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エルフさんが通ります  作者: るーるー
大破壊編
152/332

めんどくさい奴ですね

『リリカ、何をする気なの?』


 不敵な笑みを浮かべていた私をこわがるかのようにくーちゃんが訪ねてきます。


「簡単ですよ。今集めた魔力を使い、一掃します」

『できるの?』

「……たぶんですが」


 理屈の上ではできるはずなんですよね。一回失敗しましたが。


「これをやるにあってくーちゃんに協力して欲しいんですが」

『なにすればいいの?』


 怖がりながらも私のしようとしていることに興味があるのかやってはくれるようです。


「知りたいのはドラクマの城までのおおよその距離とエルフたちが展開している範囲です」

『わかったー』


 パタパタと背中の羽根を動かしながらくーちゃんは空へ飛び立つと周囲をキョロキョロと観察し始めていました。

 私も同じように、しかし、くーちゃんとは違い地上の方を眺めると解除をし忘れていた黒靄が精力的に活動していました。

 どうりで背中の羽根がドンドン大きくなっていくわけですよね。

 黒靄が動いてる場所を見てみると何人ものエルフと冒険者が倒れています。黒靄に魔力を根こそぎ座れたんでしょう。というか長老の姿は見えませんし、倒れてるのはエルフよりもドラクマ兵の方が多いですね。おそらくはガルムとオーランドが連れて撤収の指示を出したのでしょうね。


「ん?」


 視界の隅に動くのがいると感じたのでそちらを見ると 巨大を討つ剣(ヴァングラミー)を支えに泥だらけのベシュが立ち上がってくるところでした。


「まだ、私は負けてない!」

「あなたもしつこいですね」


 呆れながらも立ち上がるベシュをため息を付きながら見守ります。ここで殺ってしまったほうが安全策なんでしょうね。


「長老も姿が見えないようですし私ならさっさと逃げますけど?」

「負けたままはムカつくからね!」

「めんどくさいですね」


 再びため息をつくとまたベシュのほうへと体を向けます。


「エルフは撤収し始めてるみたいですし、あなたも逃げてくれると私が大変助かるんですが?」

「あんたの腕を一本取ったら撤収するよ!」


 懲りずに叫びながら 巨大を討つ剣(ヴァングラミー)を振りかざしベシュがこちらに向かってきます。先ほどよりも早いところを見るとあちらも身体強化の魔法を使ってきたようですね。

 ですが今の私も身体強化の魔法をいつもよりはるかに多い魔力で使っているわけですからベシュの動きは非常にゆっくりとしたものに見えるわけです。

 私の頭めがけて振り下ろされた 巨大を討つ剣(ヴァングラミー)をわざとギリギリのところで躱すと 巨大を討つ剣(ヴァングラミー)の磨かれた鏡のような刃に私の顔が映ります。ふふふ、美少女美少女。


 自分の美少女っぷりを確認した私は魔ノ華(マノハナ)ではなく強化された拳を 振り下ろされている巨大を討つ剣(ヴァングラミー)の腹へと叩き込みます。

 通常の身体強化魔法でも鉄板をへこますことができる拳となりますが今の異常なまでに強化された拳をもってしても 巨大を討つ剣(ヴァングラミー)を貫くことはできず弾くに止まりました。


「硬い……」

「どれだけの魔力を注ぎ込んでるの⁉︎」


 素手で弾いたのを目に留めたベシュの声は悲鳴のようでもありました。そんなものは無視し、刃を逸らされ姿勢を崩すベシュに引導を渡すべく魔ノ華(マノハナ)を僅かに引き、さらに一歩踏み出すと共に顔面を抉るべく刃を突き出します。


「おわりです」


 刃を見たベシュは目を見開きますがどうやっても躱せる距離ではありません。

  カヂンという音と共にベシュの頭が後ろに下がり、同時に私の腹部に衝撃がはしり後ろに跳ね飛ばされました。


「わっわ!」


 驚きながらも飛ばされた理由を知るべく前を見据えると振り上げられたベシュの脚があります。あれで蹴られたわけですか。


「最後まで抵抗してかましたねぇ」


 ベシュに背を向けこれだけの騒動の中、未だに気絶しているゼィハのほうへと向かいます。

 ゼィハはまだ気絶してますし今のうちにさっさとやるとしましょう。


「誰が最後までだって?」


 聞こえないはずの声が聞こえ、大きくため息を付きながら私は振り返ります。振り返った先には口元を血に濡らしたベシュが笑いながら立っていました。


「……化け物ですか」

「エルフだ!」


 何かを口から吐き出しベシュはこちらを睨み宣言してきます。私はというとベシュが吐き出した白い物へと視線を向けており、次にゼィハに目をやると想像していること聞いてみます。


「まさかとは思いますが歯で受け止めたんですか?」

「ええ、何本か砕けたけど死なずに済んだわ」


 ベシュの口から吐き出したもの、それは歯でした。

 なんの気もなく言ってのけるベシュ。狂気の沙汰です。おそらくは魔力で歯だけを強化したんでしょうがタイミングを誤れば喉を貫かれて即死という恐怖すらはね退けやったのでしょう。


「ああ、あなたは非常にめんどくさいです」

「いつもいつもバカにして!」


 バカにされてると思ったのかベシュは笑みを浮かべながら怒気を放つという器用なことをしています。

 血に濡れならが笑い 巨大を討つ剣(ヴァングラミー)を振り回す狂戦士のようなベシュを見据えながら一応は賞賛の言葉を贈ったつもりなんですが……


「リリカー測ってきたよ」


 ベシュと対峙している中、くーちゃんが私の待ち望んだ情報を持ってき、これで面倒ごとは終わるなぁ〜 と私は考えるのでした。


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