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六花と槍の物語  作者: hiddenkai
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第119話 ドリームランド編⑧ ノーデンスと星辰天軍の出撃

狼牙の頭に?が浮かびあがる。


「あの、言っている意味が理解できませんが?」


「考えていけないでぇす。感じるでぇす。」


「ますます分かりません。」


「36億年前に突然出現しましたでぇす。

元々あの星系に生命を誕生させる予定はなかったでぇす。

とても辺鄙で他の文明との交流に時間がかかりまぁす。」


「はあ、そうですか。」


「そこで私と息子とで現地確認しに行きましたでぇす。

そうしたらシングル星母テラがいたでぇす。

彼女は大いなるものの助けを得られず、一人で必死に子育てをしていたでぇす。

それはそれはとても献身的で涙ぐましい努力でぇす。

パパさんから接触を止められていたですが、我慢できなくて手助けしたでぇす。

これは私と息子の秘密でぇす。

それ以来、私はその星母テラと親友になりましたでぇす。」


「はあ、そうなんですね。」


「星母の努力が実り第1期文明が興りましたが、直ぐに外なる神の信奉者達に見つかってしまったでぇす。

私は息子達にお願いして幾つかの次元分岐を作り、マルチバース世界を用意したでぇす。

残念ながらユニバース世界の生命は遺伝子を改造されて奴隷となったでぇす。

それがあなた達でぇす。

私は既に星母の役目を終えたテラをこっそりドリームランドに招きましたでぇす。」


「その、ご主人はご存じないので?」


「多分知ってると思うでぇす。

でも口出しすると私が怒るので知らないふりしてるでぇす。」


「尻に敷いているんですね。」


「んー!ちょっと違うでぇす。

ノーデンスが本気で怒れば私は消滅するでぇす。

でも私が消滅するとドリームランドの寿命が消えるでぇす。

星は活動を止めて只の石くれになるでぇす。

なので宇宙を再創造する迄は、何があっても私を消滅させる事はできないでぇす。」


「・・・利害関係ありきの夫婦ですか。神でも現実的なんですね。」


「私は星母テラの要望もあり長い間あなた達を観察してきたでぇす。

あなた達はとてもユニークな存在でぇす。

侵略者から神の存在を秘匿されているにも関わらず、仏という存在を作り出しそれに神を当てはめましたでぇす。

侵略者も人の魂が昇華した姿であれば気に留めなかったでぇす。

以降神のいない稀有な星としてゆっくりと文明を発達させたでぇす。」


「侵略者を放置したのは何故ですか?」


「基本子供同士のケンカに親は口出ししないでぇす。

それに侵略者といえど元は私の種でぇす。

本音を言えば実子が他所の子に何をしようと構わないでぇす。」


「そういうものなんですね。」


「そういうものでぇす。

でも六花が現れてから事態が急変したでぇす。

外なる神やその眷属、四大霊が現れたのは想定外でぇす。

何故ですかぁ?」


「・・・こちらが聞きたいですが?」


「私が思うに私達以外の神クラスの神格に仕組まれているのではないかと思うでぇす。

それも六花を中心としてでぇす。」


「こいつらを中心にですか?確かに言われればそう思えてきました。」


「人と思えない進化は既に神の領域にあるでぇす。

その能力は神殺しに特化してるでぇす。

まさに「死神」でぇす。」


狼牙は以前に聞いたアカシックレコードの話を思い出した。


▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽


「こんにちは、クタニドはご在宅かな?」

安定と秩序の四巨神のリーダー、ノーデンスの長男オスカルトがクタニドの棲む小さな城のバルコニーを覗き込み女性に話しかける。

女性はバルコニーに出ると親友の息子の来訪を喜び出迎えた。


「久しぶりねオスカルト。また会えて嬉しいわ。」


「私もです星母テラ。お元気そうで何よりです。」


星母テラはバルコニーから身を乗り出し両手を広げる。

オスカルトは顔を近づけ額に口づけを受けた。


巨神であるオスカルトの体長は6mに及び、当然城内に入ることはできない。

星母テラはクタニドを呼びに城内に戻った。


「お待たせしましたオスカルト殿。本日は何用で?」

3分程でクタニドが慌てた様子で駆けてきた。


「こちらで夢見人を2人匿っておられる件で話をしたい。」


「はて?何のことでしょうな?」


「隠さなくても結構です。捕まえに来たわけではありません。」


「・・・と言うと?」


「母上から2人の保護を依頼されております。」


「何故に?」


「実は大いなるものとの決着がつきました。

彼らは浄化された上で母上の子宮に戻りました。

外なる神との確執はもうありません。」


「なんと!流石はゼヒレーテ様!素晴らしい偉業をなされた!」


「まあ、事実は異なるんですが今はそういう事にしておきましょう。

その方が父上への説明が省けます。

眠りの神が還った今なら母上の力で2人を目覚めの世界へ返すことができるでしょう。

母上がこちらに到着するまで私達が2人の護衛をします。」


「それは心強い!してゼヒレーテ様は何時こちらに来られるか?」


「7日ほどかかるとのことです。」


「それはまたどうして?一瞬で来られると思いますが?」


「病人の看護をしておりまして回復にその位は必要とのことです。」


「それはまた何とも慈悲深いことです。

承知いたしました。

では2人に会っていただきましょう。

今の時間なら浜で寛いでいるはずです。」


「・・・ああ、やはりあの2人だったのですね。」


「もうお会いになられましたかな?」


「会ったというより見つけました。

浜でそれは大層激しく愛しあっていましたので声は掛けておりません。」


「・・・はは、そうでしたか。まあ今は人の身であるし仕方ありませんな。」


オスカルトとクタニドは外なる神本来の姿で愛し合う場面を想像してしまい乾いた笑いを漏らす。

その様子を海鳥がじっと見ていた。


▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽


「おのれ親子揃って余を謀りおって!もう許せん!余が直々にキツイ仕置きを与えてくれる!

