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エルフさんが通ります  作者: るーるー
出会い編
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ベアクマベアクマ! うるさいんですよ!

 迫る銀鉄の輝きを手綱を手放しくーちゃんに渡します、自由に鳴った手で腰の妖刀を引き抜き閃かせることによって回避。

 これ以上カトラスに乗って戦うことが不利と感じた私はすぐにカトラスから飛び降り、分厚い雪原を転がり、地に足をつけ妖刀を構えます。かじかんだ手で矢を摘まむことはできなくて武器を掴み、握りしめるくらいはできますからね。


「くーちゃん、カトラスを任せましたよ」

『まぁぁぁかぁぁぁせぇぇきゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!』


 頼もしそうなセリフでしたが手綱が絡まった状態で途中から悲鳴に変わっていましたがとてつもなく不安です。

 ブーツベアも逃げる獲物よりも観念したかのように飛び降りた私を囲み始めています。


「ベア? ベアベアベア」

「クマクマクマ、クーマ?」


 一応私が喋っているわけではありません。

 どうやらブーツベアの話し声のようです。

 適当に副音声でもつけてみましょう。


ベア(ちょ)ベアベーアベアベーア(そのアクセ新作)?」

クマ(おう)クマクマクーマクマ(一番の売れ筋だぜ)

ベーア(まじか)ベーアベーアベア(俺も欲しかったぜ)


 うん。こんなほのぼのの会話のはずです!


「べぁぁ!」

『ベアクマぁぁ!』


 ……どうやら違ったようです。めちゃくちゃ獲物を狙う目をしてきてますし。

 先程のはどうやら号令だったらしくブーツベア達は一斉に私を中心に囲んだまま一定方向に向かい走り出します。もちろん二足走法のすぷりんたー走りで。

 もともと白い毛並みのブーツベア。雪煙が私を中心とした円で巻き起こり、一気に視界を奪いかつ、雪煙に隠れやがりました。

 耳を頼りにしようともブーツベアの足音で全くわかりませんし。


「さて、どうしたものぐぇうたぁ⁉︎」


 思案をしている最中にお腹に衝撃。一瞬だけ見えたのは銀の塊。名前の通りブーツで蹴ってきました。

 吹き飛ばされることはなかったですがかなり痛かったです。エルフの服じゃなければ死んでいましたね。

 膝を着き、お腹をさすりながらも思考を走らせ続けます。

 どうやら私を中心に雪煙を発生させ、視覚、聴覚を奪った上で確実に狩る。これがブーツベアの群れによる狩り(ハント)パターンのようですね。

 魔物の癖に小賢しいことこの上ないですね。

 考えている間にもブーツベアは蹴りをこちらに放ってくるのでその度に妖刀で切り払いますが斬った感触が全くしません。

 困ったものです。感覚が潰される戦いと言うのはこんなにも不便なものだったとは。

 案はあるんですけどね。


「仕方ありません。クマ鍋は泣く泣く諦めましょう」


 最悪消し飛びますし。


「べぁぁぁぁぁ!」

「ぐばぁ!」


 またもわけのわからない雄叫びを上げながらブーツベアが繰り出してきた蹴りを背中にうけ私は美少女が上げるべきでない悲鳴を上げ、頭から雪の中に突っ込まされます。


「くーまくまくまくまくま!」


 あー、これはあれですね。バカにされてますね。

 雪から頭を出し、上に乗っかる雪を払い落としながら立ち上がり今だに高速で動き続ける魔物を睨みつけます。


「くーまくまくまくまくま!」

「ベーアベーアベアベアベア!」


 イラつきますね。

 そして、


「クマベクマベア! うるさいんですよ!」


 私がイラつき叫びながら妖刀を振るうと私のイラつきを喜ぶかのように妖刀が魔力を解放。視界を妨げてい雪煙を吹き飛ばし、高速で動き続けるブーツベアを視認します。

 突如として晴れた雪煙にブーツベアが驚いたのか一時的に動きが止まりました。

 その隙を見逃してあげるほど私は優しくありませんし、それにこいつら何回も私を蹴り上げましたからね。

 容赦などする必要は皆無、魔力を妖刀に流し込み、一気に距離をつめ、殺意全開の刃をブーツベアに向かい繰り出します。

 しかし、ブーツベアはそれに気づいたのか自慢のブーツで迎撃、しようとしましたが妖刀は容赦無くブーツごと足を切断。切り飛ばした足はクルクルとコマのように回転しながら明後日の方向に飛んで行きました。


「べ、ベア?べ……」


 切り飛ばされた足を目で追いかけながら困惑した声を出すブーツベアの脳天に向かい妖刀を突き刺しトドメをさしておきます。


「クマぁぁぁぁぁぁぁ!」

「だから!」


 雄叫びを上げる別のブーツベアの懐に踏み込み、


「うるさいと!」


 分厚い胸板を軽々と削り切り、


「言っているんです!」


 トドメと言わんばかりに顎下から脳天に向かい妖刀を突き刺し、生暖かい血を一身に浴びながら命を奪い取ります。


「はい、二体目って逃がすかぁぁぁ!」


 浴びた血を拭っている間に逃走をしようとしていたブーツベアに向かい全力に近い魔力を込めれるだけ込めて妖刀を放り投げます。なにげに妖刀が抗議のごとく振動してきましたが当然無視です。

 当たり前のごとく放たれた妖刀はブーツベアの体に上手いこと突き刺さることはなく逃亡を図ったブーツベアの足元を抉り。

 爆破。

 轟音が山を響かせ、そう表現するしかない位の惨状を一瞬にして作り上げた。


「おーうまくいきましたね」


 魔力を込めた妖刀は地面に突き刺さると共に魔力を爆発させ逃げようとしていた付近のブーツベアを三体を跡形もなく消し飛ばした。

 これで始末したのは五体。

 他のブーツベアに視線を向けるとジリジリと後退していきます。

 すでに興味がなくなりつつある私がブーツベアから視線を外すと慌てたように逃げていきました。


「思ったよりも原型が残っているので今日はクマ鍋です」


 妖刀のほうに歩み寄りながらちゃんと形の残っているブーツベアの死骸を見て私は涎を飲み込みます。

 肉大好きー

クマがなに喋ってるか気になる


魔王さまは自由が欲しいは二日おきに更新予定です

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