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六花と槍の物語  作者: hiddenkai
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第1話改 六花と運命の出会い~激動への分岐点~





中央下 萌葱

中央上 桔梗

左下 茜

右下 蒼

左上 夜花子

右上 珊瑚


まるまる改稿してたりします

ソフトな表現?

順次改稿予定

挿絵(By みてみん)


「ああん!またクズレアばっかし!」

「あんたさぁガチャしすぎじゃない。今月幾らぶっこんだの。」

萌葱もえぎ珊瑚さんごのスマホを取り上げ課金額を確認した。


「げっ!4万!あんたバカじゃない!」

「いいのよぉ、今月パパからお小遣いいっぱい貰ったし。」

「あんた、まだパパ活を続けてたの!「ウリ」してるんじゃないでしょうね?!」

「大丈夫まだ処女よ。膜は未来の旦那様の為に大切に取ってあるからさ。」

スマホを取り返すと屈託の無い笑顔を浮かべる。


「アナルSEXは「ウリ」だと思うけどね。」

「アナルばかりしてると括約筋が緩んで洩れるよ。」

呆れる夜花子やかこの隣であおいがスマホを見ながら呟く。


「ちーがーいーまーすー!アナルは排泄口だからSEXではありません!

だからモロ画像でもモザイクが掛からないでしょう!」

「妙な屁理屈で正当化すんな!パパ活を止めないなら絶交すんぞ!」

あかねの本気の怒りを見て、珊瑚は「ごめん」としょげた。


「珊瑚ちゃん、もうパパ活止るでち!

