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六花と槍の物語  作者: hiddenkai
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第120話 ドリームランド編⑨ ロッガーロボ死す!

光速航行に入る寸前に超重力力場に捕らわれた帆船の速度が音速の30倍迄落ちる。

南方境界を超える迄のおよそ180秒の脱出戦が開始された。


四巨神が帆船前方に円錐の障壁を展開すると目の前に次々と星の戦士が転移し出現する。

帆船は速度を落とすことなく行く手を阻む星の戦士を弾き飛ばした。


しかし次々と現れる星の戦士により銀色の分厚い壁が形成される。

遂には帆船の歩みを止められてしまった。


「こんなこともあろうかと用意しておいた瞬間物質移送砲を試す時が来ました!」

クタニドが嬉しそうに触手を動かしながら、コンソールのボタンを押すと帆船の両側面から砲身が現れる。

ターゲットスコープを覗き込み、銃に似た発射トリガーを握りしめるとカウントダウンをはじめた。


「10、9、8、7、・・・2、1、発射!」

光子を収束させていた砲身から放たれた光線が銀色の壁に直撃するとぽっかりと穴を空け貫通した。


障害を排除した帆船が穴の中を移動する。

すると後方から穴が塞がり始め、いよいよ前方の穴が小さく閉じられようとしていた。


「みんな!掴まって!」

操船をするテラから声が上がる。

オーバーブーストを起動させると僅かに速度が上昇する。

操舵輪をグルグルと回し船体をロールさせるとマストを折りながらも閉じる寸前に飛び出した。


「やったー!」

クタニドとテラがハイタッチをして喜ぶのも束の間、またすぐに前方に転移した星の戦士の壁が形成された。


「クタニド!船の障壁に移送砲の照準を合わせるんだ!

衝角替わりにして戦士を弾き飛ばす!

低出力での連続発射してどの位持つ?!」


「30秒が現界かと!」


「上等だ!移送エネルギーのコントロールはこちらでやる!」


「承知です!3・2・1発射!」


移送光線が円錐障壁に照射されると螺旋に渦巻きドリルが現れる。

ドリルは銀色の壁を容易く貫いた。


ひとつの壁を抜けると更にまた壁が出現する。

6つの壁を貫通したが、とうとう瞬間物質移送砲がオーバーヒートを起こし沈黙した。


「キリがありませんね。私達が囮になります。」


「アダイドゥ、アレをやるのか?」


「そうアレをやります。後で落合ましょう。」


エィロワ、アダイドゥ、アリトライ=ティイの3巨神はいたずらっ子の笑みを浮かべて船外に飛び出した。


「オスカルト殿、アレとは?」


「昔、まだ幼少期だった頃の遊びさ。

まあその後母上からこっぴどく怒られたがな。」


3巨神は今まさに帆船を飲み込もうとする銀の津波の前に立つと体を丸めて激しく明滅する。

巨大な超新星爆発ごとき光が一瞬で爆縮すると空間を歪める黒点となった。


「あれは・・・ブラックホールでは?」


「そうブラックホールごっこだ!

あれで幾つもの星系を破壊しては競い合っていた。

まさに黒歴史というやつさ!」


「・・・」


三つのブラックホールは銀の波を全てのみ込み遠い宇宙の彼方にホワイトホールとして吐き出す。

転移できる星の戦士には一時的な対処であるが、十分な時間稼ぎとなった。


「今のうちだ急げ!」


「そうはいかんぞ!息子よ!」


神の鉄槌が帆船を叩き壊すとナイラーが宙に放り出される。

四具祖は迷わず宙に身を投げた。


「アーレー!」

ナイラーの悲鳴が空に響き渡る。

四具祖は平泳ぎで空を泳ぐとナイラーを抱きしめた。


帆船は大破しながらもクタニドのフォースフィールドで持ち直し、落下する2人を追う。

オスカルトは飛び出しノーデンスと対峙した。


「父上!いい加減に諦めてください!」


「黙れ!親子共々余を謀りおって!仕置きをしてくれるわ!」


「ならば仕方ありません!私の成長を確かめて頂く!」


「良いぞ!さあ来い!」


ノーデンスとオスカルトはがっぷりと組み合った。


「これでは間に合わない!」


帆船は機能を失い自由落下するのみで2人に追いつけない。

みるみる地面が近づき諦めかけたその時、瞬間移動で現れたロッガーロボに救い上げられた。


「爺ちゃん!姉ちゃん!お待たせ!」


「おお!茜ちゃんか!立派になったな!」


かくして六花と四具祖達は再会を果たした。


四具祖達と帆船を無事地面に降ろすと空を見上げるロッガーロボ。

ノーデンスとオスカルトとが空間を揺るがすガチンコ勝負を続けている。


「あれ止めなくていいのか?!」


「身内同士の諍いだ。他人が口を出す事ではあるまい。」


「そうか!親子ケンカか!いいな!」


「あちらに帰ったら早速手合わせをしような茜ちゃん。」


「おう!楽しみだぜ!爺ちゃん!」


茜と四具祖の和気あいあいとした会話も長くは続かなかった。


「来たよ!気を引き締めて!」


萌葱の声と同時に星の戦士が転移しあっという間に空を埋め尽くす。

辺りに戦士の「ジュアッ!」がセミの大合唱のごとく響き渡った。


「ウルト〇マンかしら?」


蒼の一言で皆がハッと気づく。


「そうでち!新マンにセブンにA、タロウもいるでち!」


桔梗が少々興奮しはじめた。


戦士達が一斉に腕を組むと光線を放つ。

ロッガーロボは待ってましたと言わんばかりに光線を受けた。


99%を吸収し精神エネルギーに変換したが1%で致命的なダメージを受け、吸収したエネルギーをほぼ使い切り修復した。


「あれはダメでち!次当たったら素粒子分解するでち!」


白菫花の絶対防御を展開すると、人だけバックパックに掴まらせ大地を駆けた。


「どうして転移しないのですか?!」


クタニドが声を上げた。


「したいけど精神力が残り少ないの!

