表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エルフさんが通ります  作者: るーるー
勇者の武器編
226/332

いたとしても昼寝でもしてるんじゃないんですか?

「は! なんだか凄い勢いで何かが吸い込まれていくような感じがしました!」


 ちょっぴりやばげな顔色だったニナに私は手持ちのマナポーションを全て飲ませると多少は顔色がよくなったことに安堵します。なるほど、悪食(グロリス)で魔力を喰らい続けると人を殺すこともできるのかもしれませんね。コレは貴重な情報です。


『大丈夫?』


 鋼の大精霊たるメルルが心配そうにしながらににニナを覗き込んでいました。

 それに気づいたニナは見ていて面白いほどに同様を露わにすると顔を紅くしながら手を振り回し立ち上がります。


「だだだだ、大丈夫です!」

『本当? 無理しちゃだめだよ? 簡単な回復魔法ならぼくでも使えるからね?』


 ニッコリと笑いながら言うメルルの姿はそれはもう天使のようで、まさしく人に信仰され、精霊たちに好かれる大精霊そのものの姿ですね。どこぞの氷に閉じ込められて周りの精霊から邪魔者扱いを受けていた自称大精霊とは大違いです。


 とりあえずは調子が戻ったニナに尋ねるとなんとなく今まで感じることができなかった精霊光を感じることができるようになったらしい。

 おそらくは限界まで魔力を使い切ったことが影響しているんでしょうね。エルフの里の訓練にも自身の魔力を完全に使いきり、自然に回復する魔力を感知することで魔力の流れを自覚すると言った訓練がありますし。悪食(グロリス)が意図せずにその訓練の手助けをした板ことになるのでしょう。

 今はもう周りに飛ぶ程度の数に減った精霊たちをあしらいながら顔が見えるようになったニナから部屋の鍵を受け取るとゼィハと共に部屋へと向かいます。

 なんだかんだで歩き詰めでしたからいい加減埃っぽいですからね。水浴びでもいいですので汚れを落としたいものです。

 あ、そう考えると水の魔法も覚えたほうが今後の旅にはいいかもしれませんね。ダークエルフの里で教えてもらえたらいいんですけど。あ、あと保存食も買っておかないといけませんね。この三日間で結構食べてしまいましたし今後も何があるかわかりませんからね。


「リリカさんといると大精霊に出会える加護でもついているんでしょうか?」


 頭の中で今後の予定を立てていると悩んでいるような声が聞こえます。その声に振り返ると頭を抱えたようなゼィハの姿が眼に入ります。

 何をそんなに悩んでいるのか知りませんがそんなに考え事ばかりをしていたら一気に老けそうです。ま、エルフやダークエルフは見た目では年なんてわからないようなものなんですがね。


「そんなに珍しいですか?」

「ふつうなら生涯に一度会えるか会えないかといったところです。エルフやダークエルフでも精霊には出会うことはあっても大精霊となるとかなり稀ですよ」


 そんなモンなんでしょうかね? 私個人の感想からいえば精霊も大精霊もさして変わりはしないような気がするんですけどね。むしろ大精霊のほうが使える力が多くなった子供というイメージが強いですし。


「まぁ、会えたのであれば運がよかったと考えておくべきなのでは?」

「それはそうなんですが…… こうも色々なことに直面していると何らかの意図を感じたりしませんか?」

『神様みたいな?』

「それはないでしょう?」


 魔王はいるのは確認されてはいますが今のところ私が読んだことのある本、聞いたことのある話では神様とやらは聞いたことがありませんからね。


「いたとしても昼寝でもしてるんじゃないんですか?」

「はぁ、リリカさんみたいに前向きに考えれたらいいんですけどねぇ」


 なんでそんな深々とため息を付きながら言うんですかね? あとそこはかとなく私のことを馬鹿にしていませんか?

 そんな感じの意味を込めてゼィハを睨み付けるとすごい速さで顔を背けられました。

 ふむ、私は大人の女なわけですからね。些細なことは気にしないでおきましょう。


「よくないことばかりを考えても楽しくないでしょ? なら楽しいことだけを考えていたほうがいいに決まってるじゃないですか」

『リリカらしいよねぇ』


 当たり前です。楽しくないことはしない。やりたくないこともしない。自分のやりたいことだけをしていくのが私というエルフの生き方なんですから。


「それにゼィハの言うように私になんらかの出会いの加護みたいながついているんだとすればそのうちに会えるんじゃないんですか?」

「何にです?」

「神様にですよ」


 私がニヤリと口元をゆがめて笑いながら言うとしばらくキョトンとしていたゼィハでしたが軽く微笑み返してきました。


「そうですね。それもありえるかもしれません」


 ようやく難しい顔をしなくなったゼィハに満足げに私は笑います。

 さぁ、とりあえずは水浴びをして寝るとしましょう! そして朝は待望のゴンドラです!





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