表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
月を堕とす人  作者: 歪瑞叶
4/4

E

 翌朝、いつもの感触が、下半身にかすかに残っていた。

酷く馴染んだ異物感というか、ジェットコウスターを乗った時のような何度体験しても慣れない妙な感覚と、身体の奥までひっかきまわされたような甘いだるさ、覚えのないしかし酷く慣れ親しんだ快楽の残り香があった。

 上半身を起こすと布団がめくれて、汗ばんでいた皮膚に部屋の空気がひんやり触れてくる。

やっぱり、裸のままだ。

「また、私が寝てる間にしたの。潤」

「うん、ごめん。」

横にいる彼は顔を枕に顔を半分うずめた胎児のような恰好のまま、自己嫌悪に浸りながら、一言そういった。まるで、哺乳瓶の中で窒息しかけている赤ん坊だ。

「んん、いいよ。おはよう」

左手が、まるで割れ物に触れるように私の頬に触れた。

「ああ、愛してるよ。ナオミ」

鈍い金色のような瞳に私を浮かべつつ、確かに私の頬を撫でて榊原くんは言葉巧みに眠りについた。

 もうすこしだ。ああ、早く落ちてよ愛しい人。夜よりも昼の方が楽しいよ。そう思うと身体は自然と動いた。

 夜空から月を奪ってやる。ゆっくりとじっくりと私なしでは生きていけないように。二度と離れることのできないように。

「あーあ、依存しているのはどっちなのかな」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