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六花と槍の物語  作者: hiddenkai
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第58話 萌葱&扶桑親子の息抜き旅行②

食事の時間になり早足で食堂に向かう。

食堂に入り、ワンプレートを持って隊員の列に並ぶと、前の隊員達が扶桑にさかんに話しかけてくる。

萌葱は耳を凝らして会話を聞き取ろうとするが、スラングが多く意味が分からない。

「beautiful woman who carries death」死を運ぶ美女?

「choose me、 beautiful death」自分を選ぶ、美しい死?

隊員に語りかけられる度、扶桑は「it's the luck of the moment」と返し、凄みのある笑顔を見せていた。


「扶桑、萌葱、これはあんた達の特別メニューだよ!」

配膳されたワンプレートをテーブルに置き着席すると、キャシーが大きな皿を持ってやってくる。

皿の上には頭の付いた子豚の丸焼きが湯気を立ち上らせていた。


「あれ、萌葱は驚かないんだね。

扶桑は小便漏らして腰を抜かしてたのにさ!」

「やめてよキャシー!あの頃は花も恥じらう乙女だったのよ!」

萌葱は異世界で人や亜人が生きたまま焼かれ、食われる場面を何度も目撃している。

焼かれればただの食料だ。

萌葱達に同族食いをさせようする亜人もいたが、決して人肉は食べなかった。が、動物型の亜人の肉は食べた、

オーク、バードマン、リザードマンの肉が美味しかったと記憶している。


「わあぁ!美味しそうです!ありがとうキャシーさん!」

フォークとナイフで子豚を切り分けとすると、大きな軍用ナイフが子豚の頭を胴体から切り離した。


「リトルレディー、ここは私が切り分けさせていただこう。」

司令官が白い歯を輝かせてポーズを決めている。


「は、はい。お願いします。」

司令官はナイフで骨を簡単に切り裂き、大きな肉塊を萌葱と扶桑のプレートに置くと、残りをナイフで突き刺したままかぶりついた。


「この肉は口で直接食べるのが美味しい食べ方だ。」

司令官はウィンクして口の周りを舐めまわす。

扶桑が肉塊を両手で持ち、豪快に齧りつくのを見て、萌葱も齧りついた。


「皮がパリパリ、お肉が柔らかくて、肉汁が口に溢れる!

オークさん食べた時を思い出します!」

扶桑がギョッとした顔をするが、聞かなかった事にした。


「さて、扶桑。そろそろ始めようか。」

司令官が古ぼけたリボルバー拳銃と弾丸1発を扶桑に手渡す。

コルト・シングル・アクション・アーミー。

通称「ピースメーカー」。

弾倉が空なのを確認し、弾丸を込め弾倉を無造作に回転させる。

そしてまず自分のこめかみに銃口を当て引き金を引く。

カチリと乾いた音がすると、また弾倉を回転させ、萌葱に銃口を向けるとすぐさま引き金を引いた。


「エ?!」

萌葱はまさか銃口を向けられるとは思っておらず、口を半開きにしてカチリの音を聞いた。


扶桑はその動作を食堂にいる隊員に向けて繰り返す。

隊員は嫌がらずに粛々と自分の番を待っており、中には「撃ってくれ」とアピールする者をいた。


「パン!」

唐突に空砲が響き、皆の視線が銃口の先に集まる。

銃口の先には、小太りで厚いメガネを掛けたオタク男子が、ショックを受けた姿で固まっていた。


「ジェフリー二等兵、死を運ぶ美女の慰めを受ける意志はあるか?」

司令官が神妙な顔つきで尋ねる。

ジェフリーは立ち上がると背筋を伸ばし敬礼の姿勢で扶桑を見た。


「はい!司令官殿!」

「扶桑准特位殿、自分は童貞であります!よろしくお願いします!」

食堂内は笑いと歓声に包まれた。


萌葱は部屋に戻ると先ほどの騒ぎの詳細を扶桑に尋ねた。


「最初はロシアンルーレットで賭けをしていたの。

自分を撃つのではなく相手を撃つ方法でね。

いざという時に銃口を敵に向ける練習を兼ねてだけど。

それで、いつも私の番になると発砲するのよね。

それで不思議な事に、銃口を向けた隊員が3日後に死んじゃうの。

そんな事が10回立て続けに起きて、私は「死を運ぶ美女」と呼ばれるようになっちゃって。

一度中止になったんだけど、先の司令官になってからまた復活したのよ。

司令官が真偽を確かめたいって言いだして。

そしたら司令官に発砲して3日後、ゲリラの爆破テロに巻き込まれて爆死して大騒ぎになったの。

公にはまた禁止になったけど、要望者が多くて密かに続けたのよ。

で、やっぱり私に発砲された隊員が死んでいくわけ。

私、病んじゃってね。

なんかできる事がないかと考えたすえ、発砲した人とSEXすることにしたのよ。

病んでたし、人肌恋しかったから丁度よかったわ。

そしたら、3日経っても死ななかったのよ。

その人は出世して、今ここの司令官になったわ。」

驚愕の事実を聞き、萌葱は相槌を打つことさえ忘れていた。


「流石にそんなジンクスができたら、毎日するわけに行かないから、大規模作戦の前だけになったのよ。

それで、3日後がその作戦決行日なんだ。」

はっ!と正気に戻った萌葱はSEXについて尋ねた。


「0:00にシャワールームが30分だけ開放されて、そこでチャッチャッと済ましてくるから先に寝ててね。」

萌葱は破天荒な扶桑の行動と考え方に、改めて敬意と畏怖を感じた。


0:00ジャストにロッカールームに着くと、ジェフリーが直立不動で扶桑を出迎え、敬礼をする。

扶桑は差し出されたジェフリーの腕を取り、ロッカールームに入室した。


「時間が無いわよ、急いで。」

既に全裸になった扶桑が、もじもじしているジェフリーの服を脱がしにかかる。

パンツを脱がすと、緊張して縮み上がり、腹の弛みに隠れたペニ〇がチョコンと顔を出していた。


「扶桑殿、申し訳ありません!自分はこのように短小包茎であります!

