少女の願い
「邪魔なんだよ、そっちにいきな」
いつもの怒鳴り声です、少女は外にでます。
母親は、いつもいらいら
父親は、いつも寝ているだけ
兄は、視界にはいるとなぐります
姉は、ぐちぐち嫌なことばかり口にします
素直な少女はいつも黙って逃げることにしました。
そんな姿を森の動物たちは哀れんで仲良く遊びます。
うさぎやたぬきさん、きつねやねこさん
みんな仲良しです、外で遊ぶのが本当に楽しいと感じています。
ある日、兄に殴られて目に大きなアザをつくりました。
悲しくて泣きたくてしかたありません、
そんな時に
少女は思い出します、なんでも願いをかなえる泉があると。
山の奥にある筈です
山を登り奥まで歩き虫だらけの川を渡り泉につきます
「泉の神様、目のあざが痛いです、痛みをなくしてください」
心からそう願うと
声が聞こえてきました
「虫を捧げよ」
まるで天の声のようです、さっそく虫を捕まえて、さてどうしたらいいのか
そうだ泉につければいい、泉の神様なのだから
冷たい泉に虫をつけると、もうなにかとても良い気分です
痛みもありません
「泉の神様ありがとう」
次の日、兄にもっとひどくぶたれました。
また悲しくてたまりません。
泉の神様に聞いてみると「大切なものを捧げよ」
大切なものはなんだろう
そうかいつも遊んでくれる、お友達は大切ね
少女は森の動物を連れて泉にいきました。
その日から兄は姿を見ません、どうしたのでしょうか?
そんな事を繰り返すと、いつのまにか家族は誰も居なくなりました。
もちろん遊んでくれる動物もいません。
でも、とても幸せです。
一人で遊んで何が悪いのでしょうか
私に痛みを与える者は居なくなればいい
最後に私は泉の神様に願いました
「私を幸せにしてください」
「その身を捧げよ」
そうです、私は今もこの泉に居ます。
誰か早くお願いしてください、かなえてさしあげます。