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「全部……」
「あの日、ここでなにがあったのか。どうして僕が死んでしまったのか。全てね」
あの日、千石が俺に声をかけ、俺は小久保を呼び出して三人でキャンプ場に来ていた。
そして千石が小久保を断崖まで連れて行き、崖っぷちへと押しやった。
そして二人で嫌がる小久保を小突いていたのだが、たまたま二人同時に小久保を強めに押してしまったために、バランスを崩した小久保は崖下へと転落してしまったのだ。
千石が警察に連絡した。
そして警察が来る前に、千石が俺に言った。
「口ぐらを合わせろ。やつは勝手に落ちたんだ」
二人の証言を、警察は少しも疑わなかった。
その結果俺たちにはなんのおとがめもなく、そのまま平穏な大学生活を続けてきた。
しかし今、小久保はその全てを思い出したのだ。
「おっ、俺がわるかった。だから、もう、やめてくれ!」
俺は崖っぷちに立った。
そしてそのまま崖下に身を投げ出した。
崖下の岩が顔前に迫ったとき、俺は小久保の笑い声を聞いた。
終