星辰天軍!余の元に集結せよ!」


ノーデンスの掛け声に星の戦士が次々と姿を現し、広大な玉座の間を埋め尽くした。


「これより邪魔をする者を排除しヨグ=ソトースとナイアーラトテップを捕獲する!

邪魔するものは消滅させん程度に痛い目に合わせて構わん!

行くぞ!」


「おおー!」


鬨の声が神殿を揺らすとノーデンスと星辰天軍はクタニドの城に転移をした。


「結界障壁に感あり!このままでは破られます!」


星母テラの叫び声にオスカルトとクタニドが上を見上げると全方位の空の向こうに多数の影が透けて見える。

影から光線が発せられ今まさに空を割ろうとしていた。


「クタニド!浜より2人を引き上げてくれ!私達は障壁を強化する!急げ!」


安定と秩序の四巨神は城を取り囲むと空に向けて光を放つ。

光はドームの内側を沿うように広がると硬質な透明の膜に変化した。


「星辰天軍か!父上は本気だな!」


星辰天軍は星の戦士と呼ばれる、外なる神達に対抗する為に創造された金属生命体である。

柔軟で宇宙で一番固い皮膚を持ち、あらゆる環境下で活動可能である。

基本が銀色に輝く体色であるが赤や青色のマーキングをした個体もいる。

決して老いることが無く無限の寿命をもっていた。


瞬間転移、光速移動を可能とし様々な攻撃手段を持つ。

格闘技、光線技に秀でており腕を十字に組んで放たれる光線は非常に強力であり、下級の外なる神であれば一撃で素粒子レベルに分解した。


正義感が強くこの宇宙の生物をこよなく愛する。まさに守護神とも言える存在であった。


「ジュアッ!」

ジーと音を立て七色に輝く位相変化反粒子光線が放たれると、結界障壁の表面を僅かに削りとった。


ノーデンスは安定と秩序の四巨神が障壁に神性を施したと確信する。

位相変化反粒子光線はあらゆる障壁・装甲に対して様々な反粒子を変化させながら放出する。

弱点となる反粒子が特定されると固定され有効なダメージを与えるが、神性に対しては端からプログラムされておらず、それに近い反粒子を浴びせ続けていた。


「ええい!埒が明かん!余が木っ端みじんにしてくれるわ!」


ノーデンスは大きな金槌を持ち出すと大きく振りかぶった。


「神の鉄槌」


理論上破壊不可能と言われるブラックホールの特異点をいとも容易く粉砕する神具でありノーデンスの愛用する武器である。


「ゴワァァァン!」


鐘をついたような音が辺りに響き渡る。

障壁に僅かにヒビが入るが金槌を振ったノーデンスが反動で成層圏まではじき飛ばされた。


「息子め!このような強力な障壁が張れるとは見直したぞ!

おっと、今は子供の成長を喜んでいる場合ではないな。」


ノーデンスは金槌を構えたまま猛烈な速度で落下していくと、勢いのまま再び障壁に打ち付けはじき返される。

その行為を何度も続けるノーデンスの表情が戦士に変わっていた。


障壁は幾度か小さく破壊されたが、その度に補修され1日が経つ。

ノーデンスは諦めずに鉄槌を振るい続ける。

しかも次第に破壊の間隔が短くなっていた。


「父上の全盛期が戻りつつあるなぁ。

あの頃なら一撃で粉砕されていたであろう。

そろそろ覚悟をしておいてくれ。」


ノーデンスはバルコニーで戦況を見守る城の住人に話しかけた。


「皆さん儂らの為に誠に申し訳ない。

儂らはとうに覚悟ができています。

その時が来たら抵抗せずに引き渡してください。」


褌姿で腹にサラシをきつく巻き胡坐をかく四具祖と、白い着物の半身をさらけ出し胸にサラシを巻き正座するナイラーが共に頭を下げた。


「ヨグソ、ナイラー諦めるのはまだ早いです。

ゼヒレーテ様がお出でになれば目覚めの世界に帰れます。

希望を持ってください。」


クタニドは2人に言葉を掛けながらゼヒレーテに呼びかけているが、強力な結界で念話が妨害されていた。


「障壁はもう持ちそうにありません。

障壁のエネルギー相転移させ爆発させます。

その混乱に乗じて帆船で脱出しましょう。

一か八かの作戦ですがここでの籠城戦よりはましです。」


そうと決まるとテラが帆船を呼び出し皆が乗り込む。

四巨神は帆船の前方に集まり障壁の相転移のタイミングを計る。


「今だ!」


既にヒビだらけの障壁に赤い粒子を放出した瞬間に鉄槌が叩いた。


障壁の外へのエネルギーと鉄槌の打撃のエネルギーが相乗し超反発の力が何者をも巻き込み弾き飛ばす。

ノーデンスと星の戦士達は例外なく星のA・D・M・Sに叩きつけられ止まった。


「南方全域に転移阻害結界が張られています!通常空間を高速移動します!」


帆船はカダスの城に向け舵を切った。

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