第42話 学園編③ 美魔女校長 黒屋儀 千尋
長木刀を脇構えする西園寺に対して、茜は竹刀を肩に乗せ足を交差させて全くの無防備である。
西園寺の攻撃範囲はリーチを含めれば3倍以上であり、誰も西園寺の勝ちを疑っていなかった。珊瑚を除いてだが。
西園寺は摺り足で徐々に近づき、茜を領域に捕らえると跳躍して一気に間合いを詰める。
左右後に避けても、十分に木刀が届く距離を確保しての詰めであった。
長木刀がブオンと音を立てて茜に迫る。
茜はトンと床を蹴ると前に向かって跳躍をした。
「え!」
茜の体が長木刀の中央辺りに着地すると、二刀で長木刀を受け止める。
長木刀が竹刀に触れた瞬間、西園寺の腕は金属の塊を殴打した衝撃を受け、長木刀を取り落とした。
痺れる手を呆然として見つめ、何が起きたのか混乱する。
視界に茜が顔を覗かせて「大丈夫か?」と尋ねると、西園寺は「ひいい!」と怯えた声を上げて後退した。
「顔は許してやるよ!」
気を込めた短竹刀を無造作に西園寺の下腹部に寸止めする。
気のみが放出され、丸太で突かれたような衝撃で体が吹き飛び、床をゴロゴロと転がっていく。
仰向けに倒れ、大きく開脚した股間部分から液体が染み出し、腰がビクンビクンと跳ね上がる。
超振動の気で膀胱と子宮を揺さぶられ、放尿と絶頂を繰り返しながら気絶していた。
「西園寺様ー!」
財前が半べそをかいて駆けつけると、股を閉じさせ上体を抱き上げる。
多湖が剣道部員にシャワー室からバスタオルを持ってくるように指示を出し、自らは担架を取りに入口収納庫に走った。
他部の生徒達は何が起きたのか理解できずに唖然としているなか、茜は長木刀を手に取り、ブンブンと振り回し勝利のポーズを決めていた。
「茜、やりすぎ。ちょっと手を抜きなさいよ。」
長木刀を取り上げると床に置き耳打ちすると茜がキョトンとした。
「無理だ!思い切り手抜きしたぞ!10秒も仕掛けなかったんだぞ!
白虎爺ちゃん相手だと5回は死んでるぞ!」
「まあ、そうよね。」
「こいつら弱っちすぎるな!」
「それはわたし達が強すぎるのよ。それと最後の気はやりすぎ。」
「でもよ、竹刀で突いたら腹を貫通するぞ!」
「軽くデコピンでもすればいいのよ。」
「剣の戦いでデコピンありなのか?」
「そう言われるとダメかもしれないわね。」
バスタオルでグルグル巻きにされた西園寺が、多湖と女教師の担架で運ばれて道場から退出していく。
財前がキャプテンに止められながらも向かってくるのが見えた。
「朱殷さん!酷すぎます!うら若い乙女にあんな辱めを与えるなんて!」
財前が目一杯怖い顔を作り訴えてくる様が、小型犬の無駄吠えに見える。
「財前よせ!勝負はついたんだ!態度次第では今度はお前が「決闘」することになるぞ!」
キャプテンにきつく注意をされると、途端大人しくなり背に隠れた。
「朱殷さん、珠樹さん、気を悪くしないで欲しい。」
「別にどうとも思ってねーよ!」
「質問ですが、態度次第で決闘と聞きましたがどういう事何ですか?」
「この学園の生徒の特殊性は分かるよね。例えば相手が気に入らないなどの理由で仲違いをした場合、禍根を残したまま卒業して実社会に出ると大問題となる場合が多いのよ。どこで派閥が繋がっているか分からないし、表立った関係でない場合も多々あるしね。
そこで関係性をニュートラルにするために、しばしば「決闘」が行われるの。不思議なもので「決闘」をした者同士は勝敗関係なく「親友」となる事が多いのよ。「親友」と書いて「宿敵」と読むらしいわ。」
珊瑚は上流階級にもそれなりに面倒くさい事があるとだけ理解した。
30分ほどして多湖が戻ってくる。
西園寺は、ビル内の病院で経過観察中とのことだが、外傷も無くショックで自失状態なだけと告げられた。
「びっくりしたぞ!何をしたんだ朱殷!」