わたち珊瑚ちゃんとお友達でなくなるのイヤでち!珊瑚ちゃんが好きでち!」

目をウルウルさせた桔梗ききょうに抱き着かれた珊瑚は、意を決してパパのアドレスを削除した。


「アドレスを削除しました!これで許してください!」

皆にスマホを見せて深々と頭を下げる。


「今回だけだかんな!それとマッチングアプリも削除な!」

茜に言われた通りアプリも削除して手を差し出す萌葱にスマホを渡した。


「うん、全部削除したね。珊瑚、信じているからね。」

萌葱の心の中を見透かすような瞳に珊瑚は幾度も頷いた。



萌葱、茜、夜花子、珊瑚、蒼、桔梗の6人は今日高校入学式を迎えるピカピカの1年生であるが彼女らに夢や希望は無い。

マンモス団地に隣接するこの学校は素行不良の子供達が集まるいわば底辺学校である。

貧困家庭の子供達を集め、最低限の義務教育を受けさせる目的で作られ、その役割を充分に果たしている。

生徒同士、生徒から教師、教師から生徒の暴力も日常茶飯事であり、地域住民から嫌われ恐れられていた。


「おい、お前ら!六花ろっかだな。」

校門を走り抜けようとする彼女らをリーゼント・長ラン・ドカンのベタな不良学生が呼び止めた。


「そうだよ、何か用?」

「ちょっとツラ貸せや。」

「これから、入学式なんだけど。」

「秒で済ますから気にすんな。」

「みんな~どうする~」

やれやれと萌葱が振り向くと仲間たちが獰猛な笑みを浮かべ頷いた。


「聞くまでもないかぁ、いいよどこでやる?」

「体育館は式場か、旧校舎裏に行くぞ!」

「おっけー!」

20人を超える不良に囲まれ連れていかれた先では、更に30名を超える不良がヤンキー座りで六花を待っていた。


「お前ら負けたらヤらせるんだってな?みんな女に飢えててよ。

ちと人数が多いけどよろしく頼むぜ!」

「誰がそんなデマを流してるんだか。やらせるわけないでしょう!」

噂は聞いていたが面前で言われた珊瑚はムカついて腹を立てた。


「デマでもなんでもいいぜ、ボコボコにすりゃ泣いて抱いてと懇願するだろよ!」

「あんたバカ?童貞!」

「私達が負けるわけないじゃん。童貞!」

「泣かしてやるよ。童貞!」

「おちおきでち!どーてー!」

蒼、夜花子、茜、桔梗の順で煽られたリーダーが額に青筋を立てて大声で叫んだ。


「童貞ちゃうわ!」

それを皮切りに目がギラついた男達が一斉に襲い掛かってきた。


六花は互いに背中合わせになり萌葱の号令に合わせ器用に動き回る。

決して1対1にならず、2対1で男と対峙しあっという間に戦闘不能にする。

方法も手段を問わず人体の急所である、金的、鳩尾、こめかみ、あご先、人中に容赦無い一撃を必中させていた。

圧倒的人数差で優位にいた不良グループはみるみる数を減らしていく。

そうして腕っぷしの強そうな大男が満を持して現れた。


「ここからはタイマンだぁ!ゴラアァ!」

筋肉が隆起した上半身を晒した番長が大声で挑発する。


「そんな挑発に乗るほどバカじゃないけど、あえて乗ってあげる。」

私が相手よと言わんばかりに蒼が前に出ると、腰を折りスカートの裾の左右2ヶ所のチャックを腰迄上げた。


「なんじゃ!貧乳メガネ!お主のような貧相な女では儂のマラが満足せんわ!」

既に蒼に勝つことしか考えていない番長が暴言を吐く。

そしてその中には蒼に対して決して言ってはいけない禁句が含まれていた。


「今・・・貧乳と言ったな。」

ゴゴゴッと音が聞こえそうな圧が蒼から放たれると、得体の知れない恐怖を感じた番長の心身が萎縮する。

蒼が一歩踏み出すとスカートから白く長い足が現れる。

その足はとても艶めかしく普段の日常であれば性的興奮を起こさせるものだった。


「フー!フー!」

上がった口角の端から水蒸気のような息を漏らし全く笑顔に見えない表情と、白い足の歩みが番長の脳内で意味の分からないカウントダウンをはじめた。


(動け!動け!動け!動け!動け!)

