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エルフさんが通ります  作者: るーるー
突撃、近くの魔王城!編
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く、なんて硬い

「さ、どうぞ?」


 敵意を向けてくる勇者一同に手招きもしてあげますが緊張しているのでしょうか? 全く動く気配が見られません。

 怪訝に思い顔をしかめているとカズヤが僅かに聖剣の切っ先を下げます。


「リリカ、剣を抜けよ。魔王であっても武器を持たない奴を攻撃するのは気がひけるからな」

「あなた馬鹿ですよね? 私一応魔神ですよ? 魔王じゃないです」


 あまりの甘さと少し前に言った事すら忘れているようなカズヤに驚きます。

 これがフィー姉さんならば容赦なく笑顔で殴りにかかってきたでしょうに。


「勘違いを正しましょう。私の武器はすでに展開しているんですよ?」

「なに?」


 カズヤが疑問符を浮かべている中、私は魔ノ華(マノハナ)を使っていた時に自然と出ていた魔力の羽根を背中に展開。ただし、今までのように片羽根ではなく左右対称になるように二対。

 周りの景色が歪むほどの密度の魔力を纏っている赤黒い魔力の羽根を展開さし、それで自身の体を隠すようにして対峙します。

 一応は魔神となり退屈を塗りつぶす刺激(カーニバル)という魔剣を手に入れたわけですがこの剣はすでに魔剣と呼べる代物ではありません。

 何故なら退屈を塗りつぶす刺激(カーニバル)は私の望む形へと変わるために完全に私と同化・・したんですから。


「そもそも剣で戦うのなんて私の中ではお遊びですよ? だって私の戦い方は……」


 遠距離からぶち抜くものなんですから。


「っ! 散開!」


 危機を感じたかのようにしつなカズヤの号令と共に三人は散開、するわけではなく狂信者となったククだけが魔力を全身にたぎらせながら私に向かい一直線に駆けてきます。


「laaaaaa!」

「たしかに凄い気迫と魔力です。ですが……」


 全身のバネを使ったかのような攻撃。

 稲妻のような速度で放たれた拳を私は体の位置を僅かに変えることにより躱わし、拳から放たれていた風圧が私の髪を揺らします。

 そして拳を振り抜き、完全に無防備になったククが私の目の前を通り過ぎていこうとしていました。


「まずは一人目」


 通り過ぎていこうとしていたククの胴体に向け、魔力の羽根よりえげつないほどの密度の魔力弾を絶え間なく放ち続けます。

 それはもう音が途切れる間も無くです。

 ククの体を覆っていた魔力であれば以前の私の魔力弾ならば耐えることができたでしょう。ですが今の私は一応は魔神レベルまで魔力が強化されているわけですからね。ククは耐えきれずに悲鳴をあげる間も無く吹き飛ばされものすごい速度で壁へとぶつかります。


『つ、つよ⁉︎』

「まだですよ」


 壁にぶつかったククに向けて私は執拗に魔力弾を放ち続けます。

 だってあいつ一瞬で傷とか治してましたからね。どうせやるならば意識を刈り取るくらいの気持ちでやらないと後で痛い目を見そうですし。


「おおおおお!」

「ちぇ、来ましたか」


 ククの意識がなくなったかの確認がしたかったのてすがその前にカズヤが咆哮を上げながら聖剣を振り下ろしてきました。

 仕方なしに舌打ちをしながら片方の羽根からククへ魔力弾を撃ち込み続けながら、もう一つの羽根を腕へと巻きつけ、私の腕ごと形を変化さします。

 メキメキと音を立てながら変化した私の腕は鉄塊と言っていいほどの巨大な赤い大剣へと変わり、カズヤが繰り出した聖剣を受け止めます。

 思った以上の衝撃が体を疾り抜け、さらには床をへこましますが作り上げた大剣は折れることも欠けることもなく耐えきり、さらには私が軽く力を込めただけで容易くカズヤを吹き飛ばします。


「見えてますよ?」


 カズヤを吹き飛ばしたのを確認した瞬間に私は腕と羽根の変化を解除、すかさず羽根を背後へ広げると吹き飛ぶカズヤのに向け魔力弾を乱射していきます。


「バレてた」


 カズヤの影に潜みながら駆けていたヴァンはさして残念そうな声を出さずにすぐに回避行動へと移行。ですがそのヴァンを逃すわけもなく魔力弾を殺到さしていきます。


「必殺、勇者しーるど」


 しかし、それにいち早く気付いたヴァンはカズヤの足を掴み力一杯引っ張り自分の前に持ってきます。

 当然、ヴァンへと向かっていた魔力弾は手前に持ってこられたカズヤへ殺到していきます。


「ぐわぁぁぁぁぉ⁉︎」

「く、なんて硬い!」

『鬼だ! あっちにも鬼がいるよ⁉︎』


 吹き飛ばされただけではなく盾にまでされたカズヤが苦悶の悲鳴をあげます。

 少しばかり同情しますかこれは一応勝負です。せっかくですのできっちり仕留めておきましょう。


「GAAAA!」

「お? 元気ですね」


 両方の羽根から放っていた魔力弾でカズヤとヴァン、そしてククをじわじわと削っていましたが元シスターの少女はシスターとは思えない獣じみた声をあげるほどにまだまだ元気でした。

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