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#87 配属

「君らか、あのヴォールパール自警団を名乗ったという命知らずは」


 傭兵部隊の隊舎の入口前に仁王立ちしている羊種(クヌムッ)の女性が居た。

 美人だけど鼻梁には目につく一文字の傷があり、全体的にがっしりと鍛えている。


「ヴォールパール自警団は名乗っちゃいないさ。そっちが勝手に勘違いしたんだろう?」


 メリアンが挑発的なことを言う。


「……ったく……あんたほどの実力なら名前を偽る必要もないだろうよ、噛み千切る壁」


 なんでバレてるんだ?


「私はこの第一傭兵大隊の万年副長プルマだ。戦術的には私に従ってもらうことになるし、部隊参加者の実績紋の情報を魔術師組合から教えてもらえる程度の権限は持っている。つーか、本物のメリアンか?」


 プルマはいきなり踏み込み、高めの右ハイキックをメリアンに放った……が、瞬きのあと、メリアンはプルマの左ローキックを右足の裏でガードしていた。

 最初のキックは囮で、二発目のローが本命?

 かろうじて見えはしたが、俺だったらあの動きについていけなかっただろう。

 メリアンといい、傭兵団といい、戦場に生きる人々のレベルの高さを改めて感じる。


「うはぁ!」


 突然、プルマの声のトーンが変わった。

 ローキックの足を戻し、今度は両手をワキワキさせている。


「アレを軽くいなすか。これがレーオ様の片腕と言われた本物の噛み千切る壁の実力か! な、なぁ、メリアンの筋肉、触って良いか?」


 明らかに鼻息が荒いプルマの背後に、いつの間にかファウンが立っている。

 動いている間だけ寿命の渦を消していたから、『魔力感知』的にはテレポーテーションしたようにも見えた。

 想像以上に実力のあるやつってことか……ということはますます油断できないじゃないか。


「なぁ、副長殿。まずは部屋ぁ、教えておくんなましよ」


「ほう。その動き、するとお前がルージャグ討伐でメリアンの補佐をしたって奴か?」


「いえいえ、ルージャグ討伐はそちらにおわします兄貴でさぁ!」


 ファウンが嬉しそうに俺を示す。


「なるほど。なるほど。それなりの実績を持っている者ばかりじゃないか。どうしてまたあんな真似を……おっと、部屋だったなぁ。ついてきな」


 プルマは、歩き出す。

 奥の方には同じような隊舎があと五つ並んでいる。


「この第一傭兵大隊は第一小隊から第六小隊まであってね。それぞれの小隊は、それぞれ六班に分かれている。班は六名で構成され、部屋も一緒だ。メリアンたちは第一小隊第五班だ。最近ちょうど四名欠員が出てね。ちなみに、大隊隊長に挑戦する権利があるのは、第一大隊第一小隊の各班長六名だけだ」


 一班六名で、一小隊は三十名……十進だと三十六名で、大隊は十進で二百十六名か。

 それがどのくらいの規模なのかわからないが、その隊長に挑戦する権利ってのは何だろう。

 戦術的にはプルマ副長に従えと言っていたから、純粋にチャンピオン的な何かなのだろうか。


「そうそう。名前はどうすんだ? ラビツとかロブストとか名乗るのは自由だが、もし変えるんなら班に参加する前にしてくれよ、メリアン?」


「なんだい。そんなメリアンって呼びたいのかい。それならあたしはメリアンでいいよ」


 プルマ副長はなんだか嬉しそうだ。

 二つ名を持つような傭兵だと、固定ファンが居るんだな。


「さて。ここが君らが所属する第一小隊の隊舎だ」


 六つある隊舎の、門から一番遠いのが第一小隊用か。

 入り口の扉を開けると真正面に伸びる廊下。

 廊下には左右に扉が三つずつ。


「突き当りは便所になっている。ここでは男女は別れていないが、揉め事が起きても決着は強い方が正しい。これは覚えておけ」


 傭兵部隊ってそういうものなの?

