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エルフさんが通ります  作者: るーるー
別大陸編
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見た方が迫力がありますね

 宿で一泊した朝。

 やたらと快晴です。宿から出た玄関先で私は軽く体を動かしながら街を眺めていました。幾人もの鍛え抜かれた体を惜しげもなく晒しながら男達が荷物を運んでいきます。輝く汗が飛び散ってこちらにとんできますが私は躱します。いや、爽やかなんですが汗ですからね。付いたらいやじゃないですか? 決して彼らが嫌なわけではなくね。でも抱きつかれたらその体を切り裂くかもしれないと思うとやはり嫌いということになるんでしょうか?


「うーん」

『なんでマッチョさんを見て頭を捻ってるの?』


 私を見て疑問をぶつけてきたくーちゃんでしたが私の頭の上に座るとぐたぁと倒れこんできました。

 最新はやたらと私の頭の上にいますよね。


「リリカさん、準備ができたなら行きますよ」

「はいはーい」


 宿の清算を終えたゼィハが読んできましたので返事をしながらそちらに向かいます。


 早朝ということもあってか街ねは店はまだ空いてないものが多いようですが速いところには魚がいくつも置かれています。


「港の街ですからね。恐らくは漁に出た船が戻ってくると同時に市場に卸しているのでしょう」


 私がキョロキョロとしながら歩いていたのでゼィハが説明してくれます。

 ふむ、りょうとかおろすとか何を言ってるかわかりませんがとりあえず頷いておきましょう。なんだか説明し始めるとゼィハはやたらと長いですし。


「で、船ってどれです?」


 説明をしようとゼィハが口を開こうとしたタイミングに合わせて私は疑問を投げかけます。丁度説明をしようとしていたゼィハはわずかに残念そうな顔をしながらも指をさしてくれました。

 ゼィハが指差した方を見ると私の視界いっぱいに箱のようなものが見えました。

 厳密には先の方は尖っているようですが私からすれば箱です。箱になにやら段々と旗が立っています。


「恐らくは魔力船。あの旗のようなものが帆と言って風を利用して動く船ですね。追い風の時は帆に風を当て推進力とし向かい風の時などは魔力炉を使い……」


 ペラペラとさして私には興味のないことを自慢気に話し始めたゼィハでしたが話すのに夢中になり始めていたので私はスゥーと気配を消しながら説明という名の無害な拷問から逃げ出すことにしました。

 ゼィハはというと私が離れたことに気づくこともなく話し続けており他の人からは『一人で話をしている変な人』と認識され始めたのかゼィハを避けるように動いています。


 そんなゼィハは置いといて私はくーちゃんを頭にのしたまま初めて見る船の方に近づいていきます。


『百聞は一見に敵わず! 見てから聞け! あとできたらぱくれ! by長老』


「確かに聞いたりするよりも見た方が迫力がありますね」


 改めて近くへ行くとやはり大きな壁という印象です。ですが壁のように土で作ったりして補強しているわけではなさそうですね。でもなんだか懐かしいというかなんとも言えない感覚を覚えますね。


『これって精霊の力を感じるから木じゃないかな? それもかなり長生きのやつ』


 私が船を見ているとくーちゃんも疑問に思ったのか教えてくれます。


「そうなんです?」

『うん、多分。ちいさな精霊がいっぱいいるし』


 言われてから再び注意して船を見ますがイマイチ見えません。

 エルフの瞳は精霊が見えるはずなんですけどね。くーちゃん曰く『まだ微精霊にもなりきれてないから見えないほうが普通』ということでした。

 小さすぎて見えないこともあるんですね。


 その後もしばらく船を観察していましたがそれも徐々に飽きが出てきます。蒼い海も初めて見た昨日よりは感動が薄れてますし。あとは船の中を見るくらいしか楽しみがないのかもしれませんね。


『船ははいる?』


 同様に飽きたのかくーちゃんがあくびをしながら告げてきます。私も「そーですね」と答えながら人が乗り降りしている場所に向かおうとして自分がチケットを持っていないことに気づきます。


「ゼィハに預けたままですからゼィハのとこに戻らないといけませんね」


 踵を返しゼィハの方へと向かっていくと先ほどまで彼女が立っていた場所に人だかりができていました。


「あれなんですかね?」

『さあ?』


 二人して首を傾げながらも人集りに近づいていくと未だに熱弁を振るうゼィハの姿がありました。


「つまり魔力炉という画期的な導具が作られたためにいろいろなものが作られているわけです。例えばそう! 魔力馬車! あれは……」


 まだ演説は続きそうですね。ゼィハの足元を見ると何枚か硬貨が置かれているのを見えます。この人、これで生きていけるんじゃないですかね?

 ため息をつき、ゼィハが満足するまで私とくーちゃんは地面に座り待つことになるのでした。


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