1話 騙されて地獄へ
人は生まれたとき神からひとつだけスキルをもらう。
火を出すとか水を出すとか電気を出すとか。
モラタがもらったのは「算盤」のスキルだった。
モラタ「スキルを使うと見たものの隣にステータス画面が出るんだ」
数字がたくさん並んでいるけどぜんぜん意味がわからない。
何の役にも立たない外れスキルだった。
モラタ「そのせいで勉強もスポーツも苦手だった。正社員にもなれなかった」
ベリア「まあカワイソウだわ!」
モラタとベリアはオッペケギルドで4年前から働いている。
どちらも派遣社員だった。そろそろ5年だから切られると見ている。
マッシュ「おい!雑談している場合か!手が止まってるぞ!」
課長のマッシュに叱られた。
モラタは言い返した。
モラタ「そろそろ無期契約に転換の時期だからクビじゃないかって言ってたんです」
マッシュ「ハハハ!我が社はそんな4年11ヶ月で契約を切るようなことはしない!」
ベリア「ほ、ほんとうですか!」
マッシュ「当然だ。最近は人材確保も大変なんだ、むしろ社員登用したいぐらいだ」
やったぜ。モラタは喜んで仕事をはじめた。
マッシュ「契約打ち切りはしないぜ。人生は打ち切られるかもしれんがな・・・くくく」
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翌日モラタはオッペケギルド南西支部の前線二部三課長ケビンに呼び出された。
ケビン「これからモンスター討伐に向かう。君にも手伝ってほしい」
モラタ「僕は戦闘なんてやったことないです」
派遣先の部署ではギルド外へ送る資料の封筒詰めとデータ入力作業しかしていなかった。
ケビン「大丈夫だ、安全だしマニュアルもある。それにこれは社員登用試験でもある」
モラタ「と、登用試験・・・!?」
ギルドの大半は戦闘要員で構成されている。
戦えるかどうか資質を見るということだ。
ケビン「やる気があるならこの鎧を着て指定された場所に行くんだ」
モラタ「やります!」
重い鎧を着て走っていったモラタの後ろ姿をケビンは見送った。
ケビン「派遣だから労災は降りるんだよな確か」
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モラタは鎧を着て地図に書かれたポイントに行った。
そこには誰もいなかった。
モラタ「とりあえずここで待っていればいいんだよな」
すると突然空間に黒い穴があいた。
地獄と繋がる大きな穴だった。
モラタ「うわあああぁぁぁ!!!」
黒龍「うまそうな飯みっけ」
そこは地獄の黒龍が餌を探しに現世へやってくる時のワープ地点だった。
そしてモラタの来た鎧には黒龍の好きな餌のにおいがついていた。
兵士A「よし!囮につられて黒龍が出てきたぞ!」
兵士B「しかし、派遣切りすると叩かれるからって期間満了前に囮にするってどうなんだよ」
兵士C「死亡事故起こす方がよっぽど叩かれるだろjk」
兵士たちが弓と銃とロケットランチャーを構えた。
モラタはあわてて逃げようとした。
モラタ「う、撃つな!うわすべったうわああぁぁ!!」
黒龍「どこいくねーん」
地獄へ繋がる穴に落ちてしまった。




