第47話 学園編⑧ 茜、学園で初めての親友
茜が教室に戻ったのは4時限目の最中で、教室に入ると洋楽が聞こえてくる。今日はマイケルジャクソン「スリラー」だ。
この英語の教師は50代男で、少し変わった授業を行うことで生徒に好評である。ヒアリングを鍛えるには、「洋楽を聞くのが一番」という信念で、授業中に80・90年代のヒットソングを流す。
生徒達にとって生まれる前のヒット曲なので、最初のうちは戸惑いかちだったが、やはり名曲の素晴らしさは世代を超えて伝わるもので、今では次に取り上げられる曲を予想して、楽しみにしている生徒も大勢いた。
皆聞き入っているのか、茜の入室に気づくものは少ない。
珊瑚が手を振って「おかえり」と無言で迎える。
茜は着席すると机に突っ伏して、うーんと唸り声を上げた。
「茜様、お昼ご一緒してよろしいでしょうか?」
昼休みになり、西園寺がもじもじしながら茜の元に来る。
茜が見上げて下唇を突き出し「いいよ」と答えると、パアッと表情を輝かせて、指をパチンと鳴らす。
すると、伊賀とメイド3人が教室に入ってきて、机を並べ替えテーブルクロスを敷き、料理を並べ、瞬く間に昼餐の支度を終える。
「さあ、茜様、珠樹さん、お昼にいたしましょう。」
3人分のカトラリーが用意されるのを見て、茜が「待った」をかけた。
「康子!こっち来て一緒に食おうぜ!」
ひとりポツンとしている財前に声を掛けるとビクンと体を震わせる。
「お前、寿子の友達だろ。ならオレも友達だ。
オレはいじめや仲間外れが大嫌いなんだよ!
寿子!お前いじめはもうするなよ!
オレが友達になったんだから、もうさせないけどな!」
西園寺と財前は自分達が名前を呼び捨てされたことに混乱している。
幼いころから、様、さん付けが当たり前で、家族にしか許されないことだと認識していたから無理もなかった。
「あの、茜様。名前の呼び捨てはあまりにも失礼なのでは?」
「友達なんだから呼び捨て上等だろ!」
「友達?茜様は私のお友達ですか?」
「なんだよ寿子!オレが友達じゃ嫌か?!」
「ちょっと待ってください!本当に私は茜様のお友達なのですね!」
「そうだよ!「決闘」をしたら友達だろ!拳と拳で語り合ったろ!
なら友達じゃねーか!マブダチだよ!」
フンスと鼻息荒く仁王立ちする茜の姿が滲んで見える。
西園寺は意識せず流れ落ちる涙に驚いた。
「何泣いてるんだよ!そんなに嫌か!流石のオレでも傷つくぞ!」
茜はポケットからハンカチを取り出し、西園寺に突き出した。
「違います、違います!私、茜様に嫌われていると思っていたから!
だから一緒のお昼を食べて、仲直りしたかった!
それなのにお友達と言って貰えて、嬉しかったんですー!」
西園寺はハンカチを受け取ると、顔に当ててワンワンと泣き出す。
その様子を見ていた伊賀とメイド達も、声を押し殺して泣いていた。
「なあ、もうメシにしようぜ。腹ペコだよ。」
5分ほど放置していたが、空腹に耐えきれず茜が言うと、伊賀が西園寺を席に座らせ、メイド達が料理を4人分取り分ける。
「康子、早く座れよ。いただきますができないだろ。」
茜に促されるも、財前は西園寺をうかがい見た。
「ざ、や、康子。一緒に食べましょう。」
「は、はい!さ、と、寿子!」
2人のぎこちないやり取りを、周りの目がやさしく見守っていた。
「寿子!明日から弁当にしろよ!
