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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

女神

作者: 文章作成部

かつてその地には一柱の女神がいたという。

誰からも認識されず、誰ともかかわることもなかった。

女神は孤独だった。

そんな孤独な女神は人間の少年と出会った。

少年は女神を認識することができた。

少年は女神に、その日あったこと、道端で見た珍しい花のこと、友人と遊んだこと、親に叱られたことを毎日のように語り続けた。

今までに誰ともかかわりを持ったことのなかった女神は、そんな少年のことを本人も気づかない内に特別に思ってしまった。

数年後、女神は、既に青年となった少年に近々結婚すると告白された。

その告白で女神はようやく自分が少年に恋をしていたことに気が付いた。

そして同時に言い表しようのない嫉妬に駆られた。

式当日、女神から青年宛に二通の手紙と荷物が届けられた。

荷物の中には腐らないように干された肉が入っていた。

一通目の手紙には祝いの言葉や思い出話とともにこう書かれていた。

『私からのせめてもの祝いの品です。どうぞ食べてください。それと、もう一通の手紙は式の後に読んでください』

青年は手紙をしまうと、女神から贈られた干し肉を花嫁と一切れずつ口に入れた。

その肉は不思議な味がした。

式が終わると、花嫁は急に体調を崩して倒れた。

数日後花嫁は他界した。

突然の花嫁の死に不信を持った青年は原因があの肉にあるのではないかという結論に至った。

青年は式の最中には読むことのできなかったもう一通の手紙を引き出しから引っ張り出して目を通した。

『私にはあなたが私以外の女と幸せになる未来なんて見ていられません。ですから私は消えることにしました。ですが、もしもその肉を食べてくれたのならば私はあなたの血となり肉となり、あなたを構成する細胞となって永遠に側にいることでしょう。なぜならその肉は私の身体だったのですから………。追記:決して花嫁の方には食べさせないでください。もしも食べてしまったのなら、私の妬みや恨みが呪いとなって彼女の命を奪うでしょう』

これは一柱の女神の結末。

愛する者の側にいるために自らの肉を捧げ愛する者の幸せを奪った、愚かで哀しい女神の結末。

その後少年がどうなったかって?

さぁ、どうなってしまったのだろうね?

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