「気を放った!」
「き?気功のことか?」
「はい、その気功で正しいです。」
「しかしな珠樹、ここにも合気道の師範がいて気功を扱うが、あんな派手に人を吹っ飛ばすことなどできないぞ。せいぜい体が揺らぐ程度だ」
「信じられないなら、先生も実際吹っ飛ばされてみますか?」
挑発するように笑いかける珊瑚に、多湖はニヤリと返して「応!」と答えると、仁王立ちになる。
茜が動こうとするのを止めた珊瑚が多湖の前に立つ。
「先生、私の得手は蹴り技です。寸止めをしますので、絶対に動かないでください。」
「よし!こい!」
珊瑚の右足が腰の高さまで上がりピタリと止まる。
左軸足が全くブレない見事な一本足立を見て、多湖は珊瑚にかなりの実力を感じ取り意識を戦闘態勢に切り替えた。
右足が突き出され、踵が腹に迫ってくるのが、スローモーションのように見えるのを感じた時、多湖の感覚が命の危険を感じとる。
条件反射で脳が回避行動を取ろうとするが体が反応しない。
踵が腹に当たる半寸前で止まるが、金属の塊のような重い衝撃の直撃で、体が宙に浮くのを感じた瞬間に気を失った。
茜は多湖が吹っ飛ばされていく方へ先回りすると、転がる多湖を受け止め治癒と回復を施し、駆け寄ってきたキャプテンに後を任せ、珊瑚と共に道場から退散した。
茜と珊瑚は教室に戻ると帰り支度を整え、エレベーターホールのロッカーからスマホを回収する。
学園内にスマホの持ち込みを禁止されている為、生徒はロッカーにスマホを保管を義務付けられていた。
二人はエレベーターに乗り込み、スマホの着信を確認するとLINEグループに数件の着信を見た。
狼牙「晩ご飯を食べる人」
蒼「食べます」
夜花子「勿論食べます 今日の献立は?」
狼牙「すき焼き 主から和牛霜降り差し入れ 編入祝い」
萌葱「速攻帰ります」
桔梗「マロニーちゃん入れてください」
蒼「何で?」
桔梗「炭水化物抜きダイエットちます(´;ω;`)」
日向「いかん!しっかり食べてたくさん運動するんだ!」
桔梗「お昼いっぱい食べてスカートがきつい(´;ω;`)」
日向「銀座線だったな、ならば神田から走って帰るのだ!」
萌葱「分かりました日向ママ(`・ω・´)!」
扶桑「頼もしいね!クルマに気を付けてね!」
萌葱「ハイ!」
珊瑚「わたしと茜は今から帰ります!お肉残しておいてね!」
狼牙「安心しろ 10kgある」
陸奥「珊瑚 初日どうだった?」
珊瑚「茜が早速やらかしました」
山城「何をしたの?!」
茜「西園寺ぶっ飛ばした!珊瑚は担任ぶっ飛ばした!」
山城「ちょっ?!詳しく教えて!」
陸奥「帰ってからビデオ通話で聞く!」
珊瑚「了解でーす!」
萌葱「やっぱりね!道場の件聞いたわよ」
珊瑚「これから駅向かうね」
二人は改札を抜けると渋谷の雑踏の中を歩き出した。
家に帰ると夜花子、蒼が帰宅しており、狼牙、薄葉、お糸とすき焼きをつついていた。
「ただいま!」「おかえり!」
皆の顔を見てから自室でジャージに着替え居間に戻る。
居間にビデオ通話の為のプロジェクターが置かれており、ママ達がグラスを傾けているのが見えた。
「先にすき焼き食べちゃいなさい。」
「いただきます!」
その後、1時間ほどして萌葱と桔梗が帰ってきた。
「事の始まりは西園寺が茜に絡んだせいです。」
珊瑚は口いっぱいに頬張った和牛を飲み込んでから説明を始めた。
「西園寺は大財閥だからね。まあ出来るだけ手を打っとくから。」
山城が珍しく自信なさげに答えた。
「君らは運動部に出入りしない方がいいな。その「決闘」やらを受け続ける姿が目に浮かぶぞ。」
伊勢が眉間に指を立ててフウと息を吐いた。
「強さに目を付けられると親御さんにも利用されかねないしね。」
さて困ったなと難しい顔をする陸奥。