 メリアンとラビツたちからの直前傭兵研修は主に実践的な技術ばかりで情報的なものは全くなかったな。

 軍隊とか傭兵とか、そもそもそういう事前の知識がないので、とりあえずはここのルールを覚えていくしかない。


 プルマ副長が立ち止まったのは、通路左側の一番奥の扉。

 トイレが近いせいか、ここでもけっこう臭う。


「第一小隊第五班、入るぞ!」


 プルマ副長が扉を開けると、中では白い頭の二人が立って待っていた。


「よっ。俺はパリオロムだ。よろしくな」


 一人は、猫種(バステトッ)の先祖返り。

 毛並みは真っ白くてスノドロッフ村の人々を思い出すが、目は赤くない。

 まさかこの人もアルバスで、契約したレムールで赤目を隠していたり?


「ボクはオストレア」


 「牡蠣(オストレア)」と名乗るってことは偽名なのかな。

 見た目は鳥種(ホルスッ)の先祖返り……メンフクロウ顔……なんだけど、何か引っかかる。

 この感じ、どこかで……。


「あたしはメリアンだ。よろしく」


「あっしはファウンでやす」


「俺はリテル。よろしく」


「僕はマドハトです!」


 偽名可ということで一瞬、トシテルと名乗りそうになったが、ルブルムとレムにしか教えていない名前を晒すのもアレかなと踏みとどまった。


「メリアンたちは入団試験を受けてないから、明日はその実力を見せてもらう。明日の夜明けごろに大きな鐘の音が鳴る。そしたら準備をして隊舎前に集合だ。集合時には班員六名揃っていること」


 俺とマドハトだけ「はい!」で、他の皆は「了解!」で答える。


「食料は各自配給されたものを工夫して食べるように。週に一度は小隊単位で顔を合わせて食堂で食事するが、それ以外は部屋でな……ということで、メリアン、マドハト、君ら分の食料を配るから取りに来てくれ」


「了解!」


 今度はマドハトも了解と答える。

 うんうん。マドハトがちゃんと考えて行動している。

 あのマドハトが。なんだか嬉しい。




「なぁ、あんたらヴォールパール自警団を名乗ったって本当か?」


 三人が出ていった所で、パリオロムが話しかけてきた。

 やっぱり気になるのはそこか。


「いや、俺は後から知ったんだよ。名前書いたのはメリアンだったからな」


 と答えるように、言われていた。


「え、でも、メリアンで牛種(モレクッ)の半返りであの筋肉と迫力って……名乗るんなら、噛み千切る壁じゃないのか?」


「メリアンは本物だよ」


 それも言っていいことになっている。


「本当かよ! なんだい、噛み千切る壁の一流らしい冗談かい。それならそれで面白いな。しかもそのメリアンが仲間だなんて、いいねぇ。そしたら一班、二班も夢じゃないな」


「隊長だけじゃなく班にも入れ替わりがあるのか?」


 メリアンから敬語っぽい表現は使わないようにとも言われている。

 戦場ではまだるっこしいやりとりをしている間に戦局が動く。なるべく手短に、簡潔に、と。


「ああ、新入りには説明しておかないとな。戦場に出ていないときは毎月頭に模擬戦が行われる。ほら、明日ちょうど火の月、月昼週の一日だろ。そこで各班の班長同士が模擬戦で戦い、入れ替わりが発生する。五班と六班が便所近くの部屋だ。さっき聞いた通り、飯は部屋で食うことが多いし、臭くて眠れないときもある。日々を快適に過ごすには模擬戦はけっこう重要なんだ」


「今の班長は、パリオロムとオストレアのどっちだい?」


「うーん。それはまあ……」


 パリオロムが苦笑する。

 すると、オストレアが俺に近づいてきた。


「前の班長を含む四人は、ボクを襲おうとしたから返り討ちにした。あいつらの棒を削ぎ落としてやったら、寿命提出して辞めていったよ」


 ボクとは言っているが、その体はめちゃくちゃスタイルがいい女性そのもの……顔はメンフクロウだけど。

 いや差別心とかじゃなく、より紳士でいられるというか……それに、やっぱりそういう連中が居るのか。

 レムやルブルムが傭兵にならなくて良かったなってホッとする。


「あはは。あんた、リテルだっけ、すごいねぇ。今の表情、怯えるどころか余裕を見せただろ?」


「そうでやすよ。リテルの兄貴はあっしの自慢の兄貴でさぁ!」


「いやだからファウン、俺のこと兄貴って呼ぶのはやめてくれって」


「あはは。いいなぁ、リテル。子分までいるのか。じゃあ、打ち解けたってことで二つ名を教えてくれるかい?」


 パリオロム、けっこうぐいぐい来る……が、真っ白い猫な顔に近づかれるのは思ったよりも悪くない。

 俺をじっと見つめる瞳は黒いけど、レムールで偽装しているのかな。

 『精霊探知』を使えばわかるだろうけど、さすがに魔法を使ったらバレるよね?