とても扶桑殿のような素晴らしい女性を満足・・・」

扶桑はジェフリーの口を口付けで塞ぐと、舌をねじ込んで舐りまわす。

左手で乳首を刺激し、右手で膨張させると包皮を剥いた。


「OUCH!MUM!」

痛みで思わず出た声に扶桑の背筋がゾクゾクする。

(あれ、なんだろうこの感じ。嫌悪感じゃないみたい。)


「ほら、これで包茎じゃなくなったわよ。さ、行きましょう。」

ジェフリーの手を引いてシャワーブースに向かうも、またすっかりと縮こまっていた。


ジェフリーはあの手この手を使われるたび、「ママ!」と叫び声を上げ、何とか挿入可能な状態になり性交中も「ママ!」を繰り返し呟き、果てる瞬間には「グランマ!」と絶叫していた。


(うーん、何か悪いことしてるみたいで、背徳感が増すプレイね。

新しい性癖が目覚めそうだわ。)


扶桑は「気持ち良かった、ありがとう。」と耳元で囁き、抱き着きキスをすると、ジェフリーは号泣して何度も礼を述べた。


着替えを済ましロッカールーム前で「死なないでね」と告げ、もう一度ハグと軽いキスをすると、左右に分かれて自分の部屋に戻った。



既に萌葱は寝息を立てており、ベッドの上で大の字になっている。

扶桑は萌葱をベッドの壁側に体半分ずらして、その横に横たわる。


「ううん」

寝言と共に壁に向かって寝返りを打つ。

扶桑は背中を抱きしめ首筋に鼻を埋めて、匂いを胸いっぱいに吸い込む。

心地よい眠気に意識を任せて、安らかな眠りにおちた。


「むぐぐ!」

萌葱が猛烈な息苦しさで目を覚ますと、扶桑の顔が目の前にあり、鼻と口を唇で覆われていた。


口を離そうとするが、腕が頭と上体を、足が下半身をがっしりと固定され、動きが封じられている。


「むぐう!むぐぐ!むぎー!」(死ぬ、死んじゃう!いやー!)

萌葱は身体強化で、わずかに残った肺の空気をぷーと吐き出す。

瞬間、扶桑の顔が風船のように膨らみ、目をパッチリと開けた。


「あら、おはよう萌葱。よく眠れた?」

何事もなかったかのように、新しい朝が訪れた。



「司令官から銃器訓練許可がおりたわ。」

2人はデザート迷彩服を着て、屋内射撃訓練場に向かう。

ここは戦地なので銃器の扱いは必須事項である。

銃器保管担当に話を通して、萌葱が扱えそうなものを幾つかピックアップする。

M18拳銃、M4アサルトライフル、M110狙撃ライフル、M107対物ライフル。

以前、病院での攻防戦で銃器の威力は見せつけられていたが、障壁を展開できる萌葱にとり、既に絶対視する代物でもなかった。


「これはこれで便利なものよ、とりあえず物は試しで撃ってみなさい。」

戦闘用ヘルメットをカポッと被せられ、射撃エリアに連れていかれる。

M18拳銃を握り、足の位置、体の向きを正され射撃準備が整う。


「撃つ直前まで引き金に指をかけない。はい、安全装置を下ろして。

引き金を引く指は絞り込むように引くの。前方確認良し、撃て!」

10m先のターゲットに引き金を引き続ける。

全弾打ち終え、スライドバックしたまま固定される。


「うーん、全弾ターゲットに命中したけど、カスってる感じ?」

「私、拳銃の才能ないかも。」

「拳銃は数うちゃ上達するものよ。次いこか。」

その後、M4アサルトライフル、M110狙撃ライフル、M107対物ライフルを試射するが、やはり全てがターゲットの縁に着弾する。

その結果に扶桑は首を捻った。


「狙ってる?」

「うん。」

また扶桑が頭を捻る。萌葱も頭を捻った。


照準がずれているのではないかと思い一通り試射するが、全弾ターゲットの中央を撃ち抜いた。


「やっぱり、才能がないんだよ。」

扶桑の頭にもう一つの可能性が浮かんだ。


(無意識で致命傷を避けている?)

以前、蒼から萌葱の格闘スタイルについて聞いたことを思い出す。

萌葱は格下の相手を戦闘不能にする時、本人曰く悪戯技を使用する。

気を高振動させ、寸勁で生殖器に打ち込むことで、強いエクスタシーを引き起こし失神させると。


理事長と対戦した時はかなり本気だったようだが、それは姉妹たちがいつでも治癒を施せる状態で、待機していたからであろう。


(この子はとても優しい。人を殺すことができない、当たり前の感性を持っている。)

扶桑はそれをとても嬉しく思った。


「銃の才能が無くても、それ以上の才能をたくさん持っているからね。

萌葱はそれでいいよ。」

萌葱の戦闘ヘルメットを脱がすと、汗で湿った頭を何度も撫で続けた。

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