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六花と槍の物語  作者: hiddenkai
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第116話 ドリームランド編⑤ 7つの心をひとつに!

「お客様おはようございます。

面会のお約束があると地元民が訪ねてきましたが如何いたしますか?」


翌日、早朝のモーニングコールで起こされた六花達は、急いで身支度を整えてホテルをチェックアウトした。


「またのご利用お待ちしております。」


ホログラムベルボーイに見送られ外に出ると、大勢の人々が集まっていた。


「おはようごだいます。昨晩はよう眠れたかえな?」

昨日世話をしてくれた男が微笑みながら近づいてきた。


「おはようございます!とてもよく休めました。」


萌葱が元気よく答えながら小走りで男に近づきお辞儀をする。

男も同様にお辞儀を返した。


「久しぶりに夢見人が訪れたとあっちみんな興味津々なんや。

気ぃ悪うされたら申し訳ねえ。」


見渡すと全員生成りのトーブ姿でターバンから2つの角が見えている。

顔は浅黒く毛の無いヤギを連想させた。


「そんなことないです!皆さん歓迎ありがとうございます!」


萌葱が大きな声で語りかけ手を振ると、村人達が歓迎の言葉を返し手を振る。

ゼヒレーテはその光景を見てにっこりと笑う。

目通りが済むと村人達は名残惜しそうにしながら方々へ散って行った。


「今日はムーンビーストが来るけん、村人は忙しゅうなり皆さんにお付き合いできん。

わしが農園に連れち行くけん、遠慮せず好きなだけ食料ぅ持っちいっちくりい。」


男は先頭に立つと手招きをして歩きはじめた。


「ムーンビーストですかぁ。会いたいですねぇ。」


道中ゼヒレーテがうっとりした顔で呟く。


「ムーンビーストについて教えてください。」


その様子に興味を持った夜花子が質問をすると、ゼヒレーテは少し意地悪そうな顔をして話しはじめた。


「そうですねぇ・・・かつては外なる神の奉仕種族でぇす。

ある理由で殺されずに捕虜となり月に幽閉されたでぇす。

年月を経てすっかり改心してこの宇宙の住民になったでぇす。

醜悪な姿をしていて人前に姿を現しませぇん。

強欲で我儘で人を支配する事を好みまぁす。」


「なんかとんでもなく嫌な奴という印象を持ちましたが。」


ゼヒレーテは意味深な笑顔を浮かべ六花達の反応を観察した。


「ここが農園や。」


到着した場所はとても大きなガラス張りのドーム型の建物だった。


内部に入ると広大な農地が広がり果てが見えない。

運搬用のモノレールがあちらこちらに張り巡らされ、トロッコに大量の農作物が積まれている。


今まさに出荷されるところでコンテナに次々とトロッコごと積まれていく。

大勢のレン人が大人子供含めてトロッコに収穫物を載せていた。


「凄い規模ですね!とても人の手だけで管理されていると思えない!」


蒼が感嘆の声を漏らすと、男が農園の仕組みについて話しはじめた。


「そん通りや。

人ん手じ行う作業は余分な葉や実ぅ取り除く事と収穫のみや。

土ぅ耕し追肥ぅし苗ぅ植ゆるんなロボットん仕事や。

ほら足元ぅあんげこんげ動き回っちょんのがそうや。

水やりは定期的に気象コントロール装置が雨ぅ降らする。」


「病気や害虫被害はないのですか?」


「遺伝子操作されちょんけん病気はねえなあ。害虫はほらあっきおる雛が片端から処理しちくるるけん心配ねえなあ。」


指差す方向に人の背丈ほどある馬頭の鳥が、舌を器用に伸ばして虫をついばむ姿を見た。


「ありゃあシャンタク鳥といっち、成長すりゃああんた達ぅ運んじきた大きさになる。

各地に野菜ぅ売りに行くときん運搬用に飼育しちょん。

卵も貴重なたんぱく源でしんけん美味しい。

それと今はお日様が見ゆるけんおらんけんど、蜘蛛もおるけん害虫・害獣対策に抜かりはねえ。」


「害獣?このドーム内でですか?ネズミとか?」


珊瑚が周りを見渡しとても獣が隠れられる場所が無いことに首を捻った。


「ネズミなんて可愛らしいもんじゃねえちゃ!

