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依頼の結果は?

 土属性の魔法の探知を行い、襲撃者が居ないか探すが今のところは誰もいない。

 この少女・・・いやマリーは好奇心が旺盛なようだ。好奇心が旺盛なことはいいことだ。魔法使いの基本としてはそれが重要になってくる。何で火は燃えるの?そんな単純なことから新しいことが見つかるし、魔法への応用も可能となる。だが、まだこの世界の魔法使いの中ではそのことを嫌う者が多い。そんなもの当たり前だと切り捨てるのだ。そう言った者に対して魔法の扱いが下手なのだが・・・まあ、好奇心があった方が退屈せずに覚えさせれるだろう。


「セルド~、貴方も立ってないで休みなさいよ!」


「大丈夫だ、これでも鍛えているからな」


「そう言う問題じゃないの!私が言ってるんだから休みなさい!」


「はいはい、じゃあ椅子に座らせて貰うか」


「そうよ!ちゃんと座るのよ!それとはいは一回!」


「はい」


 中々にマリーは厳しいようだ。これは・・・母親になった日には旦那を尻に敷きそうだな。


 心の中で笑うが、顔には出さない。出したら、何に笑ってるのと怒られそうだから出さない。


「マリーの母親はどうしたんだ?見たところ居ないようだが・・・」


「お母さんはね、私の小さい頃に亡くなちゃったの・・・」


「すまん・・・」


「大丈夫よ!!お父さんがねその分私を大事にしてくれるからね!」


 その言葉に少し目元に涙が出てきた。自分の親はどうなっているのか?そんな感情が湧いてくる。それは現在の身体の物と、元の自分の魂がそうさせてきた。だが、考えても考えても出てくるのは悲しい結果しか思いつかない。自分はどうすればいいのか分からなくなってくる。


「セルド!セルドってば!」


 身体を揺られることで現実に戻される。自分を現実に戻したマリーを見ると心配しているような顔でこちらを覗いていた。


「ごめんね、大人の人が泣いたときに私はどうすればいいのか分からないの。お父さんも時々泣くけど、その時も分からないの」


「大丈夫だ。そうだな・・・お父さんが泣いてたときには抱きしめたらいい。そうしたら安心するさ」


「分かったわ!じゃあセルドにもして上げるね!」


「俺はいいよ」


「だーめ!私の言うことは絶対!絶対にするんだから!」


「あー、はいはい。ではお願いしますよ」


「いい子ね!」


 俺の方が大人なのにな。心の中で呟くが、その最中に突然、その無い胸に抱きしめられた。頭を撫でられはじめ、心の中でロリコンじゃないを連発するのだった。頭を撫でられるのが終わったのはそれから直ぐ後だった。家に誰かが近づいてきたのだ。それが分かったときに意識を正常に戻す。


「だれか来たから、ちょっと止めてくれ」


「え~。ま、いっか」


「すまんな」


「大丈夫よ!」


 何に対してのすまんななのだろうかと、自分に対して心の中で思うが今は近づいてきている者の方が大事なので直ぐに忘れることにした。意識は近づく者に向ける。魔法の意識を上げることでより詳細に事が伝わってくる。いつもは疲れるために曖昧にしているが、本気にしたときは細かいところまで分かる。例えば、地属性の場合は地面から伝わる歩く速度で男か女か伝わってくる。他には身体の大きさ、重さなどが伝わってくるため大体の予想は付く。今回分かった事は近づいてきている相手が女性だということだ。体格は普通・・・いや少し大きいくらいだ。重さが片方に寄っていることからナイフを持っているかもしれない。軽いことだから、装備は皮系もしくは、あり得ないだろうがミスリルだろう。そのことに聞いてみる。


「皮系の装備でナイフを右側に持った女性は知っているか?」


「皮装備でナイフで女性?わかんない」


「そうか有り難う」


 それだけ言って襲撃者に備える。まず最初に呪文の詠唱を始める。安全第一で進めるために、マリーに防御魔法を掛ける。攻撃をされた時の為に、魔装の転換を行い石の防壁を纏わせる。防壁と言っても、見えない不可視の壁が出来る感じだ。これは魔装スキルを持っていないとできない。無い状態で行えば、ただ石の壁を出すことしかできない。石の防壁を掛けることでナイフで刺されたぐらいでは死ななくなった。もし、アーツで攻撃されたりされたら壊されてしまうだろうが、吹き矢での不意に攻撃されたときには効かないだろう。


「凄い早口!これが魔法なのね!」


「ああ、だが今回の魔法はちょっと特殊だ。今回この魔法にはスキルを用いてる。その御陰で不可視の石の壁が出来てる」


「へーすごーい」


 そう口に出している間にも、手を動かして魔方陣を描いている。魔方陣は火の回復。もしも、逃げ出すときに走るときになったら、少しでも遠くの場所に逃げれるようにだ。出来るだけ起きて欲しくない未来を想像しながら、準備が終わるまで後少し。最後に家にあったナイフをマリーに持たせて終わる。

