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エルフさんが通ります  作者: るーるー
勇者の武器編
259/332

あれは事故ですよ。不幸な事故です

 オリハル山の麓まではさしたる苦労もなくたどり着きました。

 到着までかかったのは五日。ゼィハの話では普通なら十日以上かかるらしいんですよね。

 というのも馬のように休まなくてもいい存在が戦車を引いているわけですからね。


「ハイヨロコンデハイヨロコンデハイヨロコンデ休日出勤ハイヨロコンデハイヨロコンデハイヨロコンデ休日出勤ハイヨロコンデ」


 目の前になにがあろうと突き進むシャチクは普通の馬ではありえない速度で道無き道も駆け抜けます。いたって平穏な道のりでした。


『いや、いろいろあったよ? ゴブリン轢き殺したりオーガ轢き殺したりと』

「いえ、そんなものよりも商隊のど真ん中をぶち抜いたのが一番やばかったです」

「あー、ありましたね」


 三日程前にたまたまちゃんとした道を走っていた雷纏う戦車ライジングチャリオットでしたが、私が特に何も指示を出さなかったのでシャチクはダークエルフの森を抜けてから私が正しく指差したオリハル山に向かい勢いよく疾走をはじめたので私もゼィハも戦車の中で昼寝をしたままシャチクに休むことなく突撃さしていたんですが同じく道を走っていた商隊の中に勢いを落とすことなくそのまま突撃しやがりました。

 結果、商隊は積んでいた荷物と商人たちをぶっ飛ばされたわけです。

 シャチクは目の前の障害物である商人達の商隊を容易く蹴散らし悲鳴が上がる中を容赦なく目的地へと突き進み瞬く間に商隊を壊滅状態に追い込んだのです。

 しかし、全く速度を落とすことなく駆け抜けて行きましたので商人達は何が起こったわからなかったことでしょう。


「あれは事故ですよ。不幸な事故です。私の本意ではありません」

「ぶつかった瞬間に商隊からいろいろ奪った人が言うことではないですよ」


 事故でぶつかった時に戦車に転がり込んできただけです。


『ちゃっかり魔ノ華(マノハナ)使っていろいろ取ってたじゃん』


 ほんっとに人のやっていることはよく見てますよね。


「まあ、それはそれで置いといて」

『あ、逃げた』

「逃げましたよ」

「ハイヨロコンデ」


 いつの間にか雷纏う戦車ライジングチャリオットを置いたシャチクもなぜか私を見てきていますが今は置いておきましょう。


「まずはこのオリハル山をどうするかなんですよね」


 オリハルコンを手に入れるにはオリハルドラゴンと戦わないといけないということは知っていましたが。


「まさか、山自体がこんなに輝いているなんて……」

『ピカピカだよね』


 目の前に聳えるオリハル山は普通の木が生い茂っているわけではなく光り輝く鉱石のようなものでできた木が生い茂っていたわけです。


「おそらくは水晶やミスリルといった物でしょうね。これだけの規模のものが国などに管理されずに存在するというのはやはりドラゴンの影響が大きいんでしょうね」


 ゼィハが近くにある鉱石の一つを拾い上げながらそんなことを言っています。


「ゼィハ、問題はそこではありませんよ」

「そうなんですか?」

「当たり前です。ここにきた目的は……」

『勇者だよね』

「その通りです」

「ですがリリカさん、オリハル山がこんなやつだとは誰も知らなかったのもありますがどうやって探すんです? 適当に探しても見つかるような広さじゃありませんよ」

「そうなんですよね」


 私も探査系の魔法が使えたら楽なんですがね。

 仕方ありません。試してみたかったものを試すとしましょう。


「魔力が増えたからこそできる力技ですが」


 全身から魔力を放出しさらにそれをオリハル山へと向かわします。

 魔力がオリハル山を覆い尽くした瞬間、里で長老に雷魔法を喰らった時のような衝撃が体に走ります。


 オリハル山にあるもの全てが私の魔力が触れた瞬間に私の頭の中に叩き込まれてきます。

 鳥、獣、魔物、そしていろいろと蠢く虫すらも。


「おぇぇぇぇ!」


 耐えるのは無理そうだったのでもどしました。

 いや、虫はダメです。一匹や二匹ならまだなんとかなりそうですが今頭の中に浮かべさせられた虫の数はだめです。耐えれません。

 やはり試しもせずに魔法を使うのは無理だったようです。


『ちょ⁉︎ なに!』

「リリカさん⁉︎」

「ハイヨロコンデ」


 心配してくるゼィハとくーちゃんとシャチク? を手で制し、口元を拭います。


「大丈夫です。ちょっと吐いただけです」

『いや、そうだけど……』


 くーちゃんが心配そうに言ってくる中、今度は魔力の量をきっちりと調整して再び放ちます。


「うぐぅ」


 魔力をさらに細かく調整していき把握していく範囲を狭めていき、虫だけを排除し、ようやく探知魔法を完成さします。


「ゼェゼェゼェ…… 見つけたぁ」


 気分を悪くしながらも完成さした探知魔法でオリハル山の中にいる勇者カズヤ一行を発見した私は笑みを浮かべるのでした。

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