(チガウ)


 ポーが俺に伝えてきた。

 そうか。レムールじゃないのか……となると、あの目は本物で、アルバスではないってことか。


「なぁなぁ、もったいぶらずにさぁ、リテルぅ」


「二つ名持ちはメリアンだけだ」


「そうなのかい? 実力ありそうに見えるけどねぇ。ま、そのへんはおいおい……で、リテルは装備見ると、弓と斧? 狩人っぽい感じだね」


「兄貴を外見で判断しちゃいけませんや。なんせ兄貴はあのルージャグを」


「ルージャグってあのルージャグかい?」


 静観していたオストレアが話に加わってきた。


「あっしの得物(えもの)は短剣で、ルージャグ相手には逃げるしかなかったんですがね、兄貴の弓は貫いたんでやすよ……もっともあっしはそこで意識を失って、そこから先は見ていないんですがね」


 カウダの麻痺毒は、体の自由はすぐに奪うが、意識が遠のくまでにはちょっと時間があったっけ。

 まあそのおかげで俺が毒を撃たれたときは『カウダの毒消し』を自分にかけることができたんだけど。


「ルージャグの硬い皮膚を貫く弓術か……それはすごいな」


 オストレアが普通に感心してくれる。

 この人、悪い人じゃない気がする。

 ただ、あんまり俺への期待が高まるのもアレだし、実績紋への登録した内容の通り、最終的にはメリアンやマドハトと協力して倒したのだと説明……しているところに、その二人、メリアンとマドハトが戻ってきた。


 マドハトが少し元気がない。


「マドハト、どうしたんだ?」


「リテル様、臭いがすごいです。『うんちが鼻につく』をかけられたみたいです」


「明日、入れ替え戦で一班から四班のどこかに勝てば、便所から離れた部屋に替われるみたいだよ」


 あえてスルーしたが、語感からして『うんちが鼻につく』はゴブリン魔法っぽいな。

 しかし、オストレアは見逃してくれなかった。


「かけられた、ってことは、魔術師との戦闘経験もあるってことか?」


「あるよ」


 メリアンが答える。


「それはありがたい。一班と二班には魔術師が居てね、団体戦になるといつも苦戦するんだ」


「団体戦になるとってぇこたぁ、個人戦になる場合もあるってことでやす?」


「あるある。大抵は班長同士の一騎打ちになるけどね。そういや、うちの班長はどうする? 噛み千切る壁が引き受けてくれたりするのかい?」


 パリオロムが期待に満ちた目でメリアンを見つめる。


「この臭いの中で飯を食わずに済むってんなら、班長とやらをやってもいいぜ」


 臭いか……ロープとかで円を描いて『森の平穏』を使えば、臭いはそこを通り抜けては来ないけど、この部屋みたいにすでに臭いがこもっている場合はダメだろうな。

 それに、今はまだ、魔法を使えることは秘密にしておいた方が良いかもだし。


「臭いがきつかったら、訓練場に逃げるって手もあるぜ」


 パリオロムが苦笑いを浮かべる。


「リテル、マドハト、戦場で敵をぶった切るとな、腸もその中身も辺りにぶちまけるんだ。この程度の臭いには慣れていた方がいい」


 メリアンがそう言うものだから、俺もマドハトもその臭いの中で食事を取った。

 贅沢に燻製肉が挟んであるパンと、リンゴ。

 あえて鼻をつままずに食べたが……これは……なんとしても勝ち上がりたいという気持ちが強まるな。


「弓の腕前、見せてもらいたいが、可能か?」


 食事が終わりかけた頃、オストレアが突然、俺に話しかけてきた。

 これは同じ班員として受けておいた方がいいのか?


