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エルフさんが通ります  作者: るーるー
突撃、近くの魔王城!編
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砂糖より甘いですよ

 わずかに私の視線がそれ狙いが甘くなった瞬間を狙うかのようにして狂信者ククが人間離れした速度で魔力弾の弾幕を躱すと私に向かい跳躍。

 しかし、なんとバカな行為。

 空へ跳ぶということはもう避ける場所がないというのに。

 口元にバカにしたような笑みが浮かぶのを感じながら私は魔力弾の軌道を調整。

 私に向かって飛びかからんとしているククに叩き込みます。

 しかし、それをククは躱そうとも(というか空中では躱しようがないのですが)せずに顔だけを腕で覆い他に負った傷は全て回復魔法で治しながら突撃するという荒技に出てきます。


「バカみたいな作戦ですよね」


 まさに捨身と言わんばかりの攻撃を見て取った私はカズヤを盾にしているヴァンへの魔力弾の攻撃をやめ、両方の羽根の魔力弾全てをククへ向かい集中さします。

 魔力弾が突き刺さるたびにククの体が淡い緑の光に包まれ傷が治っていきはしますがその速度よりも私の放つ魔力弾が傷を増やしていく速度を超えています。それでもククは防御の姿勢を崩すことなく私に向かい落下してきます。

 そして私とククとの彼我の距離がわずかになった瞬間、ククは全身に魔力を漲らせ拳を繰り出してきました。


「魔神死すべし!」


 ククの全身の魔力が轟々と燃え上がるように揺らめきながら私に迫ります。

 ですが、


「甘い甘い、砂糖よりも甘いですよ」

『デザートに最適だよね』

「意味が違います」


 笑みを深めた私は魔力弾を放っていた両翼の形状を再び変化させ、羽根の一部を今度はいく本もの真紅の槍へと姿を変えさします。


「魔力弾ならば当たって弾けて終わりでしたが今度は物理的に貫通する槍です。躱さないと穴空きますよ?」

『お、鬼』


 私はエルフです。魔神ですがエルフです。

 槍へと姿を変えた翼をただ突き出しただけでは大したダメージにはならないでしょう。ですので槍を高速で回転さし、破壊力を増加、さらには魔ノ華(マノハナ)の刃を伸ばしていた時のイメージを頭の中に浮かべます。

 結果、禍々しい音を立て、火花を散らしながら槍が高速で回転。

 さらには空気の壁を突き破るような轟音を響かせながら拳を構えるククへと飛び込んでいきます。


「laaaaaa!」


 雄叫びをあげ魔力を帯びた拳で唸りを上げながら迫る槍を打ち払うかのように真正面に拳を繰り出し、交錯します。

 そして赤い華が宙で咲きます。

 真紅の槍は易々とククの拳を貫き、そのまま肩から槍先が飛び出ます。真紅の槍の勢いの方が強かったのかククは槍が突き刺さったまま宙ぶらりんの状態になります。


「っ! いたぁ!」

「あら? まともな言葉が喋れるようになりましたか?」


 どういう理屈かはわかりませんがククの瞳には狂ったような色がなくなり、苦痛の色が見えます。

 ですがここで手を緩めて後でやられるのはごめんです。さらにもう数本の真紅の槍を伸ばしていきます。


「死なない程度にしとくので許してくださいね」


 再び唸り、回転しながら突き進んだ真紅の槍は私の想像通りの軌道をまるで生き物のように進んでいくとククの四肢に突き刺さり、そのままの勢いで床へと叩きつけると四肢を床へと縫い付けるようにして身動きを取れないようにします。

 叩きつけられた衝撃でククが口から血を吐き出して沈黙します。大丈夫でしょうか?


「これは便利です」


 羽根から槍を切り離しながら私と完全に同化した魔剣退屈を塗りつぶす刺激(カーニバル)の力に私は満足気な声を漏らします。

 腰の方に視線を向けると先ほどまではあった魔剣の鞘も無くなっているため完全に私の体の中に入ったことがわかりました。


「姿、形が私の思うがままというのは大変楽ですね」

『ただのズルじゃない?』


 咎めるようにくーちゃんが私を見てきます。

 ですが一応は魔神になったわけなんですからちょっとくらい理不尽な力を使いたいわけなんですからそこは大目に見てほしいものです。


「この羽根の状態でも十分に強いですがね」


 背中から広がる魔力の羽根を動かすだけで空気中の魔力が震えるくらいですからね。

 基本はこの羽根の状態のようですし。

 その羽根の両方を眼前へと交差させるように掲げると馬鹿正直に正面から切りかかってきたカズヤの聖剣を受け止めます。


「ちょっと、まだ能力をきちんと把握してないんですから待ってくださいよ」

「待てるか!」


 さらに聖剣に魔力を込めたのか聖剣が光り輝き、そのあまりの眩さに目を細めてしまいます。

 そんな状態の聖剣をカズヤはひたすらに振り回し、私に打ち付けてきます。


「うらぁぁぁぁ! ぷぺぇ⁉︎」

「やかましいです」


 調子に乗って乱打してくるカズヤに少しばかりイラっとしたので羽根と一体化した槍同様に真紅に変わった拳を容赦なく顔面に叩きつけてやります。

 顔が潰れたかのような声を上げて倒れたカズヤに近づくと手にしている聖剣に向かい大きく脚を振りかぶり、羽根を使い脚が真紅に変わったのを確認した後に握っているカズヤの腕ごと蹴り抜きます。

 私が蹴ったカズヤの腕はさしたる抵抗もなく蹴った部分を切り裂き、その勢いで聖剣を握ったカズヤの腕ごと飛んでいき、聖剣は壁へと突き刺さり、と腕はそれを掴んだままゆらゆらと揺れるのでした。

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