第19話 雪山の修学旅行 ⑤
私たちは最後の扉の前に立っている。
このダンジョンに潜ってすでに3ヶ月経過した。
お家の屋上露天風呂が恋しい。
アルタイルママの玉子焼きが食べたい。
朝採れ新鮮玉子に絶妙な砂糖と塩加減。
ふわふわでボリューム満点の厚焼きは、どんなスィーツより美味しくて、幸せな味がした。
今日ここを攻略すれば私達は家に帰れる。
みんなで顔を合わせて気合を入れる。
私たち「大輪の六蕾」が、最初の攻略者として記念碑に名を刻む!
私達はみんなで扉を押し開けた。
「真っ暗、何も見えないね。」
ミユキが不安げに呟くと、ルミナスが聖光の呪文を唱える。
室内が真夏の昼下がりのごとく強烈に照らし出される。
そして、少女達は見てしまった。
「ギャアアアアアアアアアアアアア!」
少女達のSAN値が一気に減った。
ミストラルとアクアが狂気に落ちる。
ルミナス、エストレア、アタラクシア、ミユキは辛うじて狂気を免れたが、咄嗟の行動ができなかった。
それは、ガサガサとおぞましい音を立てて、凄まじい速度で少女達を飲み込む。
それは少女達の穴に潜り込んでくる。
口に、鼻に、耳に、尿道に、膣に、肛門に。
それは少女達を甘噛みする。
小さな牙がほんの少し肉を食む。
それが1匹ならば、くすぐったいで済んだであろう。
それが10匹ならば、痛みを感じたであろう。
それが1000匹ならば、死の苦痛を感じたであろう。
今、少女達は数万匹のそれに肉を食まれている。
自分達が食われている。
その事実を脳が苦痛ではなく、快楽に切り替えた。
少女達は生まれて初めての絶頂を感じていた。
果てしなく続く絶頂の波に飲み込まれ、少女達の意識は途切れた。
「なんだあ、あいつの娘だからビビッてたけど、大したことないね。」
「あいつの娘だから、準備万端にしてよかったじゃないか。」
二対の邪神はケラケラ笑いながら、少女達の亡骸の上でダンスを踊る。
少女であったものは、磨き抜かれた陶磁のような骸骨と化して横たわっていた。
「わああああああああ!」
萌葱が絶叫して跳ね起きる。
心配そうに見守っていた5人は萌葱を抱きしめた。
「どうしたの、萌葱。ひどくうなされていたよ。」
蒼が頭を優しく撫でてくれる。
珊瑚と桔梗が手を、茜が左頬に、夜花子が右頬に、蒼が背中からきつく抱きしめた。
「酷く怖い夢を見たの。みんなが、あれ?どんな夢だったっけ?思い出せない。」
萌葱の様子にみんなが大笑いをはじめたが、悪い気がしなかった。
ただただ、良かったと心から安堵した。
健康診断記録
萌葱 15歳(処女)
身長155cm(+5cm)体重45kg(+2kg) 胸囲83cm Cカップ(+5cm)腹囲56cm(+2cm)
茜 15歳(処女)
身長145cm(+2cm)体重45kg(+2kg) 胸囲77cm Cカップ(+3cm)腹囲53cm(+2cm)
珊瑚 15歳(処女?)
身長153cm(+3cm)体重43kg(+2kg) 胸囲82cm Dカップ(+2cm)腹囲54cm(+1cm)
夜花子 15歳(非処女)
身長159cm(+4cm)体重48kg(+3kg) 胸囲86cm Dカップ(+5cm)腹囲55cm(+3cm)
蒼 15歳(処女)
身長163cm(+4cm)体重48kg(+2kg) 胸囲80cm Bカップ(+1cm)腹囲56cm(+1cm)
桔梗 14歳(非処女)
身長152cm(+2cm)体重49kg(+4kg) 胸囲88cm Eカップ(+5cm)腹囲58cm(+4cm)
この結果を得た桔梗の落ち込みは酷いもので、院内に鳴き声が響きまわった。
そこで、元気づけるために狼牙が、看護師さんに協力をお願いしたところ快く応じてくれたが、夜花子の機嫌が急激に悪化した。
院内で一番スタイルの良い看護師さん 24歳(?)