 そして、準備が完全に終わった。


「もしもの時は逃げろ。羽の休み処という宿屋に行けば匿って貰えるだろう。もしもの時はそっちに行け」


「わかった」


 本気の顔となった俺に、マリーは少し怯えながらそう応えた。頭を撫でてやり、もしもの時だからなと少し笑いながら言うとマリーは安心したような顔をするようになった。


「さて、素人と殺し屋か!ずいぶんと差があるな!」


 怯えることなど微塵も無いが、心配させないために、自分を動かす活動力にするためにそう言う。近づく主はその声に気付くが依然と、近づく歩みを止めない。

 こうして、冒険者と暗殺者の戦いが始まろうとしていた。

魔物を狩るプロと人を殺めるプロの戦いが開幕しようとしていた。観戦する者はマリーという小さな少女一人だけという小さな、小さな戦いがここに開幕した。




「あんたがゼクウの護衛かいな。ずいぶんと柔いもんが護衛しとんなあ」


 目の前の襲撃者は口を開き言い放つ。皮で出来た装備を身に纏っている。右手方向にはナイフを身につけており、歩き方は普通ではない。足音が殆ど聞こえないに近しい。顔は仮面により分からないが体格から判断できる限りでは女性だ。


「悪かったな、柔そうで。でも柔そうな俺に負けたら面白そうだな」


 挑発だということが分かるがこちらも挑発のためにそう返す。相手は怒ることなどせずに少しふふふと笑い攻撃を仕掛けてくる。こちらも片手剣を手に持ちその攻撃を防ぐ。


「思ったよりわあ、力はあるようなのねえ」


「そうかい」


 向かってくるナイフをいなしながら攻撃を加えようとする。だがその攻撃も相手はいなしてくる。

攻撃は平衡状態。攻撃は受けないが、与える事も出来ない。


「中々の使い手のようねえ、魔装さあん?」


 どうやら相手は俺のことを知っているらしい。知らない間に随分と知られるようになったようだ。これは俺も顔を隠さないと闇ギルドで生きていられないかもな。


「知っているなら殺しやすいってか?」


「そうねえ、そうなるかしらあ」


 剣とナイフが交差しあい火花が散る。それと同時に金属同士が金切り声を発する。片手剣のため大きいことによる不利が生じているが、魔装の御陰でその不利は今のところは不利となっていない。だが、もし魔装が切れたら・・・そんな嫌な考えが思いつくが、頭から振り払う。

 勝つイメージをしろ。

 勝つことに集中しろ。

 死ぬその時まで勝つイメージをしろ。

 自分に暗示を掛けるようにそう言っていく。心の中に言葉が浮かんできた・・・いや囁かれたのだ。

俺を忘れてんじゃねえという怒り声が聞こえてくる。その瞬間に闘装というフレーズが頭を駆け巡った。


「持久戦に弱いと思ったか?」


 魔装の上に闘装を重ね掛ける。

 魔装と闘装を混ぜ合わせるように、一体化するようにイメージしながら扱い始める。その瞬間世界の声、もしくは世界からの恩恵と言い表される言葉が聞こえる。


『スキル解放。スキル<魔闘装>を授けます』


 その言葉が聞こえると同時に、歪な融合が完全な融合となった。その授けられたスキルが決め手となり、戦いは有利な方向へと進む。


 平行を辿っていた戦いが、襲撃者だけが攻撃を受ける物へと変わっていた。焦る声が聞こえるが、構わず戦いを行う。襲撃者の血は地面を少しずつ赤く染めていく。鉄の香りが辺りを覆っていくが戦いは終わらない。

女性の息づかいはどんどんと浅く、気分の悪そうになっていく。そして・・・戦いは決着した。出血死という勝ち方をして。喜びなど無い。ただ、手に嫌な感触を残しただけだった。殺した者の顔を確認するが綺麗な顔立ちなだけで見たことがなかった。誰だか分からないが、手を合わせて祈るのを軽く済ませ、少女の元へ向かう。水魔法を使い血を洗い流すことは忘れずに行っておく。


「マリー、大丈夫だ。安心してもいいぞ」


「本当?」


「だが、まだ外には出ないでいてくれ。いや、絶対に出るな」


「わかった」


 青い顔をしている。見られていたのかもしれない。嫌われてしまったのだろう。人を殺したのだから仕方がない。


 外に出ると誰かがいた。魔法を薄くだが使っていたのに気付かなかったため、警戒を強め相手を見る。


「無事に護衛が終わったようだね」


 ニヘヘと笑いながら目の前の人物はそう言う。声からギルドの受付の男だと分かるが、念の為顔を出すように言う。


「警戒してるのはいいぞ。ほらこの顔だ」


 仮面をしていた顔が露わになる。その顔は受付の男だった。警戒を解かずに何をしているんだ聞いてみる。


「今日はね君が依頼失敗したときの保険。成功したら遺体運びだな」


「お願いしていいのか?」


「ああいいさ。じゃあ少女のお守りお願いな」


 そう言った後、遺体を布でくるんでいき薬品を撒いていった。その薬品が広がっていくと先程までの鉄の匂いは無くなっていた。


「よろしく」


 そう言うとへいへいとふざけて返事をして去っていった。こうして初めての依頼は安全に終わったのだった

まあ、その後のギルドで受付で少女に新手が来たらどうするんだと、散々言われて落ち込む事になるのだが依頼は達成した。


 だが、少女は父親が帰ってくるまで話すことなどなく、無言で一緒に居るだけだった。

 今回4000文字近い。

作者頑張ったな(遠い目)

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