料理はすげえ美味いけどよ、オレ達も弁当持ってきてるんだよ。
残すわけにはいかないから弁当も食う!」
「でもさ、食べすぎだよね。」
「今日だけだ!食ったらその分動いて消費する!」
茜が自分の弁当箱を取り出して蓋を開くと、寿子と康子が興味深げに覗いてきた。
「茜の手作り?」
「ちげーよ寿子!オレが料理をできるわけないだろ!」
「茜、それ自慢になっていないから。」
珊瑚も弁当を取り出しながら、茜にツッコミを入れた。
「あら、同じお弁当なのですね。お母さまの手作りかしら?」
「んー手作りですけど、お母さんではないね。」
「料理人を雇ってらっしゃるのかしら?盛り付けが素晴らしいですね。」
「そうだろ!狼牙は料理がすっげえ上手なんだ!」
「ろうが?男性の料理人なのですね。」
康子が珊瑚の弁当の見た目を褒めると、茜が嬉しくなり口を滑らせる。
珊瑚は茜がこれ以上口を滑らせないように、鳥胸肉の照り焼きを口に放り込んだ。
「珊瑚さん、失礼だがそのろうがという人物の名は、狼の牙と書くのではないかな?」
伊賀がニコニコしながら問いかけてくる。
「いいえ、露西亜の露、宇宙の宇、唯我独尊の我で露宇我です。
外国籍の方ですが日本が好きで、当て字で名乗っていますの。」
珊瑚はあまりにもらしくない笑顔を見て、警戒をして嘘を教える。
また何かを喋ろうとした茜の口に、厚焼き玉子を押し込んだ。
「そうでしたか。お食事を邪魔してしまい申し訳ございませんでした。」
すんなりと引き返す伊賀に拍子抜けする珊瑚。
テーブルに目を戻すと、寿子と康子がアーンをして、茜に餌付けをされていた。
「あら、美味しいですわ。そう思わない康子!」
「本当に美味しいです。この材料でここまでの味を引き出せるなんて!」
「そうだろ!オレはローガの料理が一番好きなんだ!」
珊瑚は無言で茜の頭をペシッと叩いた。
「待ってろ!AKBF!」
放課後、珊瑚が叫びながら速攻で教室を飛び出していく。
茜は寿子、康子と共に剣道部へ向かう。
道場に着くと康子が部長に茜を紹介して、部室でロッカーの割り当てを行い体操着に着替え、道場に戻ると多湖が迎えてくれた。
「今日から剣道部に入部する、朱殷 茜くんだ!」
「オレのことは茜って呼んでくれ!剣道王にオレはなる!」
ドン!と効果音が見えるような立ち振る舞いに拍手が贈られる。
当面、茜は多湖の指導で剣道のルールやマナーを教えられることになる。
「なあ、先生。矢吹先生とうまくいってるのか?」
「なんだ藪から棒に。」
「んー、廊下ですれ違った時、すごいやばそうな顔色だったからよ。」
「今年から学年主任補佐になったからな。忙しいとは思う。」
「ちゃんとSEXしてるのか?」
「ぶっ!突然何を言う!ノーコメントだ!」
「しっかり相手してやらないと振られるぞ。」
「茜にはまだ早、くはないのか。実は主任補佐になってから、全然デートしていないんだよ。朝早くから深夜まで、それこそ休日返上で学園にいて仕事をこなしているからな。」
「そうか、矢吹先生たいへんなんだな。」
「ああ、俺もなんとか手助けしてやりたいが、教科が違うからなLINEで応援するしかできん。」
しょぼんとする多湖の尻に、気を貯めた平手でカツを入れる茜だった。
「茜、私の家に遊びにいらして!お泊まりなんてどうかしら!」
部活が終わると、離れたくないオーラ全開で寿子が手を握り締める。
伊賀が説得するが、聞こえていないフリをして全く聞き入れない。
「仕方ありませんね。「茜様」お嬢様を連れて地下駐車場までご一緒願えますかな?」
茜は微妙な顔つきで黙って頷いた。
地下駐車場には西園寺家と財前家のリムジンが、ドアを開けて待機していて、その周りにモップと着替えを持ったメイドが立っている。
茜が伊賀を見ると決意の籠った目で見返し頷いた。
「寿子!また明日な!いい夢見ろよ、親友!」
茜は寿子に抱き着くと胎に寸勁で気を放つ。
寿子は上体を大きく反らせ、下半身をビクンビクンと痙攣させて、座り込み、小便の水溜まりを作る。
