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24 モサモサのガウガウがパタパタ

 三畳紀から時間を進め、星はジュラ紀に相当する時代になっていた。

 二酸化炭素濃度は私が生きた時代の数倍から十倍程度あり、温室効果による温暖な気候が続く。

 しかし時代が進むにつれて繁栄した植物によって酸素濃度があがっていき、反対に二酸化炭素濃度は減っていくことでまた気温は下がっていくだろう。

 被子植物も誕生しているが、まだまだ種類が少ない。


 本来なら大型の恐竜が繁栄しているはずだったが、巨鎧種騒動で受けた影響は大きくてルナと色々と調整はしてみたが、大型恐竜の繁栄は諦めざるを得なかった。

 かなり頑張ればできなくはないのだが結局は滅びてしまう恐竜にそこまでする必要性がなく、一部の恐竜から進化するはずだった生き物への影響だけは最小限になるようにと注力したのだ。


「おっ、見つけた、見つけた」

「……シアさま……何見つけたの……?」

「おかえり、ラヴィー」

「……ん」

 

 ワイドビジョンと化した覗き窓から地上の様子を見ていた私の後ろから、ソファー越しにラヴィーが顔を出した。

 ちょうど外から帰ってきたようだ。

 ソファの背もたれに腕を組んで顎を乗せているラヴィーの頭を優しく撫でながら、先程見つけたものを指差す。


「さっき見つけたのはあれだよ」

「……モサモサの……ちっちゃいガウガウが……パタパタしてる……?」

「あれは恐竜から進化した『鳥』っていう空を飛ぶ生き物よ」


 私が指差した先には二足歩行の小型恐竜から進化したとされる『始祖鳥』の姿があった。

 鱗を羽毛へと変化させて少しづつ飛行に適した形へと進化した始祖鳥は、現代に息づく鳥たちの直接の先祖といわれてる。

 ルナと一緒に力を入れて調整した成果もあり無事に誕生させることができたようだ。

 

「とり…………シアさま……とり……かわいいね」


 にっこりと笑いかけるラヴィーの笑顔に心が癒やされる。

 ラヴィーたんマジ天使。

 ルナが言うにはラヴィーは眷属から昇格した神の使徒という扱いになるらしい。

 うん、やっぱり天使だね。


「そんなラヴィーにプレゼントだよ」


 手元に意識を集中させ『星の願いを』を発動させる。

 淡い水色の光の残滓から、デフォルメされたラヴィーと始祖鳥のぬいぐるみが顕れる。


「わぁ……シアさま、ありがとう……とっても……とっても大事にする……」


 ラヴィーは驚きで目を見開いた後、受け取ったぬいぐるみをぎゅーっと抱きしめニコニコしている。


「喜んでくれて嬉しいわ。気に入った動物がいたらまた出してあげるからね」

「シアさま……大好き……」

「うふふ、ありがとうラヴィー」


「あーーー! シア様ばっかりずるいですよぉ!」


 駄メイドと化してきたルナの叫び声が聞こえたが、気にしない気にしない。





 始祖鳥を眺めながら他の生態系も観察したが問題はなさそうだ。

 またルナに解説してもらいながら次の時代へと進めよう。


「ルナ、次の時代もよろしくね」

「わかりました。ジュラ紀の次は白亜紀になります。白亜紀になると原始的な裸子植物やシダ植物から進化した被子植物がより繁栄してきます。被子植物が今までの植物と大きく違う点は花を咲かせて果実を付けることですね」


 ワイドビジョンな覗き窓に映る草原には、花々が咲き乱れ今までで一番美しく華やかな景色が広がっていた。 


「受粉の際に花粉を運ぶ昆虫類が大きな役割を果たし、植物と昆虫は共に進化していくことになります」

「ん……虫たちも……蜜が吸えて喜んでる……」

「あっ! あの木に生ってるの果物じゃない? んぉーーー! いでよ! あの果物!」


 見つけたのは黄色いりんごのような、小ぶりだが瑞々しい果実だ。

 いままで見つけたものは木の実ばかりで、果物と呼べるようなものはこれが初めなのだ。

 うん、これは生成せざるを得ない!


「いただきまーす……うっ! すっぱい……んー見た目は美味しそうなんだけどなー」

「まだ熟してなかったか、もともとそういう品種かもしれませんね」

「……私も……味見……」

「あ! ラヴィー! 酸っぱいわよ?」

「……あんまり甘くないけど……ピリピリ……こういうのも好き……」

「シア様! ラヴィーちゃんのおやつを用意するのは私の役目ですよ!」

「いやいや……そこで張り合わなくてもいいから……そうだ! 果物はまだでも花の蜜は生成できるじゃない! ルナ! 新しいお菓子期待してるわよ」

「……! お任せください!」


 そう言うとルナは足早に隣の部屋にあるキッチンへ向かってしまう。

 ああは言ったがおそらく私のためじゃなくてラヴィーのためだろう。

 ほんとルナはラヴィーに甘々なんだから!

 というかまだ時代解説の途中だったんだけど……

 仕方がない、しばらく白亜紀の陸上を眺めて待っていよう。


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