障壁展開するだけで一杯いっぱいなのよ!」


珊瑚が悲鳴のように答えた。


「ゼヒレーテさんは何処にいるの?!」


「カダスの城でゲートを開いてる!辿り着ければ直ぐに帰れる!」


テラの質問に夜花子が答える。

その声は疲労で苦しげであった。


前方に星の戦士が現れると萌葱は真・流水拳でいなしながら決して歩みを止めない。

星の戦士はロッガーロボの体術に刺激されたのか光線を使わずに格闘戦を挑んでくる。

戦士の矜持なのか決して後方から襲ってくることがなかった。


「萌葱交代だ!」


「よろしく狼牙!」


萌葱の流水拳が円に対して狼牙の体術は直線的で一撃が重い。

戦士達は突如変化した動きにますますエキサイトしていた。


既に障壁を展開する精神力が残されていない。

六花は精神力を使用しない体術を各自でローテーションすることで、精神力の使用を極力抑えている。

幸いにも光線攻撃が途絶えていることも功を奏していた。


星の戦士は高揚していた。


過去数十億年に渡りこれほど手応えのある相手は外なる神の主神以外に遭遇していない。

戦闘に特化した種族故に冷静な判断力と不屈の闘志を持って生まれる。

しかしそれは秘められた狂暴性を押さえつけるためのものである。

戦士はロッガーロボに打ちのめされる度に判断力を失っていく。

次第に卵型の目が吊り上がり口元が徐々に裂けていった。


「ガアァァァァ!」


遂に口が裂け白い歯が剥き出しになり大量の涎を流し始める。

戦士は狂戦士と化した。


「こいつら何か変だよ!」


珊瑚が戦士の変化に気付き声を上げる。

戦士は1体1を止め、集団で襲い掛かってきた。


格闘技ではない。

まさに野生の獣のように歯で噛みつき、鋭く伸びた爪を突き立てる。

押し倒された衝撃で四具祖達が放りだされるが見向きもしない。

狂戦士はただロッガーロボのみを標的としていた。


「今のうちに行ってぇぇ!」


珊瑚の悲痛な叫びが狂戦士の鳴き声にかき消される。

衝撃で気絶した四具祖達に声は届かなかった。


狂戦士はロッガーロボの装甲を全て毟り取ると、露出した白磁のような肌と形の良い乳房に齧り付く。

肉が噛み千切られ咀嚼する音が聞こえる。

既に精神をほぼ失った六花達は声を上げることもできない。

欲情した戦士がイチモツを出現させ犯しはじめた。


ゼヒレーテは星の戦士の異変に気付き転移をすると信じられないものを見る。

戦士がロッガーロボを犯しながら内臓を引きずり出し咀嚼する姿を。


「何をしているのですか!やめなさい!」


ゼヒレーテの裂帛が精神に直接伝わると全ての戦士が動きを止める。

戦士達もまたゼヒレーテの生み出した子供達である。

母の一喝で正気に戻り自らの行為に驚愕した。


「あなた達は星に帰り自分達の行いを顧みてよく反省なさい。」


ゼヒレーテは極力感情を押さえて告げる。

戦士達は力なく「ジュワ」と答えると転移して消えた。


ゼヒレーテは変わり果てたロッガーロボの元に行くと手をかざし状態を確認する。

微かな生命反応を察知すると急ぎみことのりを唱えた。


ロッガーロボが光に包まれ7つに分離すると小さな玉に変わる。

7色の玉を拾い上げると胸に抱きしめ静かに嗚咽を漏らした。


「ゼヒレーテ!あの子達はどうしましたか?!」


覚醒したテラがおぼつかない足取りで近づいてくる。

ゼヒレーテは7つの玉をテラに握らせた。


「ああ、こんな姿になってしまって。」


テラも玉を胸に抱くとうずくまり声を上げて泣いた。


「ご婦人方!六花は茜はどこですか?!」


四具祖がナイラーをおぶってやってくる。

テラは四具祖を睨み付けながらも玉を見せた。


「あなた方を守り通した子供達です。

もう人の姿に戻ることはないでしょう。

この子達は私がいつまでも守ります。」


玉を見た四具祖の力が抜け膝を着くと呆然とする。

傍らでナイラーが這いながらテラに手を伸ばした。


「戻す手段はないのですか?!」


ナイラーは滂沱の涙を流しながら訴えかけた。


「・・・ない事はありませぇん。」


「あるのか!ならば戻してくれ!」


躊躇うようにゼヒレーテが答えると四具祖が突然生き返ったように声を上げた。


「あなた達の神格を与えるのでぇす。」


「なんとそんな事か!いくらでもくれてやる!」


「あなた達は神でなくなるでぇすよ。」


「そんなものよりこの子達の方が大事じゃ!

この子達は儂らにとって家族同然じゃ!

この子達の笑顔が見られなくなるのならこの命はいらん!」


「私の本当を知っても変わらない笑顔を見せてくれたのは四具祖とこの子達だけなんです。

お願いします!何でもあげます!元に戻してください!」


四具祖とナイラーは揃って土下座をした。


「ならば一度あなた達の神格を解放するでぇす。

その時に同じ言葉が聞けることを願うでぇす。」


「お待ちくださいゼヒレーテ様!神格の解放はお止めください!

余りにも危険です!」


ゼヒレーテはよたよたしながら近づいてくるクタニドに笑いかけると、四具祖とナイラーの元に立ち封印を解くみことのりを唱えた。

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