「あっしも見たいでやす!」


「僕も見たいです!」


 ということで食後、なぜか全員で訓練場へと向かうことになった。




 訓練場とはいっても、利照(おれ)が通っていた高校のグラウンドぐらいの広さの草原が一つ、その横にはそれよりもう少し広そうなこんもりとした森。

 既にとっぷりと暮れているので、森の方は真っ暗だ。

 空にかかる月はまだ薄い三日月。小さい方の月に至ってはまだほぼ新月と変わらない。

 草原も、向こう側に白い壁が建ってなかったら、その建物の屋上に、かがり火のようなものが焚かれてなかったら、その広さもよくわからなかったかもしれない。


「あの建物が大食堂だ。そして、草原のあちこちに立て札が立っているのは見えるか?」


 目を凝らしてみると、確かに幾つかそれっぽいのは見える。


「あれ、狙えるか?」


 オストレアが指したのは、ここから十アブスほどの距離にある立て札。

 生物ならば寿命の渦で明るいんだけどな……でもまあ、このくらいの暗さでも、リテルの腕なら……。


「多分」


 弓に矢を一本つがえて引き絞る。

 何度も復習した成功イメージを体に思い出させ……あとはリテルが日々鍛えてきた努力を信じて……放つ。


 矢が弧を描いて……立て札に、刺さった。

 マドハトとファウンが競うように大きな音で拍手してくれる。


「すごいね。矢を取ってきてあげる……ボクは射らないでくれよ」


「いやいや、自分で取りに行くよ」


 先に草原へと踏み入ったオストレアを追いかけて、すぐに立ち止まる。


「ねぇ、オストレア。もしかして、この草原、罠とかけっこう仕掛けられている?」


 訓練場ってことは、何らかの障害が設置されていてもおかしくはない。

 生物的なものならば『魔力感知』で発見できるけど、機械的な罠とかだとちょっとわからない。


「へぇ。愚かじゃなくて安心したよ。ボクのあとをついてきて」


 俺に続こうとしていたマドハトに待つよう伝えてから、オストレアのあとを追う。

 その道すがら、草原の中に寿命の渦が少ない場所がちらほらと見える……アレはなんだろう。

 本物の草じゃない……としたら、落とし穴?


「『魔力感知』か『気配感知』かどちらかわからないけど、ちゃんとよく見ているね」


 オストレアが小さな声で語りかけてくる。

 パリオロムには聞かれたくないのか?

 ちょっとカマをかけてみようかな。


「こういう手段を取ったということは、何か、他の人に聞かれたくない話があるのか?」


 俺も小さな声で。


「話が早くて助かるよ。さすが、レムールを宿しているだけのことはある」


 オストレアはポーが見えているのか?

 いや、それよりも会ったときに感じた引っかかり……今の一言で思い出した。


「オストレアは、見えているんだね」


「まぁ、ちょっとね」


 オストレアのこの感じ……多分、ただの鳥種(ホルスッ)じゃない。

 この旅の間ずっと鍛えてきた今の『魔力感知』ならば解る。

 彼女はおそらく魔術特異症……何か混ざっている感じがする。

 その混ざっている何かを、俺は前にも感じたことがある。


● 主な登場者


有主(アリス) 利照(トシテル)/リテル

 利照として日本で生き、十五歳の誕生日に熱が出て意識を失うまでの記憶を、同様に十五歳の誕生日に熱を出して寝込んでいたリテルとして取り戻す。ただ、この世界は十二進数なのでリテルの年齢は十七歳ということになる。

 リテルの記憶は意識を集中させれば思い出すことができる。利照はこれを「記憶の端末」と呼んでいる。

 ケティとの初体験チャンスに戸惑っているときに、呪詛にて不能となったが、ようやく解放された。

 その呪詛を作ったカエルレウムに弟子入りした。魔術特異症。猿種(マンッ)

 レムールの「ポー」と契約。伸ばしたポーの中においても、自分の体の一部のように魔法代償を集中したり魔法を使えることがわかった。


・カエルレウム師匠

 寄らずの森に二百年ほど住んでいる、青い長髪の魔女。猿種(マンッ)

