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エルフさんが通ります  作者: るーるー
勇者の武器編
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大・爆・発!

「今回の矢はいつもよりやたらと高く飛ばしましたね」


 遥か雲の上まで届くように撃った私の矢をゼィハは太陽の光に目を細めながら見上げています。


「ゼィハがあいつらは強いと言いましたからね。だったら感知されないようにして勇者を潰すしかありません」

「しかし、あんな高く打ち上げたのでは勇者にまともに当たらないのでは?」

「そこは大丈夫ですよ」


 私は薄く笑うと瞳を閉じ意識を集中させます。

 集中します。集中しシャチクに命令を出した時のことを思い出します。

 昨日シャチクに命令を出した時、言葉で出すのと同時に魔力的な何かが動いたのを感じ取りましたからね。

 それを探り見つければ離れているところにいるシャチクにも命令が出せるはずです。


 お、これかな?

 魔力を感じ取ることに集中しているとおそらくはシャチクのものであろうどす黒い色をした光を感知しました。その光を私は握るようにし、命じます。


(シャチク、その場に勇者を足止めしなさい)

(こいつは休日出勤出勤!)


 なにいってるかわかりませんが、なんとなくですが断っているような感じの答えですね。

 ちょっぴりイラついたので握っていた光を強く握りしめます。


(!っボダハザバガ!)


 意味のわからない奇声を上げるシャチク。少しばかり苦しんでいるようにも聞こえます。

 ふむ、やはりこれは私の中にあるシャチクとの繋がりのような物みたいですね。


(シャチク、もう一度いいます。その場に勇者を足止めしなさい)

(ハ、ハイヨロコンデ!)


 何事もなく了承を得たことに満足した私はシャチクとの繋がりを切り、瞳を開き戦うシャチクのほうへと目をやります。すると今までは力任せで吹き飛ばすようにして闘っていたシャチクの戦い方が変わり足を使い高速で動き回りカズヤが身動き取れない速度で斬撃を繰り出し、その場に足止めをしていました。


 やればできるじゃないですか。


「あいつら動きましすよ」


 シャチクの戦いぶりに感心していると私同様に戦場を眺めていたゼィハのつぶやきに私もそちらへ目線を向けます。


 姿を現した四人組は先ほど私が蹴散らした連中と同じようなローブを着てはいますが体から溢れる魔力は比べ物になりませんね。それにいつの間にか手にしている武器もかなりのものです。


「聞けぇい! 勇者よ! 我々は黒の群勢の……」

「やかましい! こっちの状況を見てから話しかけてこい!」


 シャチクの攻撃を捌きながらもカズヤが返事を返しています。思ったより余裕がありそうですね。


「な、貴様! 我々を四天王と知っての物言いか!」

「知るかぁ! そんなもんより今の自分の命の方が大事にきまってるだろがぁ!」

「ハイヨロコンデ! ハイヨロコンデ!」


 そうですよね。自分の命が一番大事です。しかし、四天王。四天王ですか。


「ゼィハ知ってますか? 四天王」

「いや、あなたが知らないのにあたしが知るわけないじゃないですか」

「そういえばそうでした」


 私とゼィハが知り合ったばかりの頃でしたからね。黒の群勢に入ったのは。

 でもあの時にシェリーはなにも言ってはいませんでしたしあの後にでもできたんでしょうか? 四天王とやらは。

 まあ、確かに名乗るだけの力量はあるみたいですしね。

 フィー姉さんはというと何か面白いものが始まると思ったようで結界内で楽しげな拍手をしながら出し物を見ているような感じでで動く様子は見られません。


「俺は四天王、炎のゼン!」


 振り回す大剣に炎が纏わり付き周囲を紅く染上げます。


わたくしは四天王、氷のヒューリ!」


 こちらはかなりの大きさの大鎌を軽々と操り、ゼンとやらが起こした炎を一瞬にして氷つかせます。


「……四天王、白のハク」


 短く名乗りを上げ、特になにもしませんでしたが周りに驚くほどの魔力を充満さしています。


「そしと我輩が四天王、風の……」


 驚くほどの速度で勇者へとに肉薄したまだ名乗っていない四天王が大きく両手で握る大斧を振り上げた瞬間、


「時間です」


 私の言葉とともに名乗りを上げようとしていた最後の四天王の頭上に本来なら勇者へ突き刺さるはずだった私が打ち上げた矢が突き刺さります。瞬間、込められた魔力が待っていたかのように破壊の力を解き放ち、山を震わせ、さらには周囲を巻き込みながらの大爆発を引き起こします。

 四天王の頭に向かい飛ぶ矢が見えたのか、いち早く巻き込まれないようにシャチクとカズヤはその場を離脱しているようです。


「大・爆・発!」

『なんでそんなテンション高いの‼︎』


 私が拳を突き上げながら叫んでいると信じられないものを見るような眼を向けてきます。

 唖然とする四天王の三人をよそに爆発はしばらく続き、やがて静寂が訪れた後に見られたのは大地を抉り取ったかのような跡だけで名乗りを上げれなかった四天王の姿はかけらも見られませんでした。


「勇者に当たれば完璧だったんですがね。あのわけのわからない四天王が着地点に乱入してきまし、余計なことをしてくれました」

「人一人消しといてそれですか……」

「じゃ、二射目いきますか」

「『まだやるの⁉︎』」


 ? やりますよ? だって目標は勇者ですしね。

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