次はどうしたらいいんですか?
「うげぇぇぇ」
解放された私は完全に座り込みえづいていました。周囲には心配したのか精霊たちが飛び回ってます。
『だいじょうぶ?』
『いきてる?』
『おなかへったね』
『ごはんごはん』
……途中より心配をしなくなった精霊たちはごはんコールをしながら去って行きました。心配してましたよね?
「す、すいません! あの、だいじょうぶですか?」
「だいじょうぶではありませんがだいじょうぶです」
よれよろと立ち上がりながら差し出されたコップに注がれていた水を一気に飲み干します。
気分の悪さはとりあえず収まりました。
「それで精霊光ってものは抑えれるんですよね!」
「ええ、できますよ。あなたなら、えーと」
ここまで話していてこの受付の人の名前を知らないことに気づきました。
「あ、ニナです」
「ニナね。すぐにできますよ」
そうニナに確約したところで私は素早く振り返りゼィハの方へと視線を向けます。
「で、精霊光ってどうやったら抑えれるんです? ゼィハ」
「……やはりなんの考えもなしだったんですね」
なんですか、そのため息をつきながら呆れるよう眼は。まるで人を馬鹿にしているような目線ですよ。
「方法としては二つですね」
「あ、ちゃんと答えてはくれるんですね」
答えてくれなかったらどうしようかと思いましたよ。
「ええ、教えますから魔法のカバンから手を出してくれません⁉︎ なにが出るか気が気でないんですよ!」
「ナイフですよ? ただの」
「脅す気だったんですか⁉︎」
脅す気はありませんでしたよ。ただお願いをするだけでしたし。世の中は平和的交渉が一番ですよ。
「おほん、では精霊光を抑える方法ですが二つあります。一つ目は眼を潰します。精霊光はなぜか瞳から発せられるらしく潰せば放出は止まります」
「え……」
明らかに怯えたような蒼くなったことでしょう。やはり精霊で見えませんが代わりに精霊たちがビビってました。
「まぁ、これは最後の手段ですね。次に精霊光の放出をコントロールできる精霊使いになることです」
「精霊使いですか!」
お、なんだか乗り気ですね。まぁ、あれだけ精霊たちにまとわりつかれていては確かに迷惑でしょうし使える技術は使わないともったいないですからね。
「ちなみに、あなたならすぐに精霊使いになれますよ」
「そ、そうなんですか!」
ゼィハの言葉に嬉しそうにニナは答えます。そしてゼィハが手招きをすると大量の精霊を引き連れながらスキップをするような軽い足取りで近づいて行きました。
そんなニナが目の前にまで来るとそんな彼女の眼前に手をかざし目を閉じています。
「今からあたしの魔力を流し込みます。その魔力の流れを感じ取ってそれとは違う魔力、あなたの精霊光を感じ取っていただきます」
ゼィハの説明を受けニナは頭の上に疑問符を浮かべているようでした。
なるほど、魔力の流れというのは人それぞれ違いますからね。そして流れているのが当たり前という状態なわけですし。そこにゼィハの魔力で別の流れを作られるわけですからよほど鈍感でない限りは感知することができるんでしょう。
「じゃ、やりますよ」
「え、あの、まだ心の準備が……」
その時私は見ました。
怯えるような態度のニナに対して口元に半月状の邪悪な笑みを浮かべているゼィハの顔を。そして既にかざされた手の中にはそれなりの密度の魔力があることを。
「世の中準備ができないことが大半ですよ」
「ちょっとまってくださ……」
「てりゃ!」
待ってと言っているにもかかわらず言葉を遮るかのようにしてゼィハが魔力をニナに流し込んでいるようです。
すると雷に打たれたかのようにニナは痙攣、そして少しの間を置いてニナの体が今まで以上の精霊光が放たれ、周囲に嵐のような魔力が吹き荒れます。
「うわ!」
『まぶしぃ!』
すでに精霊光を視るために瞳に魔力を集めることをせずとも宿屋の中を蹂躙する蒼色の魔力を見ることができました。吹き荒れる魔力にたまらず腕で顔を隠すようにしますが一向に収まる気配が見られません。
「なんかさっきより精霊光が大きくなってません」
『お、おいしそう!』
場違いな感想、いえ、精霊ならば普通? のような感想をくーちゃんが述べています。
「な、なんなんですかこれ!」
幻想的な光景ではありますがその中心であるニナにはそうでもないんでしょうね。なにせひたすらに精霊たちが体当たりを繰り返してくるような状況です。
精霊光は収まる様子も見られず未だにニナには精霊たちが体当たりを繰り返しています。
さすがにしばらく受けていると慣れたようなニナでしたが収まらない精霊光にオロオロとしているようです。
「で、ゼィハ。次はどうしたらいいんですか?」
ゼィハへと尋ねようとして不意に気づきました。ゼィハは確かニナの前にいたはずなのでず今は姿が見られません。ニナに突撃した精霊に覆われているのかと思いもしましたがそうではないようです。
『……リリカ、あれ』
「ん?」
くーちゃんに肩を叩かれそちらに振り返ると壁にめり込み血を流しているゼィハの姿がありました。
「あ〜 放出された精霊光を食らって吹き飛ばされたわけですか」
「れ、冷静に言ってないでたすけてくれませんか?」
血を吐きながら言うゼィハに私は笑いながら近づいていくのでした。