 肉体の成長を止めているため、見た目は若い美人。家では無防備な格好をしている。

 寄らずの森のゴブリンが増えすぎないよう、繁殖を制限する呪詛をかけた張本人。

 ディナ先輩、ルブルム、リテルの魔法の師匠。ストウ村の住人からは単に「魔女様」と呼ばれることも。

 自分の興味のないことに対しては、例え国王の誘いであっても断る。


・ルブルム

 寄らずの森の魔女カエルレウムの弟子。赤髪の美少女。リテルと同い年くらい。猿種(マンッ)のホムンクルス。

 カエルレウムの弟子を、リテルのことも含め「家族」だと考えていたが、とうとうリテルとキスをした。

 質問好きで、知的好奇心旺盛。リテルと一緒に旅に出るまでは無防備だった。

 利照へ好意を持っていることを自覚し始めている。レムとも仲が良くなった。


・マドハト

 赤ん坊のときに『取り替え子』の被害に遭い、ゴブリン魔術師として育った。

 今は犬種(コボルトッ)の先祖返りとしての体を取り戻したが、その体はあんまり丈夫ではない。コーギー顔。

 ゴブリンの時に瀕死状態だった自分を助けてくれたリテルに懐き、ずっとついてきている。

 クッサンドラを救うためにエクシとクッサンドラの中身を『取り替え子』で入れ替えた。

 明るい性格。楽しいことばかり追い求めるゴブリン的思考だったが、利照と一緒にものを考えるようになった。


・ディナ先輩

 フォーリーに住むカエルレウムの弟子にしてルブルムの先輩。

 男全般に対する嫌悪が凄まじいが、リテルのことは弟弟子と認めてくれた。ゴーレム作成の魔法品をくれた。

 アールヴと猿種(マンッ)のハーフ。ウォーリント王国のモトレージ白爵(レウコン・クラティア)領にて壮絶な過去を持つ。

 フォーリー以北への旅について、大量の忠告をしてくれた。


・メリアン

 ディナ先輩が手配した護衛。リテルたちを鍛える依頼も同時に受けている。

 ものすごい筋肉と、角と副乳を持つ牛種(モレクッ)の半返りの頼もしい傭兵。二つ名は「噛み千切る壁」。

 円盾と小剣(ごつい)を二つずつ持ち、手にはスパイク付きのプレートナックルを装備。

 騎馬戦も上手く、『戦技』や『気配感知』を使う。一ヶ月後だったラビツとの結婚はさらに二ヶ月延期になった。


・ラビツ

 ゴブリン魔術師によって変異してしまったカエルレウムの呪詛をストウ村の人々に伝染させた。

 ケティの唇をリテルのファーストキスよりも前に奪ったことについて謝罪した。おっぱい大好き。

 高名な傭兵集団「ヴォールパール自警団」という傭兵集団に属している。ようやくリテルたちと会えた。


・ロブスト

 「ヴォールパール自警団」に属する赤毛の猫種(バステトッ)先祖返り。二つ名は「流水」。


・レム

 バータフラ・レムペー。クラースト村のバータフラ世代の五番目の子。

 魔法に長けた爬虫種(セベクッ)の少女。リテルより若いが胸はかなり育っている様子。髪型はツインテール。

 その母親は利照同様に異世界イギリスから来た。

 名無し森砦の兵としてルブルム一行の護衛として同行。洞察力があり、頭の回転も早い。

 利照のことをお兄ちゃんと呼び、慕っている。ルブルムやマドハト同様に頼れる仲間だが、とうとうリテルとキスをした。


・ケティ

 リテルの幼馴染で想い人。一歳年上の女子。猿種(マンッ)

 旅の傭兵ラビツに唇を奪われ呪詛に伝染し、それを更にリテルへと伝染させた。

 カエルレウムが呪詛解除のために村人へ協力要請した際、志願し、リテル達がフォーリーを発つ時、メリアンと共に合流した。

 盗賊団に襲われた際は死にかけたり、毒で意識不明になったり。

 足手まといを自覚し、ストウ村へ先に戻った。


・ファウン

 アイシスの街で意気投合した山羊種(パーンッ)三人組と一緒に居た山羊種(パーンッ)

