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考察と復讐

大変長らくお待たせしました、更新再開です。

 魔法を教えた後、日が傾き始めて夜になった。

 明かりなどは、油なんて使わず魔法を使う。こうすることで魔力が上がるし、世界への働きかけが少しでも上手くなる。


「やっぱり、見間違いではないか」


 一人、魔法の光で照らされた部屋でそう呟く。他の皆はもう寝床に付いているし、今俺がいる場所は宿屋に居るため、部屋に入って来さえしなければ聞かれることもない。

 だが、もしもの事があるかもしれないため、自分の周りを少し風魔法で覆う。


「魔力量も、技術も、属性も全てが前よりも上がっている。死んで生き返ったのが死の淵から生き返ったなら魔力量が上がるのは理解できる。だが、これだけは違う。属性が上がるなんて鍛錬以外では無理なんだよ」


 頭の中でどうしてそうなったかを考える。この世界に来てから変わったこと、いや、元々俺自体が異物という視点で物事を考える事にする。


「それだとしたら、やっぱり無限転生が理由と考えた方が早い。いや、それ以外しか考えられない」


 一つの事しか頭に浮かばないことに自笑しながら、ただただ考えていく。


「漢字では無限転生、ルビはソウルイーター。魂を喰らい乗っ取るが近い。くそ、解析スキルが欲しくなる」


 無い物ねだりをするが、スキルなどそう簡単に入らない。


「それに、ステータスもだ。明らかに前までとは魔法の扱いが違っている。つまり、何年か前に見たステータス通りから変わって、いやそれなら奴隷として働いていたときにレベルが上がってたはずだ、それで変わっていたなんて分からないはずだ」


 頭を掻きながら悩む。確かな答えなど分からないが、喉に魚の骨が突き刺さったような曖昧な事が無性に抑えきれず、考える。

 転生してから間もない。だが、その間もない中に理解できる物があるはずだ。


「転生前と確認出来る物は・・・ない」


 転生前と比べる物が無いため、その方向での考える事を止める。


「じゃあ、曖昧だけどまとめとくか」


 これ以上頭を悩ませても浮かばないため、分かった事だけ、というより、転生してこうなったと思う部分を記しておく。


「魔力の増加と、属性の増加、後はスキルが増えるか」


 たった三つ。この世界に来てから日が浅いが、自身のスキルの事など全く分からない事よりは進歩していた。


「魔物に憑依することができるなら、憑依してみたい」


 もし、魔物の身体に入ることが出来れば。それはもしもだ、もしも入ることが出来れば、竜だけが操る事が出来る竜魔法や精霊の行使、更には漆黒之模倣者(ドッペルゲンガー)になれれば、スキルを手に入れられなくても、一時的に行使できる。

 魔王と呼ばれる存在に入れたとしたら、大罪スキルという世界の禁忌に触れることもできるし、魔帝と呼ばれる魔法の上を行く存在に入り込めれば・・・


「魔王なんて、ゲームの世界とじゃ違うんだよな」


 そうだ。魔王が悪の親玉なんて考えは全く違う。ゲームとは違うんだ、ゲームとは。

 魔物を従え、魔獣を従え統治する者、それが魔王。

 魔王の管轄にいる生き物は魔王の命令をしっかりと聞き、こちらが危害を加えない限りは襲っても来ない。だが、魔王の管轄から離れれば牙を剥く。


「神聖国なんて、名前を騙っただけの国が魔王は悪だなんて言ってはいるが、実際に見てきたから違うと断言できる」


 魔王領へ行く事なんて簡単だった。子供の時に村長に手を引かれて連れてかれただけだったが。

 そこで見た景色は見たことも無いような世界だった。魔物の上位者である魔人が歩いて居たり、地竜が馬車を引いていたりなど、男心がくすぐられるような物ばかりだった。

 誰も差別などしないし、魔物を扱っても奴隷のようには扱わないし、人の世とは違って目に見えて黒い物が見えなかった。


「こんな事を神聖国に聞かれたらめんどくさいことになるんだったよな」


 村を出る前に、掟を聞かされた事を思い出す。

 ありふれたような物だったが、神聖国にこのことを聞かれるなと耳にたこができるくらい聞かされた。


「あ、たまに顔を見せろとも言われたな。魔法を教え終わったら顔を見せに行くか」


 復讐が頭の中を不意によぎる。


「毎日毎日、復讐の事なんて考えてたら心が疲れる。それに、毎日考えてたら次第に薄れていくんだ。だから、その日が来るまでは溜めておくか」


 身体の中にある魂へ向かってそう言う。

 すると、復讐の気配はなりを潜め、黒き思いだけが溜まるのだった。


「やっぱり、ここはただ死なせるんじゃ復讐なんて言えないからな」


 この領を統べる領主へ、その領主を作りだしたこの国へ、復讐の炎を絶やすことの無いようにする。


「おっと」


 頭での炎のイメージが強すぎたのか、それとも怒りから漏れ出た魔力が思念を読み取ったのか、目の前に青黒い炎が現れる。

 それは魂の様に力強く燃え、その炎を見るとより一層復讐への誓いを強固にするのだった。

 評価して頂き本当に有り難うございます。

 リアルが忙しかったため更新が遅れました。用事がそろそろ一段落しそうなので、それに向けての更新です。

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