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六花と槍の物語  作者: hiddenkai
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第55話 学園編⑯ 萌葱の危機にママ駆け付ける

クラブを張り込んでいる刑事から、学園生徒が2名入店したとの報せがあり、写メが送られてきた。


「萌葱ちゃんと正美ちゃんだわ!どうして!」

スーツに着替え、今まさにクラブに向かおうとしていた矢先である。

遥は扶桑に電話をかけ、萌葱の暴走を伝えた。


「これから萌葱ちゃんの保護者がヘリで屋上に到着する。私は出迎えに行くから、鹿島は先に行って萌葱ちゃんを確保して。」

そう言い残すとエレベーターに乗り屋上を目指した。


屋上に誘導員と黒服・黒サングラスの男が1人、黒のキャリーケースを持って待機し、自衛隊の小型ヘリが急速に降下してくるのが見える。

ありえない降下速度に誘導員が避難をしようとこちらに駆けてくる。

黒服は微動だにせず見上げている。

接地寸前に最大出力で揚力を得ると見事な着陸をしてみせた。


「扶桑准特尉、相変わらず見事な腕前ですな。いっそのこと陸尉になりませんか?階級も2つ上げますよ。」

「冗談は置いといて。今は時間が惜しいの!」

ヘリの作動が止まり、中からほぼ下着姿の扶桑が降りてきて、黒服と話をしているのが見える。

扶桑はキャリーケースを受け取ると遥に向かって駆けてくる。

隣の誘導員の男の目が扶桑に釘付けになっている。

2人は立ち止まることなく、そのままエレベーターに乗り込んだ。


「扶桑、ゴメン!萌葱ちゃんの行動力を見くびってた!」

「先輩、仕方ありません。私達も時々彼女らの行動力を見誤ります。」

「ところでその格好できたの?着替えはあるの?」

「ええ、この中に。」

扶桑はキャリーケースを叩くと、ニヤリとした。


神戸刑事、鳥栖刑事の両名はクラブ入口に停車したリムジンを見て、動きはじめる。

レオンとチンピラ4名に捕らわれた少女2名を確認すると、大声を上げて走り寄り、阻止を試みた。


「おい!その子らは未成年だな!」

レオンはチッと舌打ちし、チンピラに適当にあしらえと指示を出し、萌葱、正美をリムジンに押し込んだ。

正美が助けて!と声を上げるがドアが勢いよく閉められた。


「待て!未成年者略取の現行犯だ!」

ドアに手を掛けようとした神戸を、チンピラが手を出さずに邪魔をする。

鳥栖も2人のチンピラに阻まれてリムジンに辿りつけない。


「キサマら公務執行妨害で逮捕だ!」

チンピラは顔色ひとつ変えずになおも邪魔を続け、リムジンが走り出す。

刑事はチンピラを殴りつけ排除するも、すでに追いつける距離になく、チンピラ達も逃走した後だった。


「すいません!少女を乗せたリムジンを逃がしました。」

「車種は?ナンバーは分かるか?!」

「ナンバーはスモークで隠されていて不明、車種はクライスラー、色は黒。スモークガラスで内部の確認はできませんでした。」

「わかった!お前らは一度署に戻れ!」

局長は電話を切るとNシステムで該当車両の検出を要請する。

黒塗りリムジン、クライスラーの該当はすぐに見つかり、東京湾方面に向けて進行していた。


着替えを済ませた扶桑と遥が局内に現れ、扶桑の姿を見た全員が驚きの表情になった。


黒基調とした、エナメルのような素材で作られたボディースーツは、扶桑の見事な体の線を隠すことなく際立たせている。

両手首の僅かな膨らみには、液晶タッチパネルが嵌め込まれ、携帯通信機の役割を果たす。

目は複合センサー内臓のゴーグルと口元は吸気口の付いたマスクで覆われている。

そして、スーツ表面に時折赤い光が走り、複雑な文様が現れていた。


「これは、何というか凄いな。SF映画で見るような装備だな。」

