スコッパーは作品紹介エッセイに挑戦したようです
拙作『掘る、そして読む 〜小説家になろうのオススメ作品紹介〜』のブクマが100に到達した記念。
なろうエッセイジャンル。その頂点に君臨する作品は何か?なろうエッセイ界隈に居を構えている人間なら、この質問に間違いなく答えられるだろう。なろう累計ランキング1位のタイトルを答えるより遥かに容易い。
読み専が紹介する『なろうお気に入り作品』
これがなろうのキングオブエッセイである。作者はひょろさんという古参の読み専の方だ。2017年4月からスタートし、更新頻度は当初と比べて落ちたとは言え未だに毎週投稿される様は、もはや狂気(褒めてる)。その結果、紹介した作品はこのエッセイを書いている2021年11月上旬の時点で約450作品にのぼる。
そして紹介される作品ひとつひとつが一定のクオリティに達しているにも関わらず、多くは総合ランキングに登場したことさえ無いのである。ゆえに、このエッセイは「ランキングに飽きた人々」から絶大な支持を得ている。
ひとたびエッセイを更新しようものなら、紹介された作品のブクマが24時間のうちに100以上増えるなんてこともザラである。当然総合ランキング入りなんて朝飯前だ。なんせエッセイのブクマ数は2万を超えているのだから。
私はスコッパーとして、なろうのイチオシ作品レビューに投稿したりSNSや外部サイトで作品を紹介する活動を2年ほど続けているので、なおさらその凄さを感じている。
普通一個人が無名の作品を紹介しても、せいぜいブクマが10〜20程度増えれば良い方だ。たまに運良くその分の上乗せが効いて、ジャンル別ランキングに進出したり、総合ランキングに進出するようなこともあるかもしれない。しかし結局のところ補助ロケットのような役割しか担えないというのが結論である。
つまり、推し作品をより強く推すために残された手段は、この「作品紹介エッセイ」しか無いのである。
そこで私は悩んだ末に、このキングオブエッセイを目指すことにした。
そうして生まれたのが拙作『掘る、そして読む 〜小説家になろうのオススメ作品紹介〜』である。
6月から連載を開始して、ようやく9作品紹介することができた。なかなかに亀の歩みだなと思う。ただブクマは最初の目標だった100をどうにか超えることができた。
また少ないながらも紹介した作品の感想欄に、エッセイから来た旨を報告しつつ作品を賞賛している様子を観測したので、手応えも感じている。
だが道は果てしなく遠い。なんせ目標のエッセイは約450も紹介している上に更新頻度も安定している。何よりブクマは当社比200倍である。
なので、今こうして書いているうちに「これ無理じゃね?」と思えてくる。だがそんな迷える子羊の頭の中で、ある政治家の言葉が思い浮かんだ。
「2位じゃダメなんですか?」
そこで作品紹介エッセイ分野ナンバー2を探すべく我々はアマゾンの奥地、ではなくここ30日以内に更新のあったエッセイのうち「紹介」というワードを含む条件で検索をかけてみた。
ここ【小説家になろう】で様々なTS作品の紹介とまとめ
これがおそらくナンバー2だ。ブクマは500後半。何よりタイトルから予想できるようにターゲット層がものすごくニッチだ。連載開始は今年の2月から。更新頻度は2-3日に1回という脅威のハイペース。というのもこのエッセイは、過去に読んできた作品を紹介するスタイルのため作品を探して読む期間というものが必要ないからだ。
思わず「こんな勢いのある作品紹介エッセイを見逃してたのか!?」と叫んでしまった。ついでに「エ、エッセイ書いてたら、いつのまにかスコップしてた、何を言ってるのかわからねーと思うが」と某ポルナレフ氏のような気分にもなった。
いっそ毒を喰らわば皿までということで、他のエッセイも調べることにする。
そうすると、ミステリ特化の作品紹介エッセイ『このなろうミステリーがすごい!と僕が思う作品』を発見(そう言えば以前ブクマしてた)。
某宝島社の企画本を彷彿とさせるタイトルにふさわしく、『小説家になろう』で発表された珠玉のミステリが沢山紹介されていて、特筆すべきは評価者は40人を超えながらも平均評価ポイント4.95を叩き出している点である。これだけでもどれだけ厳選されているか分かろうというものである。
更に最終更新の条件を緩めてみると、今回の私とほぼ同じコンセプトの『小説家になろう、おすすめ作品 【公式ランキングだけでは満足できない人向け!】』や『本当に面白い!小説家になろうおすすめ完結済作品【隠れた名作から人気作品まで】』といったエッセイもあり、これらをチェックすればスコッパーの間で口伝で伝えられる隠れた名作群はほぼ網羅できるんじゃないかと感じた。
その他、なろうのいわゆるレビュワーの方が、記録も兼ねて作品紹介エッセイを投稿しているケースもいくつかあった。その中で1番勢いがあるのは『暮伊豆のレビュー帳 〜くれいびゅーだいあもん道』だろう。すでに500作品以上紹介されていて、ひょろさんのエッセイの紹介数を凌駕している。
一方、このような素晴らしい作品紹介エッセイの調査を通じて課題も見えてきた。
それはエッセイジャンルの壁をぶち破り、他ジャンルの読者を広く囲えた成功例は1位のエッセイのみという点である。他はどれもブクマ3桁以下で足踏みをしているのだ。ちなみに4桁以上のなろう作品は全作品の1%と言われる。
つまり推し作品を強く推すための作品紹介エッセイ自体も、強く推す必要があるのだ。なんてこったい。
というわけで、もしこのエッセイで初めて「作品紹介エッセイ」を知った方は、手始めにここで名前が挙がってるエッセイを覗いてみてほしい。そして「これは良いものだ」と感じたのであれば、ブクマや評価で応援してもらえると幸いである。
そうして、いつの日か作品紹介エッセイが1つのジャンルとしてなろうの中でそれなりの地位を築けたなら、「なろうは今よりもっと楽しい場所になるのでは?」と思う次第である。
本文で紹介したエッセイのリンク集を画面下に設置しておきました!