。
まだ10代半ばに見える少女である。
寝巻は前がはだけ、未成熟な乳房と薄い陰毛が見える。
目は真っ赤に充血し、口元からヨダレが垂れ下がっている。
隊員の中には同じ年頃の娘を持つ者もいる。
とても、警棒で殴りつけることができない。
今は盾で周りを囲み何とか動きを阻害していた。
突然脳内に不快な、音とも声とも判別できない響きが伝わり、全員が膝をついて嘔吐しはじめる。
隊員達の包囲網が崩れ、逃走するかと思われたが、少女は宙を見つめ立ち尽くしていた。
やがて少女の体から黒いモヤが立ち上り、体を包み込むと2m程の黒い塊となり、頭頂から幾つもの触手と下部から3本の足が生える。
体のあちこちに乳房と女性器が現れ、最後に大きな口を開いた。
「メエエエエエェェェ!」
山羊の鳴き声を発した黒い塊は、機動隊員を触手で薙ぎ払い、逃げ惑う民衆を跳ね飛ばしながら学園に向けて走りだした。
警察に拘束された傀儡は全て、黒い仔山羊に変化し縛めを解いて学園に向かう。
途中発砲を受けるが全くダメージを受けず、更に狂暴化して怪我人を増やす結果に終わる。
警察は進路方向の人、車両を誘導し被害を最小限に止めることしかできなかった。
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「蒼ちゃん!大丈夫!」
「なんじゃこいつらは?!」
捕縛した傀儡が黒い仔山羊に変化するなか、突然吐き戻した蒼の背を擦るナイラーと構えをとる理事長。
黒い仔山羊達は変化し終わると3人目がけて突進した。
「エレベーターに急いでください!」
蒼が間に入り障壁を展開して、屋上への撤退を叫ぶ。
3人はエレベーターに乗り込み最上階を目指す。
扉が閉まり切る寸前に障壁が破られ、黒い仔山羊達が向かって来るのが見えた。
「とりあえずみんなと合流しましょう。あんなの想定外すぎて私達だけでは手に負えません。」
蒼は反吐で汚れた口元を拭いながら引きつり笑いを浮かべた。
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茜を取り込んだ黒屋儀が窓をスーッと通り抜け屋上へ向かう。
萌葱と桔梗は天井の穴を飛びぬけ、ペントハウスに降り立つと、
ゼヒレーテの元に走った。
すでに戦闘が始まっており、狼牙が茜を奪取するために人狼化している。
狼牙の果敢な攻撃と夜花子、珊瑚のサポートで今まさに茜が黒屋儀から引き抜かれる場面であった。
「こんのぉー、茜を返せ!」
茜を引き抜き、触手から身を挺して貫かれる狼牙。
3本の触手が狼牙を貫くが、怯むことなく茜を胸に抱き2人の元に戻る。
すぐさま夜花子、珊瑚が治癒を発動させ狼牙を癒し、茜は分身して気弾で攻撃を仕掛ける。
着弾した部分が野球ボール大に抉り取られ消滅していた。
「だああ!キリがねえ!」
悪態をつきながらも次々と気弾を連射し、触手と表面を削り取る。
狼牙の回復時間を十分に稼いだ茜は、肩で息をしながら皆と合流した。
「メエエエエエェェェ・・・」
ビルの壁面を駆け上がる黒い仔山羊達の鳴き声が近づいてくる。
鳴き声は蒼の叫び声と共にペントハウスからも聞こえてきた。
「お助けー!」
蒼が理事長を担ぎ、ナイラーと共に走ってくるのが見える。
その後ろを20匹を超える黒い仔山羊達が追いかけてきた。
「みんなー!ゼヒレーテを中心に円陣を組んで!」
黒屋儀の触手をひとりで捌いている萌葱が全員に指示を出す。
桔梗はゼヒレーテの盾となり、漏れ来る触手を迎撃している。
屋上に100近い黒い仔山羊達が集まり六花達を包囲し突進してくる。
六花は全方位に障壁を張り巡らし進行を防いだ。
「そろそろ頃合いねー!いきますよー!」
ゼヒレーテの手が聖印の上に置かれると、六花の気が限界迄吸収され、障壁が消失する。
黒い仔山羊達が一斉に襲いかかるが、聖印の立ち上る光壁に防がれた。
「清浄かつ聖なる光の子宮に帰れ!」
ゼヒレーテの頭上に光の繭が紡がれると、輝く糸が湧きだし黒屋儀と黒い仔山羊達に巻き付いていく。
糸は邪な力を吸収して、繭に送り込む。
繭はその色を黒に変えて肥大し、すべての邪な力を吸収し漆黒に染まった。
突如、夜空が裂け白い光が夜の街を照らすと、光輝く巨人が顔を覗かせる。
巨人を見た人々は一瞬で思考停止し、白痴化した顔で立ち尽くした。




