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翌朝、いつもの感触が、下半身にかすかに残っていた。
酷く馴染んだ異物感というか、ジェットコウスターを乗った時のような何度体験しても慣れない妙な感覚と、身体の奥までひっかきまわされたような甘いだるさ、覚えのないしかし酷く慣れ親しんだ快楽の残り香があった。
上半身を起こすと布団がめくれて、汗ばんでいた皮膚に部屋の空気がひんやり触れてくる。
やっぱり、裸のままだ。
「また、私が寝てる間にしたの。潤」
「うん、ごめん。」
横にいる彼は顔を枕に顔を半分うずめた胎児のような恰好のまま、自己嫌悪に浸りながら、一言そういった。まるで、哺乳瓶の中で窒息しかけている赤ん坊だ。
「んん、いいよ。おはよう」
左手が、まるで割れ物に触れるように私の頬に触れた。
「ああ、愛してるよ。ナオミ」
鈍い金色のような瞳に私を浮かべつつ、確かに私の頬を撫でて榊原くんは言葉巧みに眠りについた。
もうすこしだ。ああ、早く落ちてよ愛しい人。夜よりも昼の方が楽しいよ。そう思うと身体は自然と動いた。
夜空から月を奪ってやる。ゆっくりとじっくりと私なしでは生きていけないように。二度と離れることのできないように。
「あーあ、依存しているのはどっちなのかな」