ガスト・ガグ・グールやらん地底人達んことちゃ。

奴らは日が沈むと地底から穴ぅ掘っちゃってくる。

ほいち農作物どころか雛や人間ぅ襲うち食べちしまう。

そこじ蜘蛛達ん出番となるわけだ。

ムラサキ軍曹とわし達は呼んじょんのやけど彼らは地底人達が大好物でね。

日中は擬態化しち姿が見えんが夜になると姿ぅ現し害獣ぅ捕食する心強い友ちゃ。」


「人を捕食って・・・大きい蜘蛛なんですね。」


「大きいけん体高5mになる大蜘蛛ちゃ。」


六花は大蜘蛛の姿を想像して「ウヒィ」と小さな悲鳴を上げた。


「ここはお野菜ばかりでちけどお肉は食べないでちか?」


「野生ん獣ん肉は食ぶるけんど、食肉用ん動物ん飼育やらは禁忌事項なんでしちょらんね。

どげえしてん食べとうなったらフードレプリケーターぅ使やあいいしね。」


一通り説明を聞いた六花は集荷場に案内され大きな布袋を渡された。


「こきあるもんな好きに持っちいっちくりい。

わしゃ仕事に戻る。

あんた達ん旅が実り多きことぅ祈る。

またどこじお会いする日までお元気じ。」


「ありがとうございます!このご恩忘れません!


最後にお名前を教えてください!」


「わしらに名前は無えのちゃ。

普段はテレパシーじ会話ぅするけん名前ん必要がのうてね。

あんた達ん好きな名前じ呼んじくれち構わんちゃ。

それでは失礼するちゃ。」


男は手を振りながら去っていった。


「せっかくだから貰っていこうぜ!その前にひとつ味見!」


茜が真っ赤に熟れたトマトのような果実を手に取り齧り付く。

プシッと音を立てて果汁がはじけ飛び口の周りを汚した。


「うめえぇぇぇ!」


歓喜の声が室内に響き渡り作業をしていた村人の注目を浴びる。

茜は夢中で果実を頬張りあっと言う間に食べ尽くした。


「おっちゃん!おばちゃん!これすげえ美味いよ!」


村人達はニコニコと笑い「ようけ食べなさい」と答える。

六花一行はその場で満腹になるまで野菜を食べ続けた。


「空間収納使えて良かったぁ!」


六花はパンパンに膨らんだ布袋を亜空間に収納し農場を出ると、大きな黒いガレー船が浮上していくのを目撃した。


「あれがムーンビーストの乗る宙船でぇす。

彼らは月に1度地上に降りてきて食料を補給しまぁす。

あの衛星が彼らの住処であり職場でぇす。」


「神なのに食べ物が必要ですか?」


「それはですね狼牙、私と同じでグルメなのでぇす!」


「そう言えばゼヒレーテも必要なかったね。」


「萌葱、美味しい物は心を幸せにするでぇす!」


ゼヒレーテは万歳をして感情を露わにした。


広間に差し掛かると村人達が右往左往して慌てている様子が見える。

六花はテレパシーを感受できるか試した。


(うちの子が宙船に乗り込んだことは確かなのね!)


(うん、あいつどうしてもムーンビーストを見るんだって・・・)


(もう引き返すことはできない。諦めるしかないな。)


(そんな!ああ・・・!)


