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エルフさんが通ります  作者: るーるー
大破壊編
154/332

よし、首チョンです

 ドラクマ城半壊⁉︎

 エフルによる襲撃で死傷者多数!

 ピリァメイスの陰謀か⁉︎


 さまざな憶測や言葉が飛び交っている中、私とゼィハ、くーちゃんは町の酒場で食事をとっていました。


 というのもドラクマを半壊さしてしまったのは事実であり、あれ以上ドラクマに居座るのはまずいと判断したため、ドラクマの街の外に繋がれていたおそらくはエルフ達の馬車を奪いドラクマを脱出したのです。

 そんなわけでドラクマを抜けて早三日。現在いる場所はドラクマから四つほど離れた町でありすでに見慣れていた雪が全く見れないような気候となっています。


「あ、このサラダ美味しいですね」

『うまうま』


 私たちはざわついた酒場の中で食事を続けますが、周囲の話題は大体がドラクマへのエルフの襲撃の話です。


「だいぶ話題になってますね」


 古代魔導具アーティファクトは紛失したという記憶改ざんを自分で行ったゼィハが私たち同様に食事をとっていました。


「まぁ、城が半壊なんて人里では珍しいことなんでしょう?」

「いや、エルフの里とかでもないでしょ? ダークエルフでもありませんよ」

『エルフ達って城作れるの?』


 とりあえずは話題には事欠かないようですね。ま、城が崩れどさくさに紛れてエルフ達の馬車を奪って逃げたわけですし、無駄にお金を使って作られた城も役には立ったということですかね。民の役には立ちませんでしたが。


「あ、みてくださいよリリカさん! 何人かのエルフの似顔絵が乗ってますよ!」


 いつの間にかゼィハの手の中にはこの酒場で出されている話題が載っている紙が握られていました。それをテーブルの上に置いてきたので覗き込むと確かに似てるようで微妙に違うであろうエルフ達の顔が何人か描かれていました。


「あ、これはなんかベシュぽいですね。さすがに逃げさせられた長老は載ってないみたいみたいですが」


 あのジジイはまた生き残りやがりましたが今回のでエルフ達もかなりダメージを受けたことでしょう。


「私も体があちこち痛いですし」


 三日も経つというのに未だに少し動くだけ激痛とはいかなくても体が痛みます。おもに筋肉痛で。

 しかし、そのかいはあったというものです。あのジジイの目的が何かは知りませんでしたが妨害はしてやりましたからね。略奪もさほどできてないみたいでしたからざまぁ。


『こっちはリリカに似てるね』

「どれどれ」


 くーちゃんが指差す紙面へと視線を巡らすと子供の落書きと思えるような絵が描かれていました。


「これ、私に似てるんです?」


 落書きを指差しながら不機嫌そうに私はくーちゃんを睨むとくーちゃんは手をひらひらと振り否定してきます。


「ああ、精霊さんが言ってるのはここですね」


 そう言いゼィハが指差したのは共通文字で書かれた文面です。

 私は眉をしかめながらも魔法のカバン(マジックバック)から翻訳用メガネを取り出しかけると文章を追います。


「なになに、銀の髪、笑いながら剣を伸ばし突き刺すエルフって」

「完全にあなたですよね」


 ゼィハの言葉に私は絶句します。なぜならこの似顔絵が描かれている輩全てには、


「全員賞金かかってるんですけどぉ⁉︎」


 テーブルを殴りつけるように立ち上がると酒場にいた客が一斉に私の方へ視線を向けてきます。


「ちょっとリリカさん! 声が大きいです」


 ゼィハが私の服の裾を掴み無理やり椅子へと座らせてきます。


「というかなんなんですか!金貨十枚って!」


 私なら金貨百枚、いや、それ以上の値段がついてもいいはずです!

 興奮冷めぬ私を無視しくーちゃんは記事を読んでいるようでした。


『うーん、でも書いてあることは本当だよ』


 記事に書かれていた内容によるとエルフ同士で争っている場面もあったが最終的には私が魔ノ華(マノハナ)を巨大化さし薙ぎはらった所をみた輩がいたらしくさらにはその刃がドラクマの町や城を半壊さしているのを多数の騎士が目撃しているらしかった。


「ちっ、目撃者がいたとは…… 周囲一体を消し去ればよかったですね」

「いや、そんな物騒なこと言わないでくださいよ。それにあれだけの騒ぎです。必ずどこかに目撃者はいますよ」


 確かにゼィハの言う通り目撃者の抹殺なんてものはできなかったでしょう。


「ともあれ、名前とこのひどい似顔絵で姿はわかりませんが銀髪は隠せませんからね。しばらくは自重して身を隠した方が良さそうですね」

「そうですね」


 現にチラチラと私たちを見る視線を感じます。まぁ、私は美少女だから仕方がありませんがね。


「ちょっと失礼するぜ」

「うっさい、筋肉ダルマ」


 イライラした私は頭の真ん中の毛だけを残し上半身は裸という奇抜な格好をし話しかけてきた男に吐き捨てるように告げます。


「んだと⁉︎ 人が優しくしてれば!」

「今の発言のどこに優しさの要素があったのかはわかりませんが」


 途中で言葉を切り上げ私はゆっくりと立ち上がります。


「私は今非常にイラついていますので喧嘩ならお安く買ってあげますよ」


 軽く睨みつけると男はあざ笑うかのように笑みを浮かべてきます。


「上等だ! とりあえずは貴様をボコボコにしてから賞金首か確かめてべぇ!」


 喋っている途中のテーブル越しの男に向かい私は魔法で強化した体をテーブルの上に踊らせると間抜けヅラをした男の鳩尾に向かい拳を突き出します。鈍い感触と共に男がわずかに後ろに下がり膝を着くと苦しそうに喘いでいました。


「口だけでしたか」


 周囲の人間が慌てることや殺気立つことすらできぬ前に奇抜な男を戦闘不能にします。そしてしばらくすると喧騒が復活しますが私を見る目は警戒の色が浮かんでいます。


「よし、首ちょんです」


 このイライラを解消すべく腰のぽちの柄へと手を伸ばし引き抜こうとすると頭に軽く衝撃が走り振り返ると呆れた顔をしたゼィハが立っていました。


「はいはい、ここから出ますよ」


 銀貨と銅貨を置き私の手を引きながらゼィハは酒場の入り口へと向かいます。途中、テーブルの上に浮かび上がるように現れた黒い紙が目に入り慌ててそれを手に取ると私はゼィハに引きづられたまま酒場を後にするのでした。


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