 ルージャグに襲われて逃げてきたクーラ村の子供たちを、彼なりに助けようとはしていたと申告。

 リテルを兄貴と呼び、ギルフォドまで追いかけてきた。偽ヴォールパール自警団作戦に参加


・プルマ

 第一傭兵大隊の万年副長。鼻梁に目につく一文字の傷がある羊種(クヌムッ)の女性。

 筋肉が大好きっぽく、メリアンに会えたことに興奮していた。


・パリオロム

 第一傭兵大隊第一小隊第五班の先輩。猫種(バステトッ)の先祖返り。

 毛並みは真っ白いがアルバスではなく瞳が黒い。気さく。


・オストレア

 第一傭兵大隊第一小隊第五班の先輩。鳥種(ホルスッ)の先祖返り。真っ白いメンフクロウ顔。

 前班長を含む四人に襲われかけたが返り討ちにし、そいつらの棒を削ぎ落とした。

 なぜかリテルに興味を持ったようだ。


・ナイトさん

 元の世界では喜多山(キタヤマ)馬吉(ウマキチ)。元の世界では親の工場で働いていた日本人。

 四十五歳の誕生日にこちらへ転生してきた。馬種(エポナッ)。元はニュナム領兵の隊長をしていた。

 今は発明家兼ナイト商会のトップ。ヒモパンやガーターベルトやコンドームの発売もしており、リテルを商会に誘ってくれた。

 サスペンションなど便利機能がついた馬車「ショゴウキ」(略してショゴちゃん)を提供してくれた。


・レムルース

 地界(クリープタ)に存在する種族。肉体を持たず、こちらの世界では『契約』されていないと長くは留まれない。

 『虫の牙』の呪詛のベースにされていた他、スノドロッフ村の人達が赤目を隠すために『契約』している。

 レムルースは複数形で、単体はレムールと呼ぶ。

 ディナ先輩の体からリテルの腕へと移ったレムールは、リテルと契約し「ポー」という名を与えられた。


・ルージャグ

 元々は地界(クリープタ)の種族。こちらの世界(ホルトゥス)に稀に出現するが、その危険性ゆえ、すぐに討伐される。

 ぼろきれをまとったむさ苦しい女の姿だが、獣種の三倍ほどの体長を持ち、村の防壁を壊すこともある。

 湖をねぐらにし、手当たり次第に人を捕らえて殺す。



この世界(ホルトゥス)の単位


・ディエス

 魔法を使うために消費する魔法代償(寿命)の最小単位。

 魔術師が集中する一ディエスは一日分の寿命に相当するが、魔法代償を集中する訓練を積まない素人は一ディエス分を集中するのに何年分もの寿命を費やしてしまう恐れがある。


・ホーラ

 一日を二十四に区切った時間の単位(十二進数的には「二十に区切って」いる)。

 元の世界のほぼ一時間に相当する。


・ディヴ

 一時間(ホーラ)の十二分の一となる時間の単位(十二進数的には「十に区切って」いる)。

 元の世界のほぼ五分に相当する。


・クビトゥム

 長さの単位。

 本文中に説明はなかったが、元の世界における五十センチくらいに相当する。

 トシテルが元の世界の長さに脳内変換しないでもいいくらい、リテルが日常的に使っていた単位。


・アブス

 長さの単位。

 元の世界における三メートルくらいに相当する。


・プロクル

 長さの単位

 一プロクル=百アブス。

 この世界は十二進数のため、実際は(3m×12×12=)432mほど。


・通貨

 銅貨(エクス)銀貨(スアー)金貨(ミールム)大金貨(プリームム)

 十銅貨(エクス)(十二進数なので十二枚)=一銀貨(スアー)

 十銀貨(スアー)(十二進数なので十二枚)=一金貨(ミールム)

 十金貨(ミールム)(十二進数なので十二枚)=一大金貨(プリームム)


・暦

 一年は、十ヶ月(十二進数なので十二ヶ月)+「神の日々」という五~六日間。

 それぞれの月は、母の月、子の月、大地の月、風の月、水の月、海の月、光の月、空の月、星の月、火の月、父の月、闇の月と呼ばれる。

 各月は、月の始めの十日(十二進数なので十二日)間は「月昼」週。次の六日間は「月黄昏」週、最後の十日(十二進数なので十二日)間が「月夜」週。トータルは十二進数で三十日間。

 毎月の、月黄昏週の一日が満月で、月夜週の九日が新月。月は二つあるが、大きい月の周期が基本で、小さい月の周期は二日ほど遅れている。夜が明けるまでは日付は変わらない。

 第八十七話終了時点では星の月夜週の十日(十進だと十二日)の夜。


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