表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/44

15 中生代?

「恐竜! 今って大気安定してるはずよね? 今度は分身体を出しても大丈夫よね?」

「シア様……そんなに興奮してどうしたんですか?」

「だって恐竜よ! 古生物学者だけでなく人類が夢想してやまないあの恐竜よ!? 生で見たいに決まってるじゃない!」

「シア様が想像してるような恐竜はまだ誕生しておりませんよ。中生代は古い順に三畳紀、ジュラ紀、白亜紀と分けられますが恐竜の大型化は三畳紀後期になってからですから」

「えーそうなの?」

「この三畳紀前記の恐竜はまだトラぐらいの大きさですね。最古の哺乳類もこの頃に登場したと言われています」


 星の景色を直接窓で写してみると、頭は大型の肉食恐竜なのに体はカバぐらいの大きさと見た目の微妙な生き物が映っていた。

 頭に対して体が貧弱な気がするんですけど……

 他にもコモドオオトカゲを二回り大きくして更に凶悪なフォルムにしたようなものまで居るが、有名なティラノサウルスやブラキオサウルスのようなものは見当たらない。

 んー確かに恐竜! って感じのはまだいないわねぇ……

 でもなんか他の時代に比べて生き物が少ない気がするんだけど気のせいかしら?


「まぁもう少し時代が進めば大きくなるし種類も多くなるんでしょ? 次いってみよー」


 時代が進み三畳紀前記から後期へと時が経過していく。

 

「さぁいざ大迫力のジェラシックを……あれ……? 恐竜大繁栄のジュラシックはどこに……? 小さいのしかいないんだけどー!」


 ジェラシックというのは正確には三畳紀の次に来るジュラ紀のことなのだが、そんなことより今は地上の異常な光景が問題だった。

 恐竜たちは数を増やして大型化するどころか少しずつ小さくなり数も減っていった。

 全く居ないわけではないが明らかに地球の歴史とは違う様相だ。


 草原には数種類の恐竜がいたが、二メートルほどで二足歩行の細身の恐竜が森の方へと近づいた瞬間、巨大な影が襲いかかった。


「おっ! なんだぁー大きいのも居るじゃない。そっか森に隠れてたから見えてなかったのね」

「いえ……シア様いま出てきた個体をよく見てください」

「ん? ……えっ! あれなに!?」 


 そいつは全長一〇メートル、高さは五メートルはあろうかという大きさと、黒く光る外骨格、ガブト虫をモチーフにしながらも邪神を思わせる刺々しく禍々しいフォルムの『虫』だった。

 今仕留めたばかりの獲物の肉を鋭い牙で噛み切り、強靭な顎でガリガリと骨ごと食べていく。

 その一方的な捕食をきっかけに、森から二メートルほどの虫が何十匹と飛び出してくる。

 『星の願いを』の補正により昆虫は丸いフォルムになっているはずだが、今現れた虫の集団は刺々しく攻撃的なフォルムへと変貌していた。

 その形態は様々で、鋭い鎌を備えたものから巨大な顎を持つもの、やたら足が長いものや空を飛ぶものまで多岐にわたる。

 近くにいた小型恐竜の群れがあっという間に虫の大群に飲み込まれ、いくつもの悲痛な断末魔が上っていた。

 

「シア様……また何かやらかしたんですか?」

「失礼ね! 何もしてない……わよ? ……してないはずよね……?」

「はっきり『ない』と言い切れないところがシア様らしいです」

「う、うるさいわね! それよりあんな生き物がいたんじゃ恐竜どころか哺乳類まで絶滅しちゃうわよ!」

「えぇ。ですが突然現れたことや、地球とは違う進化など気になることがかなりあります。しばらく観察して生態と原因について調査しましょう」

「えぇぇぇ! あれを観察するの!? すぐ駆除したほうが良いんじゃないの?」

「幸いまだ数は多くないようですし、きちんと原因を究明して対策を打たないとまたこんな事になりかねませんよ」


 次の獲物を探すためか、はたまた新たな巣でも作るのか、カブトを先頭に虫の群れが砂煙をあげて移動していく。

 

「……それもそうね。あーあの丸っこいフォルムだったら可愛かったんだけどなー」


 地上すべての昆虫が巨大化したわけでなく通常サイズの昆虫も生息している。

 そちらは私の能力の影響でまるっこくてかわいいフォルムのままだ。


「それでは私は星の生物の進化録を精査してますので、シア様はあの虫たちの生態を調べておいてください」

「えっ私一人でやるの!? んーでもまぁ情報処理はルナが適任だし、私も頑張るしかないわね」


 『星の願いを』を使えるようになったルナは、この星のあらゆる出来事をデータベース化している。

 この間まで普通の人間だった私に扱えるような量ではないのだが、ルナは『まるちたすく』とかいう能力でぱぱっと処理してしまう。 

 流石に常時監視するには情報が多すぎるので、こういった時に記録庫から必要な部分を取り出して調査しているらしい。

 記録庫といってもこの部屋に図書室みたいなのがあるわけでなく、擬似的なアカシックレコードを『星の願いを』で創り出し、そこに星の出来事を蓄積させているらしい。

 うむ! 私にはさっぱりだ! ルナに任せておこう!

 それより私には『むしむし観察日記』をつけるという重大任務があるのだ!

 

 それにしても大変なことになったわね……

 これじゃ中生代じゃなくて、虫生代だわ……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