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エルフさんが通ります  作者: るーるー
出会い編
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いざ、北へ

『リリカのネーミングセンスにはぜつぼうした』

「どこがですか?」


 私の腰に下がる漆黒の鞘に収まる妖刀を睨みつけながらくーちゃんがブツブツと言ってきます。


『べつにー』


 いや、やたらと不機嫌そうな声を出しながら言われましてもね。

 くーちゃんを追いかけながら私は腰の鞘を軽く撫でその重みを感じると笑みを浮かべます。

 ルーンの店を後にした私達は来たの国ドラクマへ行くための準備を整えるべく商店に向かいます。

 フレディゴの連中が潰したのは悪徳な商店ばかりだったので残るのは優良店ばかりのはずです。


「さぁ! らっしゃいらっしゃい!」


 目先の店では元気なおっちゃんが手を叩きながら客寄せを行っています。

 うん、活気のある店が残っていて嬉しいですね。


『なに買うの?』

「食料に水、弓矢、ドラクマまでの地図、あとは毛皮ですかね」


 ドラクマへ近づくに連れ寒くなるらしいですからね。エルフの服は防御力は高くても暑さや寒さには耐えれませんから暖かな服を買っておかないといけません。


「あとはカイナの薬と呼ばれるものがあれば買います」

『カイナな薬? それなに?』

「ドラゴン除けの薬です」


 ドラゴンはこの世で最強と呼ばれる生き物。

 それがたまにドラクマへの道のりで目撃されるらしいですからね。


『矢で討てばいいんじゃないの?』

「矢が通らないほど硬いらしいですよ。それに聞いた話だと『ドラゴンが現れたら地図を書き換えろ』という言葉があるらしいんです」


 地図を書き換える。

 つまりは地形が変わるほどの攻撃力を持つわけです。そんなのを相手にしていられませんね。

 戦うなら互角、もしくは少し上くらいが理想です。欲を言えば私より弱いのがさらに理想ですが。


『それでそのカイナの薬を使えばドラゴンから逃げれるの?』

「ドラゴンの嫌いな臭いだから近寄って来ないらしいですよ」


 原理はわかりませんけどね。

 もし襲われたら全力で逃げるしかありませんね。


 毛皮というか暖かくなるものを買いに来たわけですが。


「どれを買えばいいかわかりませんね」


 店に並べられているのはおそらくは魔物、あるいは動物の毛皮を使い作られたものなんでしょうが、なんの毛皮か全くわかりません。

 何やら紙に書いてあるのですが読めませんし。


「なにか毛皮をお求めですか?」


 店先で顔をしかめながら悩んでいると店の人らしき人が声をかけて来てくれました。

 助かりました。これでなんとかなりそうですね。


『文字を覚える重要性……』


 耳が痛いですね。


「ドラクマに向かうのに暖かい服装が必要と聞いたので今の服の上から着れるものを探しているんです」

「ドラクマですか、彼の国はかなりの寒さの国ですからね」


 でしたら、と店の人が私に持って来たのは真っ白な毛皮で作られた分厚いコート。来て見ると足元まですっぼりと収まるほどのロングコートです。


「おお、かっこいいですね」

雪兎スノーラビットと呼ばれる魔物の毛皮で作られたコートです。一体からとれる毛皮の量は少ないですが保温性がとても高い素晴らしい一品ですよ。中は二重になってまして羽毛が……」


 うん、とりあえず暖かいということはわかりました。


「でも高いんでしょう?」


 フレディゴの連中に城で貰った金貨を全部渡しましたからね。持ち合わせがあまりないんですよね。こんごのためにもいい加減に城で失敬した物を売らないといけません。


「今ならなんと銀貨七枚でございます」


 安いのか高いのかわかりませんね。

 ですがこの白いコートはすごく惹かれます。


「買いましょう」

「まいどー!」


 魔法のカバン(マジックバック)からとりだした銀貨を店の人に渡し雪兎スノーラビットのコートを受け取り抱きしめます。

 モフモフがたまりません!

 ひとしきり抱き心地をたんのうすると魔法のカバン(マジックバック)に放り込みます。ここで着ると暑そうですし。


「さて、次です」


 大通りを再び歩き、弓矢、食料、水を買い込みます。

 くーちゃんがやたらと果物をねだるので大半が果物になりましたが。

 買った時は凄まじい量ですがこれが全て魔法のカバン(マジックバック)に入るんですから不思議ですよね。


「カイナの薬はありませんでしたね」

『見かけたらすぐににげないとね』


 どこの店に行っても売り切ると言われましたからね。結構貴重な薬らしいですし仕方ありません。

 大体のものは買い終わり魔法のカバン(マジックバック)に放り込む。今ほど魔法のカバン(マジックバック)がありがたくおもったことはありません。いくらでも入りますし。

 あと購入した地図を広げて見て気づきました。

 私、地図の見方がわかりません。そしてここでも敵として現れる『文字を覚える重要性……』


「……」


 しばらくは無言で見ていましたが、地図を持つ手に力を入れ、地図は一瞬にしてゴミ屑へと変わりました。


『なんで⁉︎』

「地図なんかに頼ってはダメです!」


 手にしたゴミ屑を放り捨てながらくーちゃんに振り返ります。


「私は敷かれた道を歩きません!」

『かっこよく言ってるけどただ、理解するの放棄しただけだよね……』

「ばれましたか」


 学ぶ気がない私を見てくーちゃんはがっくりと肩を落とすのでした。

ドラゴンは最強なんです!( • ̀ω•́ )ドヤッぁ

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