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エルフさんが通ります  作者: るーるー
別大陸編
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めちゃくちゃ多いですね⁉︎

「あなたの心を必ず射止めてみせますよ!」

「いえ、遠慮さしてください。二度と顔を見たくないです」


 両腕があらぬ方向へと曲がったまま担架に乗せられたビーチが興奮したような顔で非常に迷惑な宣言をしてきました。

 あまりにばたばと暴れまわったせいか周りの客が再び兵を呼んだらしくビーチは魔法で治療されながら運ばれていきました。最後まで曲がった手で私の胸を触ろうとしていたとこ異常なまでまでの執着がありましたね。


「四剣聖とか言ってましたがもしあんなのが四人いると思うとゾッとしますね」

「いや、他の剣聖様はまともだよ」


 私の呟きが聞こえたのか宿の人が苦笑しながら教えてくれます。


「そうなんですか?」

「ああ、クセはそれなりにあるがまだビーチ様よりは断然にまともだよ」


 なるほど。あれよりマシというだけでそれでもかなりの変態という可能性は残るわけですか。もしそうならそれを任命した皇帝もかなりやばいのかもしれませんね。


「皇帝も頭が悪いんですか?」


 なんの気なく皇帝のことを聞いてみます。するとケラケラと笑い声が上がります。


「悪くはねぇよ。むしろ賢王ナーブスと呼ばれるくらいだろうさ」

「賢王ナーブス」


 情報収集は大事ですねぇ。ただの会話から皇帝の名前が分かってしまいましたよ。

 となるとやはり酒場にでもいくのがいい感じですね。


「この辺に大きな酒場はありますか?」

「ああ、大通りをまっすぐ行けばあるぜ」

「どうもです」


 野次馬で囲まれた宿屋から外に出ると私は言われた通り大通りをフラフラと歩きながら酒場へと向かうのでした。


 ◇


「うるさいですよね」


 酒場に付くと情報収集を行うべくカウンターに向かい席に座りましたがすでに私はげんなりとしています。

 周囲から響く騒音騒音騒音。エルフの耳が優れている分やたらと頭に響くので苦痛でしかありません。


「らっしゃい、ご注文は?」


 やたらと筋肉質なハゲがカウンターに肘を置きながら聞いてきます。人里ではやたらと筋肉質な人が酒場にいるという法則でもあるんでしょうか?


「今考えてるとこですよ。この国は豊かですね。活気があります」

「はっはっはっは! 賢王がいい政治をしてくれてるからな。賢王さまさまだ」

「ふーん」


 ここでも賢王様と付くとはさぞかし頭がいいんでしょうねぇ。

 賢王だからヴィツーと対立しているわけなんですかね? しかし、本当に賢いのであれば利害もきっちり考えていると思うんですが。


「カジノもその賢王が許可をだしたんですか?」

「ん? カジノにいったのか? いや、ありゃ別口だ」

「別口?」

「ああ、皇帝の息子だな」

「ああ、子供ですか」


 なんでしょう。なんだか王族の子供ってすごくたくさんいる気がするんですよね。そういえばシェリーも一応王族に入るんでしょうか? あれだけゼィハが驚くような古代魔法とやらが使えるんですから中には身分を騙すような魔法があるのかもしれませんね。


「賢王には妻がは二百八十人位いるんだが……」

「めちゃくちゃ多いですね⁉︎」


 どんだけ頑張ったんですか賢王。いや、それよりも何人妻を取ってるんですか!


「はーれむってやつですね」


 確か大量の女の人をハベラスことをそう呼ぶと里の本に書いてあった気がします。


「だから子供は五百人位いる人だからな」

「……妻も賢王も頑張ったんですね」


 何をとはいいませんがね、

 なんでしょう。私の中で賢王というイメージがどんどん変態によっている気がします。


「ああ、美人という美人に片っ端から手を出していたからな」

「ただの色ボケじゃないですか」


 やっぱり賢王なんかじゃなかったんですね。ただの色ボケ王ですよ。


「だがまぁ、政治などにはかなりキレてるからな。問題は子供のほうさ」


 苦笑しながらおっちゃんは言います。


「いいんですか? そんなこと言って非国民扱いされるんじゃないです?」

「この国の住民なら誰でも知ってることさ」


 どうもおっちゃんの話を聞いていると王族の子供が多すぎてよくわからない派閥のようなものがいくつもできているらしいということでした。それも二つや三つではなく数十単位で。しかも皇帝はそれを容認しているらしく王城内は混乱の坩堝と化しているそうです。


「……なんだか聞いてると帝国って沈む前の船みたいな感じですね」


 沈む船みたことありませんが。なんとなくイメージはそんな感じです。ゆっくりと海に傾いていく船が脳裏に鮮明に浮かびますね。


「確かにそうかもしれんが実際はそうでもない」

「というと?」


 尋ねますがおっちゃんは背後に大きく書かれている商品を親指でさします。これ以上話を聞くなら何か頼めということでしょうね。


「エールをくださいな」

「なんだ、しけてんなぁ」


 銅貨をテーブルに置き一番安いものを頼むと笑いながらもおっちゃんは私の眼の前に波波と注がれたジョッキを置いてます。勢いよく置かれこぼれます。


「で続き続き」


 置かれたジョッキに手を出すことなくおっちゃんに話を急かします。


「ああ、実際のところは派閥はバカみたいな数があるが特出している派閥は三つって話だ」

「それ以外は大したことないってこと?」

「まぁな。その三代派閥っていうのが王位継承権が高い皇子二人と皇女一人って話なのさ」

「なるほど」


 確かに色々と派閥があるとしても王位継承権が高いところについたほうがはるかに有利ですからね。

 となるとヴィツーが皇帝を暗殺してほしいという理由もこの辺に絡んでくるんでしょうね。


「カジノを作るように進言した人ってわかります?」

「あー、噂じゃ第三皇子だな。三代派閥の一つさ。皇帝とは折り合いが悪いって話だぜ?」


 はい、依頼者が判明しましたね。やっぱり情報収集って大事ですよね。

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