猫のお経
昔話風ですが、オチがエグイです
小坊主は猫を飼っていた
白黒ぶちのどこにでもいる猫
「なむなむほうれんげきょう」
小坊主は今日もお経を読む練習
猫は耳をピクピクさせながら聞いてる
和尚さんが小坊主を呼ぶ声がする
猫をひとなですると和尚さんの方へ向かう
朝になるとお経を聞いて
エサをもらって
眠る毎日
猫は、とても幸せだ
そんなある日、小坊主が首をつって死んでしまう
猫はいつもの通りにお堂にくるが
誰も居ない
さてどうしよう
猫は神妙に仏様の前に座ると
お経を唱えだした
「にゃむにゃむほうれんげきょう」
その声を聞いて
和尚さんはびっくりした
「この猫は小坊主のお経を覚えたのか」
猫を大事して、お経を唱えさせた
そうなると、村の人も猫を見に来る
賽銭も入る
ほくほくした和尚さんは、来た人に猫を見せた
評判になり、お殿様も見たいとお城に呼ばれる
「この猫が、小坊主のお経を覚えました」
和尚さんは答える
殿様は
「その小坊主は、どうしたのだ」
「なにかつらいことでもあったのか、自分でくびをくくりまして」
と濁す和尚さん
殿様は気の毒そうに
「それで、猫が供養をしているわけか」
と納得して、猫のお経を聞きたがる。
猫を座布団に座らせて、その前に小さな仏様の像を置くと
「にゃむにゃむほうれんげきょう」
みなが不思議がりながらも、感心している
和尚様は「獣でも仏様のありがたさがわかるのでしょう」
と平服しながら、内心では
ご褒美が楽しみ
猫は、お経を唱え終わると
「おしょうさま、おゆるしください」
といきなりしゃべる
「ごほうしの日だ」
「おゆるしください」
「ききわけがない奴だ」
子供の泣いているような声を出す猫
「しんでしまったか」
猫はそこまで話すと、手で顔をなでる
土気色の和尚様に侍は近づいた