母親が泣き崩れ、夫が背中を抱きしめた。


萌葱「今から追い付けるかな?」


蒼「試してみる?」


茜「恩は倍返ししないとだ!」


桔梗「あと10秒で追いつけなくなるでち。」


珊瑚「なら考えている時間は無いよ。」


夜花子「という事です。旦那様。」


狼牙「ゼヒレーテは飛べるのか?」


ゼヒレーテ「勿論。」


7人はロケットの打ち上げ如く空に飛び上がった。


「思ったよりあの船速い!」


大気圏離脱速度に達するが依然差が縮まらないことに萌葱が焦りを覚える。

既に速度は限界である。

瞬間移動を試みたが宙船のシールドに妨害され座標が定まらない。


「萌葱!合体だ!それしかねえ!考えてる時間は無いぞ!」


「よし!みんな合体するよ!」


「7つの心をひとつに!チェンジ!ロッガーロボ!」


▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽


以前一度だけ狼牙のアドバイスを受けて合体を試み、その際に総出力が7倍ではなく7乗に跳ね上がった。


しかし、イメージした姿がとんでもなくセンスが悪かった。


それぞれが思い浮かべた姿を具現化した為、とんでもなくちぐはぐな姿に変形合体をしてしまった。


右足の夜花子がガーターベルトの美脚


左足の蒼が1stガ〇ダムの脚部


右腕の萌葱がヱヴァン〇リヲン初号機


左腕の珊瑚がショベルカーのアーム部分


下半身の桔梗が何故かマ〇メロママ


上半身の茜がコ〇ボイ総司令官


頭部と背面の狼牙がたてがみを生やしたリアルな狼


かくして史上最悪なロボが爆誕する。

嫌気がさした茜を除く面々は以降合体を封印することに決めた。


しかし、諦めることができない茜は、トイレに自分のイメージするロボのイラスト「これがロッガーロボだ!」を張り付け、潜在意識への刷り込みを図った。


そして今その成果が試される時が来た!


▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽


光り輝く7人が編隊を組み合体体形に変形する。

上半身と両腕部の合体と下半身と脚部の合体が同時に行われ、上半身と下半身が合体し胴体が出来上がると、頭部と背面部に変形した狼牙が合体し全長5mのロボが爆誕した。


その姿は茜の思い描いた姿でありとても美しく力強い。

有機的で細身のフォルムはしなやかな動きと俊敏性を、七色に輝く継ぎ目は見えないパール色の透明装甲は絶大なる防御力と特殊性を連想させた。


鋭角な装飾はひとつひとつが絶大な威力を誇る武装に見え、背後に備えたマント型のバックパックは、とてつもない推力と機動力を生み出すことが一目で理解できるものであった。


そして少年とも少女とも見られる中性的な顔と漆黒のショートボブが美しい頭部が一際目を惹いた。


「おう!とても官能的で美しい戦乙女でぇす!」


ゼヒレーテはキャッキャッとはしゃぎながら背後から首筋にしがみ付いた。


「ロッガーロボ!GO!」


凄まじい光の噴射を撒き散らしながらロボが跳ぶ。

瞬時に光速に達したロボは激突寸前で慣性と重力を制御し、船体を揺らすことなく側面に着地してデッキに駆け上がった。


蒼「あっぶなかったー!」


夜花子「いきなり光速とか聞いてないし!」


珊瑚「桔梗!寝てる間に紋章を書き込んだでしょう!」


桔梗「へへっバレたでち。」


萌葱「予め相談してって言ったでしょう!」


茜「まあいいんじゃね!おかげで追いついたしな!」


桔梗「茜ちゃんのロボ見てたら、あれもこれもと想像して暴走したでち。

ごめんなさいでち。」


蒼「このマッドサイエンティストめ・・・。で他には?」


桔梗「いっぱいあるでち!ゴッチンハンマーとか天国と地獄とかロンギヌスとか・・・」


萌葱「ストープッ!長くなるでしょう!あとでゆっくり聞く。」


珊瑚「そうねそれがいいわ。そうとしてこの体少しエロくない?」


夜花子「透けて裸が見えてるんだけど。」


茜「そうか?女の下着は透けてるもんだろ!」


萌葱「それは茜の嗜好でしょう。私は綿のパンツよ。」


蒼「私は気に入ってるぞ。見えそうで見えないとこが素晴らしい。」


珊瑚「変態が2人いるとこうなるのか。これも桔梗の仕業?」


桔梗「この装甲はフェイズシフト装甲とアブレーティブ装甲とエネルギー転換装甲の複合・・・」


萌葱「ストープッ!後で聞くわ!取り敢えず凄い装甲なのね!」


桔梗「そうでち!この装甲があれば無敵でち!」


狼牙「そろそろ合体を解除しないか?子供を探さないとな。」


六花は慌てて合体を解除した。

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