萎縮した心身は命令を聞かず手足が充分に届く範囲の蒼を素通りさせる。

蒼は自分の領域に進むと足を止め、スカートの裾を手に持ちゆっくり上げはじめた。


「最後にイイもの見せてあげるよ、ゆっくり眠りな肉ダルマ。」

蒼の白い足が柳のようにしなり股間を蹴り上げる。

激痛にうずくまり捲れ上がったスカートの先に美しく整えられた繁みを見る。

それも一瞬のことで強烈な踵落としが脳天に直撃し意識を失った。


「はい一丁あがり。あとは・・・もういいか。」

周りでは残った不良達の無慈悲な粛清が行われていた。


「蒼!今日もノーパンか!気合入ってるな!」

「ノーパンは私のポリシーです。」

茜の突っ込みに返答すると伊達メガネをクイッと上げた。


茜に襲いかかった男は鋭い掌底を顎に入れられ脳を揺らされ膝まづく。

無防備の顔面に蹴りを入れられ鼻血を撒き散らしながら地面を転げまわり動かなくなった。


「きゃあ!今日の茜のパンツ、勝負パンツね!黒のレースが透けてるよ!素敵!」

隣で男のパンチを受け流した珊瑚が、不良の腕を取り地面に引き倒すと頭を思い切り踏み潰し沈黙させた。


夜花子はスカートの中から三節棍を取り出すと見事な演舞を見せ不良を圧倒する。

青ざめた不良は土下座をして許しを請うた。


「足を舐めなさい。」

三節棍構えたまま素足を男の前に差し出し、指の間まで舐めさせると被虐的な笑みを浮かべた。


「相変わらず敵の心をへし折るのに容赦ないわね!」

珊瑚は「引いたわ」と呟き引きつり笑いを浮かべた。


「きゃはは!痛いでちか?!でもねママの折檻はもっと痛いでち!」

マウントポジションで男をタコ殴りする桔梗の戦闘用グローブが血で染まっていた。


「ストップ!桔梗!よちよちイイ子だね、よちよち。」

夜花子が羽交い締めにして蒼が頭を撫で落ち着かせた。


「あたち、いい子でち?怒らないてちか?」

「いい子だよ、いい子いい子。」

光を失っていた桔梗の目に輝きが戻り無垢な笑顔を見せた。


「お前らバケモンか?」

最後に残った副番長が脂汗を流しながらぼやいた。


萌葱は全くの自然体で副番長と対峙する。

副番長は何度も踏み出そうとするが足が動かない。

動いたら最後「やられる」と確信していた。


「どうする?やめる?式に遅れたくないの。」

「くそっ!なめるなー!」

僅かに副番長の足が前に出る。

次の瞬間宙を舞う萌葱の回し蹴りが横面に吸い込まれる。


(あっ、純白の綿パンツ!)

意識を失うほんの数瞬前の景色を脳裏に焼き付けて副番長は地面に伏した。


「遅れるよ!ダッシュ!」

萌葱の号令で6人は体育館式場へ向けて駆けだした。


▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽


六花は皆団地の住人で同じような環境で育ち、幼いころから共に生きてきた幼馴染であり姉妹同然の仲である。

みんな貧乏な母子家庭で学校から帰るといつも一緒に同じ時を過ごした。

1日の食事は小学校の給食だけの日がほとんどで何時もお腹を空かしていた。

たまにおやつなどがあると皆で分け合って飢えを凌いだ。


家に帰るとすぐに公園に集まり日が暮れるまでおしゃべりをして過ごす。

彼女達は実の肉親よりも多い時間共に過ごし共に助け合った。


彼女達の母親は総じて社会不適合者であり母になれない女性である。

彼女達のほとんどが父親の顔を知らない。

父親の写った写真が1枚もない。

父親の話を聞くと申し合わせたかのように、「浮気したから捨てた」「ろくでなしだから捨てた」とどの母親も答えた。


しかし彼女達は知っている。

祖父、祖母、叔父、叔母から真実を聞いている。

不倫、DV、モラハラ、当時の幼い彼女達では分からなかった単語も小学生高学年になり言葉の意味を知った。


母親達にハラワタが煮えくり返る思いもあったが、この世でたった一人の母であり自分達の生命線でもある。

そう思い自分の思いに蓋をして今の境遇で生きることを我慢した。


▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽


中学3年生の夏休みが終わろうとしていた日、六花の運命を大きく変える出来事が起きた。


夏休み中は皆で近くの河川敷へ行き、鉄橋の日陰で涼を取りながら過ごすことが日課となっていて、皆で持ち寄った僅かなお菓子や食事を分け合い、日が沈む直前までおしゃべりをした。