「この装備はまだ極秘扱いなので記憶から消してください。」

扶桑は皆に伝えると、黒のトレンチコートを羽織った。


「日向、Nシステムのデータ確認できた?」

「できた、監視ドローンが追尾中だ。乗員は5人だな。

赤外線と動態反応で2人は10代女性と判明している。ビンゴだ。

それと後輩からの情報だが、大規模な乱交パーティーが開催される。

場所は芝浦ふ頭のレオンの所属組織が所有している高層マンションだ。

データは今転送した。」

「ここね、進行方向からして間違いないね。ありがと日向!」

手首から放射されていたディスプレイを切ると局長に出動を要請する。

唖然としていた局長は正気に戻ると本庁に応援を要請してから、自らが陣頭指揮を執ると伝え、全員に拳銃所持の許可を出した。


「扶桑はどうするの?」

「先輩、私は個人で行動をします。この姿を周知するわけにはいきませんので。ではまたお会いしましょう。」

扶桑はヘリを起動させると、高層マンションに進路を向けた。



連れて来られたマンションは、最上階の1フロアぶち抜きのペントハウスであった。

東京全てを一望できる360度のパノラマは、こんな時でなければ心を魅了されたに違いない。

中央にバーカウンターを備え、ここで飲む酒は格別であろうと容易に想像できる。

いくつもの円形のキングサイズのベッドが並べられ、その上で何組もの男女が全裸で絡み合っている。

女は一様に若く、10代後半がほとんどで、中には10代前半の少女の姿も見える。

皆、気が狂ったように矯正を上げ、快楽を求めて激しく尻を振っていた。


サイドテーブルに注射器が無造作に置かれ、クスリで正気を失っていることは容易であり、またひとりの少女がクスリを打たれ、獣のような声を上げて快楽漬けにされていた。


「アレがお前らの姿だ。一度キメセクをすれば逃げ出すことは不可能だ。あれ無しじゃ生きられなくなる。

これからたっぷり稼いでもらうからよ。」

レオンは体中に刺青の入った男の元に行ってお辞儀をしたあと、萌葱と正美をベッドの上に突き飛ばした。


「おう上玉じゃ。こっちがオボコじゃな。どれどっちから頂くかのう。」

萌葱はベッドの上で身動きせず天井を見ている。

正美はガクガク震えながら逃げようと四つん這いになった。


「逃げようとすると捕まえたくなるんじゃ、男はな!」

正美の足を掴み、強引に引き寄せると体を被せてくる。

男の手が制服の下に潜り込み、乳房を強引に揉みしだく。


「痛い!痛い!」

男は正美の反応を楽しむように、乳首を強くつねる。

体を動かそうとすると、ちぎれてしまいそうな乳首の痛みに必死に耐え、くぐもった叫びを上げた。


「ええのう。ええ反応じゃ!クスリは打たんでええ!」

レオンが正美にクスリを打とうとするのを止める。

男は痛みに苦しむ女で興奮するサディストだった。


制服をめくり、小振りの胸を露出させると、大きく口を開き乳房全てを口に収め、舌で舐めまわす。

正美は嫌悪で吐き気をもよおし、ゲプッと口の中にもどした。


「なんじゃこの小娘!吐きおったわ!」

男が怒りで正美の顔を平手打ちすると、吐瀉物が萌葱の顔に降り注いだ。


「可哀そう。正美、可哀そう。可哀そう。」

男は声を聞き萌葱を見て飛び退る。

まるで死人が喋っているような恐怖に、ナニが萎えてしぼんでいた。


「正美、私ね処女じゃないの。

昔ね、たくさんの牡にたくさん犯されたの。

ほら見て、お腹に赤い線があるでしょ。

ここに赤ちゃんが入っていたの。

父親が分からない赤ちゃん。

私ね、生涯ひとりだけの男に尽くす、貞淑な奥さんになりたかった。

お母さんのような女にはなりたくなかった。

ねえ正美、私可哀そう?」

萌葱は手を伸ばして正美の手を握る。

体温を感じられない冷たく乾いた手を正美は振り払った。


「萌葱が悪いのよ!