「私の意見だがベイビー、文化部で女性の所作を学ぶのはどうだろうか?文化部なら決闘をしたとしても体力勝負にはなるまい。」
「日向!グッドアイデア!私達じゃ専門外だし丁度いいと思うわ!」
長門が日向とハイタッチをしてはしゃいだ。
「日向の意見に反対の人は挙手。いないね。ではママ達の総意としてベイビーには文化部所属を提案するけど、どうかしら?」
扶桑はニコニコとしているが画面からの圧を感じた。
「私達が運動部で目立ち過ぎると任務に支障をきたす事は理解しています。みんなも異論ないよね?」
萌葱の問いかけに六花が頷き、文化部入部で全員の意志が固まった。
「芸事は女の嗜み。わちきの時代の女はなにかしら芸を習ってやした。
わちきも三味線と長唄、踊りを習ってやしたから、六花にその気があれば教えることもやぶさかではありんせん。」
薄葉の提案に六花が湧いた。
「よろしくお願いします!」
六花の合唱に薄葉はニコニコと笑い、雌ゴリラが引きつり笑いを浮かべるなか、狼牙は逃避するように、お糸に和牛を食べさせていた。
校長室で部屋の主が、ゆったりとしたリクライニングチェアに体を預け、大きな黒檀デスク上のPCモニタを眺めている。
その机の前に1人の女生徒が直立不動で怯えた表情で立っている。
モニター表示された入退出記録は、生徒が全員下校した事を示していた。
校長、黒屋儀 千尋。47才。四具祖の元妻である。
身長153cm、B100・W68・H90。
ワンレングスの漆黒の髪は腰まで伸び、艶々とした光沢を放っている。
太い眉、二重瞼の大きなアーモンド型の目、大きい鼻と厚い唇が絶妙なバランスで配置された顔は、記憶に残る美しさがある。
褐色の肌はきめ細やかでシミひとつない、まさに美魔女と言うに相応しい容姿をしていた。
「ふーん、それでその二人は矢を避けて、西園寺と多湖を不思議な力で弾き飛ばしたのね。」
机をトントンと指で叩きながら半信半疑の目で見ると、少女はビクリと体を震わせた。
(身長は私と同じ位かしら、三つ編みお下げで真面目そうな子ね。あまり凹凸の無い体だけどロリコンには受けが良さそうね。顔も幼いし。)
黒屋儀は商品を見定める目で少女を観察した。
「まあいいわ、信じてあげる。これ、報酬ね。」
黒屋儀が封筒を少女の足元に放り投げると、顔を輝かせて封筒を拾い立ち上がろうとした時、黒のパンプスが視界に入った。
「念のため見させて貰うわね。」
黒屋儀の手が少女の頭を鷲掴みにすると、抵抗することなく動きが止まる。赤く鋭い爪をこめかみに突き刺すと、少女の目がグルンとひっくり返り、口がだらしなく開かれた。
「ふーん、本当みたいね。あら?この子、昨日が初めての部活動だったのね。やだ初々しいわ!はあ、なんか興奮してきちゃった!」
黒屋儀はボディコンスカートを捲り上げると、ウネウネと動く触手のような男根を露出させた。
「ちょっとお口を貸して貰うわよ。」
少女の口に男根が潜り込むとあまりの太さにアゴが外れる。
喉が大きく膨らみ、男根の動きに合わせて形を変える。
「あっふうぅ。」
放出された大量の体液を直接胃に流し込み終わると、男根はシュルと縮みスカートの中に戻っていく。
こめかみに突き刺さしたを指を引き抜くと、血の一滴もこぼれず傷口も塞がっている。アゴが外れだらんと開かれた口を、片手ではめるとパチンと指を鳴らした。
「お目覚めかしら?具合は悪くない?」
「はい、ゲプッ!失礼しました。胃が苦しくて。」
「今日は帰っていいわよ。気を付けてね。」
少女は胃を擦り、アゴの違和感に困惑しながらも、ペコリと一礼をして足早に出て行った。
「あの爺、何を企んでいるのかしらね。」
モニターを見ると、一瞬名前が表示され消えた。
「これで全員下校完了。さて私も帰るかな。」
コンパクトを取り出し、真っ赤なルージュを引き直すと席を立った。