身長156cm 体重54kg 胸囲85cm Dカップ 腹囲61cm
「まあ、なんだ、桔梗が泣き止んでくれてよかったよ。」
冷や汗をかいている狼牙の腕に、爪を立てる夜花子。
奇跡の生還から、夜花子と狼牙の様子が変わったと感じ取った5人は、二人の行動を観察していた。
最初の内は感情を隠そうとしていた夜花子だったが、深夜こっそりと部屋を抜け出し、狼牙に夜這いをしている事が茜、珊瑚、桔梗にばれてからというもの、堂々とイチャつくようになった。
狼牙も嫌がる様子が無く、自然と夜花子を受け入れてる事から、二人はできていると判断するが、惚れ組3人は納得しなかった。
「裏切り者!」「トンビ!」「泥棒猫!」と詰りもしたが、奇跡の生還の一夜の真実を聞かされ、あっけなく説得される。
それ以来「運命の恋人同士」として、憧れの対象に変わり二人の恋の成就を応援するようになった。
夜花子は更にエスカレートしていき、夜のお努めを隠れてしなくなると、山荘内に響き渡る位の大声で嬌声を上げるようになる。
それに感化された元惚れ組3人が、布団の中で甘い声を漏らすようになった。
流石に萌葱と蒼がやばいと感じ、ママ達に現状をメールで知らせたところ、狼牙と夜花子は注意勧告を喰らった。
「狼牙くん、夜花子ちゃん、別に好きあってお付き合いするのを止めるつもりはありません。」
長門は笑っているが、目が座っている。
「狼牙くんも長い間フリーだったから、私の可愛い夜花子ちゃんを好きになるのは仕方ない事だと思うの。
でもね、まだ未成年だからね。
犯罪者になりたいのかな?」
プルプルと首を振る狼牙の顔が青ざめている。
夜花子はそんな狼牙を見て、長門に説得を試みた。
「長門ママ、お願いです。旦那様を許してください。
全部わっちの我儘のせいです。
わっち、どうしても旦那様と夫婦になりたい!
お願いします!許してください!」
夜花子は見事な土下座をして、長門に懇願をした。
「夜花子ちゃん、気持ちは分かるけど、せめて大人になるまで我慢してちょうだい。
私達はあなた達の大学進学を計画しています。
大学を卒業したら好きにして構いません。
それまでは、ママと遊んで欲しいの。
お願い夜花子ちゃん!」
長門が頭を下げるのを見て、狼牙の目に決心が浮かんだ。
「夜花子、長門の言う通り俺達は急ぎ過ぎた。
これからは、もっとゆっくり愛を育もう。
君が大学を卒業するまで俺は待つよ。
だから、ここに居る間の睦み合いは無しだ。」
「いや!旦那様の陽の気の補充はどうするの?!」
「再生の力を使わなければ、半年位は持つよ。」
「足りなくなったら、ママ達から補充するつもり?!
わっち、嫌よ!もう誰にも旦那様を触れさせたくない!
わっちの物よ!絶対に嫌ぁ!」
泣き崩れる夜花子を見て、ふうとため息をつく長門。
「夜花子ちゃん、分かりました。
あなたを補充専任に任命します。
今後はなるべく、補充が必要な時だけにして貰えると、私は嬉しいかな。
それと避妊は必ずしてください。
方法は任せます。
狼牙くん、よろしくお願いね。」
「ありがとう!ママ!」
夜花子は長門に頭を下げると、狼牙に抱きついた。
狼牙は長門に「すまん」と読唇させると、通信を切った。
「伊勢聞いた、狼牙くんにしてやられたわ!」
「はは、仕方ないだろ。
長門も一時期ハマってただろう。」
「そう言う、伊勢だってハマってたじゃない。」
「あいつは丈夫だからな。
多少の無茶をしても壊れない、そこがいい!」
「でもね、絶対取り返すわよ!
男より面白い事をいっぱい教えてあげるんだから!
待ってなさい夜花子ちゃん!」
もりもりと妄想を掻き立てる長門をニヤニヤと見る伊勢だった。
そんな事があって以来、二人は大っぴらにイチャつく事が無くなったが、今日のように狼牙が他の女に近づくだけで、夜花子の嫉妬心が全開になるようになった。
「夜花子って見かけによらず重い女だったのね。」
「重いってなによ!情が深いと言って欲しいわ!」
萌葱がからかうと、顔を赤くしてプイと顔をそむける。
「さあ、健康診断も終了したし、久しぶりにラーメンでも食べようか。」
「賛成!」
皆は飛び上がり喜び、有名ラーメン店に向かった。
萌葱「アブラナシヤサイカラメマシニンニクスクナメ」
茜「ヤサイニンニクマシアブラカラメスクナメ」
夜花子「ヤサイニンニクアブラカラメマシマシ」
珊瑚「ヤサイニンニクマシマシカラメマシアブラスクナメ」
蒼「ヤサイニンニクマシアブラヌキカラメスクナメ」
桔梗「ゼンマシマシチョモランマ!」
少女達どころか店内の客全員が桔梗を見る。
「桔梗、大丈夫か?全部食べれるのか?」
「狼牙さん、あたちお腹ぺこぺこだからだいじょうぶ!」
「そっか、ならいいんだが。あ、俺は普通で。」
やがて、桔梗の前に野菜が塔のように高く積まれたどんぶりが置かれると、目を輝かせて「いただきます」と一礼をして、もりもりと食べ始める。
誰もが「食べきれまい」と信じて疑わなかったが、みるみると減っていく野菜を見ているうちに「まさか」と思い始める。
とうとう野菜を食べ尽くし、チャーシューを平らげ、麺をズルズルと豪快にすすり上げる。
誰もがその喰いっぷりに目を奪われる中、ついにドンぶりを持ち上げ、スープをウグウグと飲み尽くす。
「ぷはー!ごちそうさまでした!」
その見事な食べっぷりに、客のみならず店員からも拍手喝采をされた桔梗だった。




