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旅の終わり
周囲の海流が、目的地が近いことを告げる。渦へと、目的地へと、辿り着いたのだ。車麩との記憶は忌まわしいものではあったが、ちくわぶという呼び名はいまだに抵抗なく僕の中に居座っていた。僕が何者か、ひょっとして車麩に与えられた呼び名を持つものなのかとか、そういったことが知れるのではないか、そう思って来たこの場所で、彼らは渦巻いていた。
僕と同じ姿をしたタネたち。呼び掛けに答える様子はない。あの渦は、彼らの周泳によって発生しているものではないようだった。むしろ彼らはあの渦に弄ばれ、操られているように見えた。何故だろう、躊躇なく、僕は吶喊した。