釣りに来る中年・老人の男性と顔馴染みとなり、お菓子やおにぎりの差し入れも楽しみのひとつでもあった。


夏休みもあと2日を数える日、土手沿いに建ち並ぶ綺麗な一軒家を眺めながら「いつかあたしらもあんな家に住みたいね」と話しながらいつもの場所へ向かう。

気分を変えて早めに土手を降り、草が生い茂る中を探検気分で歩いていると同じ年齢くらいの男子13人と遭遇した。


男子は別の学区の中学生で団地の住人を見下している。

見慣れない六花を団地の住人と見抜き貧乏人とやじってきた。


六花は無視してその場を離れようとしたが、相手にされないことに腹を立て男子に周りを囲まれ小突き回される。

六花は日頃から乱暴された時に大きな悲鳴を上げて相手を萎縮させ、その隙に逃げ出すという打ち合わせを行っており今それを実行した。


想定通り男子が萎縮して動きが止まったところで一斉に逃げ出す。

成功したと思われたが桔梗が躓き転んだところを男子に掴まってしまう。

男子は桔梗に馬乗りになると胸や腹を殴打しはじめた。


桔梗の舌足らずの助けを求める声が男子の加虐性を目覚めさせ、叩くのみならず発育の良い胸を揉みはじめる。

草陰から見ていた六花は堪らず飛び出し男子に体当たりをするが、次々と押し倒され自由を奪われた。


性的に興奮した男子は2人掛かりで1人を襲い、押さえつけては殴り服を脱がそうとする。

激しく抵抗するが2人掛かりの男子に敵うわけもなく酷く殴られやがて抵抗をやめる。

全裸にされた六花は体中を乱暴にいじられたうえに写メを撮られた。


エスカレートした男子の言い放った「SEX」に六花はとてつもない恐怖を感じる。

既に保健体育の授業でSEXが何かを教わっている。

とうに初潮を迎えていた六花は妊娠可能な身体であった。


男子の勃起した性器を見て六花は泣きながら許しを乞うたが、弱った女の涙と泣き声が男子の加虐心を更に増長させた。


押さえつけられ逃げることのできない六花に下半身裸の男子が覆い被さる。

足を閉じ抵抗するが力づくで股の間に腰を入れられ性器が腹に当たる。

男子は挿入しようと入口を探すが六花は腰を動かし避け続けた。


幾度か入口に性器の先が当たるが乾いていることもあり挿入に至らない。

必死の攻防を続ける六花はとにかく声を出し続ける。

そうして六花の必死な抵抗と諦めない心が運命の扉を開いた。


▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽



「お前ら!止めんか!」

背の高さ程ある草を掻き分け現れた老人は雷のような声で一喝し、六花に覆い被さる男子の髪を掴んで振り飛ばす。

男子は突如現れた老人に酷く驚き、脱ぎ散らかした衣服を拾うとあっという間に逃げ出していった。


「ふん!図体はデカいがまだまだ子供だな。」

呆れた老人は六花に背を向け、早く服を着るように促す。

六花はふらつく足で目につく衣類をかき集めると、それぞれに仕分けして着替え終える。

その間老人は立ったまま周りの警戒をしていた。


「おじいさん、ありがとうございます。」

「ありがとうございます!」

萌葱の礼の後に皆が揃って礼を述べ頭を下げた。


「お主ら、警察に被害届を出すのか?」

「いいえ、私達の言うことなんて聞いて貰えません。」

「そうか泣き寝入りか。」

「・・・そうです。所詮低級国民ですから。」

「イヤな言葉を知っているのだな。」

「いつも言われているので。」

萌葱の言葉に老人は黙り込み悲しそうな顔をした。


「元気づけに面白いものを見せてやろう。」

老人は腰に吊り下げてある水の入ったペットボトルを見せると、10mほど離れた場所に置き戻ってきた。


「これは手品ではないぞ、人が持つ隠れた力のひとつだ。」

老人は背筋を伸ばし幾度か深呼吸をすると武術の型を構え気合の篭った声を上げた。


「ハッ!」

声と同時にペットボトルが破裂し水が飛び散る様子を見て驚きのあまり声を失う。


「ひ弱な肉体でも人を殺すことは容易いという見本だ。」

人を殺すという単語に六花の心臓が一際大きく鼓動した。


「おじいさん、私達でも今のやつできますか?」

私は何を言っているのだろうと萌葱は自分自身の発した言葉に驚いた。


「ああ、できるとも。気功は誰にでも扱えることができる。

気は誰にでも備わっている力だ、それを鍛えるだけだからな。」

老人は笑みを浮かべているが目は笑っていない。

真剣な眼差しは学ぶ気があるかを尋ねているかのようであった。


「教えてください!私は強くなりたい!もうあんな恐い目に会いたくない!」

萌葱は老人の前に駆け寄り深々と頭を下げ懇願した。


「よかろう、お主を我が弟子として認めよう。」

老人は目尻を下げて萌葱の形の良い頭を撫でた。


「爺ちゃん!オレも弟子にしてくれ!」

堪らず茜が走り寄り頭を下げると老人は萌葱同様に頭を撫でた。


残った4人は1人づつ老人の前で頭を下げては撫でてもらいを繰り返し全員が弟子入りを果たした。


六花の運命はこの日大きな岐路を経て平穏から激動へと分岐した。

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