アヘェと声を漏らし、焦点の合わない目で茜を見つめ、ニコリと笑うと失神してメイドに支えられる。
メイドはテキパキと後始末を済ますと、寿子をリムジンに運び入れた。
「爺ちゃん、これで良かったのか?」
「仕方ありません。それよりも茜に手間を掛けさせて本当に済まない。」
「謝ることねーよ!爺ちゃんも友達だろ!」
「なんと、この爺を友と呼んでくれるか!」
「ああそうだよ!友達は多い方がイイってローガも言ってたしな!」
「そうですか、ロウガがそのような事を。良い御仁なのですな。」
「ああ、オレの旦那様になるからな!」
「かしこまりました。いずれその時になりましたら、この爺の命に代えましてもお力になる所存。」
「爺ちゃん、何言ってるんだ?」
「ああ、爺の独り言です。気にせずに。」
「じゃあな爺ちゃん、また明日!」
「はい、茜、また明日。」
茜は伊賀に別れを告げると、呆然と事の成り行きを見ていた康子の元に走り寄り何かを話している。
康子が笑顔を取り戻すとハグをした後、「じゃまた明日!」叫びエレベーターに乗り込んでいった。
「あの娘こそ、いずれ我らの御台所になられるお方かも知れぬ。」
伊賀は近い未来に希望を見出し、ひとり笑みを溢した。
茜は1階で降り、理事長室直通エレベーターに乗り換えた。
理事長室フロアでナイラーが待ち構えており茜を部屋に通した。
「おう、茜ちゃんではないか?どうした?」
トレーニングをしていたのか、パンツ1枚で体から湯気を立ち上らせている理事長が笑顔で迎えてくれた。
「空爺ちゃん、この建物内にいる人が今どこにいるか分かるか?」
「おお、造作もない事だぞ。ナイラー!準備を頼む!で、誰が対象なんだ?」
「矢吹先生。」
「ほう、矢吹は君らと直接関わりがないと思っていたが、なにか見つけたのか?」
「まだ分かんない。ちょっと気になる。」
「四具祖様、準備ができました。」
天井から畳4枚分の大きさのモニターが現れ、館内図に赤い光点と青い光点が2つ見えた。
「場所は学年主任に与えられた会議室ですね。赤い光点が矢吹、青い光点が3学年主任の南雲と2学年主任の蓮田ですね。」
「うーむ、こ奴ら近すぎないか?」
「どゆこと?」
「館内のGPSの誤差はほぼ0に近い。
赤と青の光点が重なっているという事は体を密着させているという事だ。
監視カメラ画像を出せ。」
画面が切り替わるが真っ黒で何も映し出されない。
「音声はどうだ?」
雑音が流れるだけで音声は聞き取れなかった。
「システムを妨害してますね。故障とは考えづらいです。」
ナイラーが端末機器を操作するが、回復しなかった。
「学園内では生徒の安全第一で、教師の多少のプライバシー侵害はやむを得ないと周知しているが、これは教師同士の問題か。
しかしシステムの妨害に関しては目を瞑るわけにはいかないな。
ナイラー頼めるか?」
「ちょっと待ってくれ、空爺ちゃん。オレに調べさせてくれ。」
茜は空の前に立ち睨みつけた。
「どうした茜ちゃん。矢吹がそんなに気になるか?」
「矢吹先生は多湖先生のフィアンセだ!オレは多湖先生が好きだ!
先生としてだぞ!その微妙な顔ヤメロ!だからオレが調べる!」
理事長とナイラーは顔を見合わせ、ふーと溜息を吐いた。
「分かった。今回は茜ちゃんに任せよう。よろしく頼む。」
「おう、任せておけって!」
茜はそう叫ぶとエレベーターホールに駆けて行った。
「ナイラー、うちの就業規則に社内恋愛と、不倫に関しての罰則あったけかな?」
「特に設けていなかったと思いますが。」
「そうだよな。」
「続きしますか?」
「ああ、中途半端はいかんな。」
ナイラーが服を脱ぎ、全裸になると自分のイチモツをしごき始めた。
「どちらをご要望で?」
「両方だ!」
床が割れてキングサイズのベッドが現れる。
ナイラーはベッドに横たわると、股を開きイチモツの下にある陰唇を開き、淫らに腰を振り甘い声で準備ができたことを告げた。