萌葱が生まれたから、萌葱のお母さんも不幸になったのよ!

萌葱は生まれちゃいけない子だったのよ!

萌葱のお母さんもいい迷惑だったのよ!」

立ち上がり罵声を浴びせかける正美の姿に、別の人物の姿がぼやけて重まるように見える。

男とレオンは正美の言葉に魅了されたように動けないでいた。


「お前はあの世界で死んでいなければならなかった。

あのまま、醜い化け物の子を産み続け、呪いに体を犯されてな。

最後は石になって死んでしまう運命だったのにねぇ。

なぜ生きているのか?誰が助けた?まあ、いいわ。

お前はここで廃人になり、私に富を捧げる傀儡になりなさい。」

正美はレオンを見ると注射器を指差し、「やれ」と命じた。


レオンは萌葱の腕に針を差し込み、クスリを少しづつ注入していく。

死人のように動かない萌葱は成すがままに受け入れていた。


萌葱は葛藤していた。

必死に心の闇を抑え込もうとしていたが、正美と言葉を交わすうちに徐々に抑え込もうとする心の力が弱くなっていく。

私は可哀そうなんかじゃない!

私には心の繋がった姉妹とママ達がいる!

狼牙さんがいて、毎日美味しいご飯が食べられる!

そんな私が可哀そうなはずがない!


でも、あなたの望んだお嫁さんにはなれないよ。

可哀そう。


体にクスリの影響がでると、思考することが叶わなくなる。

やがて、混濁する意識と過敏になった触感の体に、気が狂う程の快楽が押し寄せてくると、心が闇に飲み込まれSAN値が0になる。

心の弱い部分を巧みに突かれた萌葱の心は、邪神の思惑通りに容易く崩壊した。


「美味しそうな娘だこと。ご馳走になるとしますか。」

既に正美の姿では無い女が全裸の萌葱を弄ぶ。

股間からずるり垂れ下がった、陰茎に似た触手が萌葱を口腔に差し込まれると、喉奥まで激しく凌辱をする。

一刺し毎に萌葱の体が痙攣して股間から体液が噴き出す。

女の尻がブルルと震えると、ヌラヌラとした触手が引き抜かれる。

萌葱の足を持ち逆さに吊り上げると、口と鼻から黄色に濁った体液がドロドロと流れ出た。


「死んじゃうかもしれないわね。おい、お前、全部吸い出せ。」

「・・・はい。」

女は刺青男に命じて、萌葱の口と鼻を塞ぐ体液を全て吸い出させる。

ズゾ、ズゾゾ、ジュル、ジュル、ジュボボ。


「おい、全て飲み干せ。」

男は全て飲み干すと、白目を剥き泡を吹いて気絶した。


「さてとメインディッシュをいただきましょう。」

大きく開かれた萌葱の股間に、触手の先端が触れたその時、見えない力の塊で女の体が吹き飛ばされた。


「ぐおぅるらー!うちの娘になにさらしとんじゃー!」

仔を傷つけられた母獣の唸り声と共に扶桑が女に追撃をかけた。




全ての班から突入準備完了の報せを受け、一斉に突入を開始する警察部隊の前に、幾人もの戦闘不能状態の構成員が横たわっている。

構成員は皆、拳銃を所持しており、警察側もかなりの被害を受けたであろうことは確かであった。


「信じられないが銃創が無い。これは打撃痕か?!殴り倒したのか?!」

「扶桑だわ!」

遥は猛然と駆け出し、壊されたペントハウスの扉の向こうに飛び込んだ。

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