なんか最近戦いすぎじゃないですかね?
次話あげてましたので差し替えます
すいません
咆哮とともに繰り出された鋭く尖った爪による攻撃を私は妖刀を斜めに構えることで受け止めます。
刃と爪が接触した部分に小さな火花が舞い、それが私の顔に当たって微妙に熱いです。
「おお⁉︎」
火花だけではなく、爪による攻撃はその体格差を生かした攻撃でもあるらしく私の体が宙に軽く浮き上がり衝撃で数歩分後ろに飛ばされました。
力だけならかなりのものですね。受けるのは得策ではなさそうです。
「どうだ! ケルベロスは! Aランクパーティでも手を焼くような魔物だ! 貧弱なお前に倒せるかぁぁぁぁ⁉︎」
再び刀を構えた私に道化師が得意げに言ってきます。
いや、別にあなたの力ではないんですがね。
しかし、この攻撃は厄介ですね。
次々と放たれる爪による攻撃を躱しながら考えます。
爪は躱せます。ですが爪を振り抜いたあとに生じる風、これがかなりの厄介者です。
生じた風は私の体の動きを若干阻害し、次の動作を鈍らしてきます。
そのため、エルフの服には傷がありませんがその上に着ているコートに少しずつ傷が増えていっていました。
「さらに問題があるんですがね」
こちらから攻撃を仕掛けるべく、繰り出させれた攻撃を躱し、無防備な腹に向かい刃を一閃します。
途端、耳障りな声を上げながら無茶苦茶に爪を振り回してくるのでたまらず爪の間合いから下がります。
そして斬り込んだケルベロスの腹の傷具合を観察しているとゆっくりとですが確実に治癒し始めていました。
「攻撃してもすぐに再生されるのでは意味がないですね」
先ほどからちまちま躱した隙に斬り込んでいましたがどうも動きが鈍らないから多少危険覚悟で斬りつけてみたんですがやはり再生してましたか。
ただ、再生速度はそこまで高くはないようですが。身体強化の魔法を纏えば力押しでいけそうなんですが、柔らかい部分が少ないんですよね。
「ならば、顔を叩き切ります」
再度爪が迫ってきたのを跳躍し、躱すと振り切ったケルベロスの前足に着地。適当に腕を切り刻みながら顔の方へと駆け上がります。
『GYAAAAAAA!』
切り刻まれたのが痛いのかケルベロスの口から悲鳴のようなものが上がります。そしてすでに駆け上がった私は容赦なく三本ある顔のうちの一つを切り落とすべく刀を振り上げます。
私が刃を振り下ろすと同時にケルベロスの口腔内から赤色が零れ、当たる寸前には私の眼前に炎の壁が一瞬にして生成。私の体を炎が包み込み、熱さというか痛みが生じますがとりあえず刃を振り切ります。
炎ごとケルベロスのクビを一本叩き切り、返り血を浴びます。さらには顔を斬られたことで炎が止まったので安心、というわけにはいかず左右のご健在の首が私を咬み殺すべく牙を向きます。
「てりゃ!」
刃を振り切った姿勢からさらに体を捻じりケルベロスの顔に向け蹴りを叩き込みます。当然こんなものは効かないでしょうが蹴りの反動で私は後ろに下がり、宙へと舞います。
煙を上げながら床に着々した私を畳み掛けるかのようにケルベロスが猛攻。全く休ましてくれません。爪を刀で捌きながら片方の手を魔法のカバンに突っ込むとポーションを取り出し一気にあおります。
途端にヒリヒリとしていた皮膚の痛みが消え、しっかりと腕が動くのを確認すると身体強化魔法を全開にしながら両手で妖刀をにぎります。
「ふんぬぅ!」
さらに妖刀にも魔力を流し込むことで切れ味を強化し、性懲りも無く私に向かい振るわれる爪に向かい、今度は捌くのではなくこちらから一歩踏み込み斬りつけるべく振るいます。
爪と接触した瞬間、わずかな抵抗を感じましたが無視、魔法にものを言わせて無理やり振り抜きます。
抵抗は一瞬だけですぐに瓦解。ケルベロスの足の一本を切断し、少なくない血が床に溢れ轟音と悲鳴をあげながらケルベロスは倒れました。
『おおおおおお!』
周囲で見ている観客から声が上がりますが私はさきに身体強化魔法に注いでいる魔力を減らします。正直、私の魔力総量は大したことがないので全開にすると長くはもたないんですよね。
「で、まだやりますか? でぶ」
倒れたケルベロスの後ろで先ほどまでわめいていた道化師のほうに視線をやります。
「ひっ⁉︎」
あらら、完全に怯えてますね。
まぁ、仕方ありませんかね。頼みの綱だったケルベロスは首と前足を斬られてかなりの血を流して戦闘不能。魔物がどれくらいの血を流したら死ぬのかわかりませんがおそらくは致命傷のはずです。
「まだだぁ! まだケルベロスはやられてなぞぉ!」
「はぁ」
見苦しいですが確かにケルベロスはまだ殺る気満々なんですよね。めんどうなことこの上ないです。見ると傷口塞がってますし。
全開にして戦うとしんどいですしねぇ。
「仕方ありません。ポチ、たまにはお前の全開を使いましょう」
手にしている妖刀に話しかけると少し嬉しそうに妖刀が震えます。暴れたがりですねぇ。
妖刀の切っ先をケルベロスに向け私は告げます
「這いつくばらせろ、魔ノ華」
宣言した瞬間、私の背中から四対の黒い羽根のようなものが飛び出したのでした。
ミスがこたえた